呪いのエメラルド

(そのかみがきれいだと)

その髪が綺麗だと

(あなたはいうのね)

貴女は云うのね

(たとえるならそれは)

喩えるならそれは

(とうとよけいなことさえも)

等と余計な事さえも

(いつもそのふるまいがひかりをはなつたび)

いつも　その振る舞いが光を放つ度

(わたしのかげを)

私の影を

(よりいっそうつよくてらしだすのね)

より一層強く照らし出すのね

(そのはだがきれいだと)

その肌が綺麗だと

(あなたはいうのね)

貴女は云うのね

(たとえるろくなことばも)

喩える碌な言葉も

(もってもいないくせにね)

持ってもいない癖にね

(いつもそのふるまいがひとめをひくたび)

いつも　その振る舞いが人目を惹く度

(わたしのこどくを)

私の孤独を

(よりうきぼりにしてしまうのね)

より浮き彫りにしてしまうのね

(そのこうさいそのかがやきは)

その虹彩　その輝きは

(さながらふたつとないほうせき)

宛ら二つと無い　宝石

(それにひきかえこのひとみは)

それに引き換えこの瞳は

(ひきちぎって)

引き千切って

(かきむしりたくなる)

掻き毟りたくなる

(それほどまでにつよく)

それほどまでに強く

(とめさまもなく)

止め様も無く

(そのがんかに)

その眼窩に

(くろくうずをまくは)

黒く渦を巻くは

(むげんのさいき)

無限の猜忌

(やがてやどすひかりは)

やがて宿す光は

(あなたをいすくめる)

貴女を射竦める

(のろいのえめらるど)

呪いのエメラルド

(いつもどんなときでもそのてをひきながら)

いつも　どんなときでもその手を引きながら

(じぶんがすべて)

自分が全て

(さきにたってあるいてるつもりで)

先に立って歩いてるつもりで

(どんなにそうやって)

どんなにそうやって

(うわべをえんしゅつっても)

上辺を演出っても

(あのこよりまえにはすすめないと)

「あの子」より前には進めないと

(わかっているでしょう？)

わかっているでしょう？

(さしのべられたそのてを)

差し伸べられたその手を

(にぎりかえせば)

握り返せば

(てをひかれるじぶんは)

手を引かれる自分は

(ずっとしあわせのつもりで)

ずっと幸せのつもりで

(どんなにそうやって)

どんなにそうやって

(きをやすらげても)

気を安らげても

(いつかすてられてしまうのだとさえ)

いつか捨てられてしまうのだとさえ

(おもっているでしょう？)

思っているでしょう？

(そうよけっきょくあなただけでは)

そうよ結局　貴女だけでは

(しょせんあなたひとりだけでは)

所詮　貴女一人だけでは

(なにもできないくせにね)

何もできないくせにね

(さしつけては)

刺しつけては

(えぐりとりたくなる)

抉り取りたくなる

(もえるようにたかぶる)

燃えるように昂ぶる

(いびつなほど)

歪な程

(そのこころにくろくふくれあがるは)

その心に　黒く膨れ上がるは

(むげんのさいき)

無限の猜忌

(そしてかがやきをますは)

そして輝きを増すは

(あなたをしゃさつさん)

貴女を射殺さん

(のろいのえめらるど)

呪いのエメラルド

(ああどうして)

嗚呼どうして

(あなたばかりが)

貴女ばかりが

(あなたのてにするそのすべてが)

貴女の手にするその全てが

(なにもかもが)

何もかもが

(ねたましい)

妬ましい

(いつはてるとも)

いつ果てるとも

(しらないそのれんさ)

知らないその連鎖

(そうしてなにもかもが)

そうして何もかもが

(くずれていく)

崩れていく

(そのすべてを)

その全てを

(わらうもののかげを)

嗤うモノの影を

(だれもしらずに)

誰も知らずに

(つぎなるえじきはどこに)

次なる餌食は何処に

(むげんにうまれゆく)

無限に生まれゆく

(のろいのえめらるど)

呪いのエメラルド