ノゲノラの名言（前篇）

(そんなばかな)

そんなばかな

(きへいにばんたい、ぽーんがあけたかつろをむだにするな)

騎兵二番隊、ポーンが開けた活路を無駄にするな

(そこのおうとじょおう、てめぇらさっさとぜんせんへいけぇ)

そこの王と女王、てめぇらさっさと前線へいけぇ

(ちょっとまって、わたしのてばんでしょ？)

ちょっと待って、私の手番でしょ？

(はぁ？ほんもののせんそうであいてのてばんをまつたこがいるの？)

はぁ？本物の戦争で相手の手番を待つタコがいるの？

(ぽーんたい、ぜんしんしなさいぼうへきをきずけ)

ポーン隊、前進しなさい防壁を築け

(はっ、みよあたらへいにみをかくすこのおくびょうもののすがたを)

はっ、見よあたら兵に身を隠すこの臆病者の姿を

(ぜんせんでへいをたたかわせうしろでふんぞりかえってなにがおうか)

前線で兵を戦わせ後ろで踏ん反り返って何が王か

(なんですって？)

何ですって？

(ぜんぐんよしょくんよこのたたかいはわれわれえるきあのじんるいのさいごのとりでであるこのとしを)

全軍よ諸君よこの戦いは我々エルキアの人類の最後の砦であるこの都市を

(だれにまかせるかというめいうんをさゆうするたたかいであるぞ)

誰に任せるかという命運を左右する戦いであるぞ

(めをひらけ、そのくにのおうをこんなあたまのたりないおんなにまかせてほんとうにいいのか)

目を開け、その国の王をこんな頭の足りない女に任せて本当にいいのか

(いっぽうわれらがしょうりすればかのじょがじょおうだ)

一方我らが勝利すれば彼女が女王だ

(そう、いましがたしょくんをおもいしょくんにしょうりをもたらさんとこころをころしてしきをとり)

そう、今しがた諸君を思い諸君に勝利をもたらさんと心を殺して指揮を執り

(しょくんらにむじひとつきはなされこころでなみだしているかのじょだ)

諸君らに無慈悲と突き放され心で涙している彼女だ

(きさまらそれでもおとこかぁぁぁ)

貴様らそれでも男かぁぁぁ

(おまえはおおいにまちがえた)

オマエは大いに間違えた

(ここんとうざいあっせいによってじぐんをしたがわせたおうがけんおうだったためしがなく)

古今東西圧政によって自軍を従わせた王が賢王だった試しがなく

(なによりひとはせいぎのためにしかたたかえずまたこのよに)

何より人は正義のためにしか戦えずまたこの世に

(ぜったいてきなせいぎはひとつしかない)

絶対的な正義は一つしかない

(たったひとつのせいぎ？)

たった一つの正義？

(このよでゆいいつふへんのせいぎそれはかわいいだ！)

この世で唯一不変の正義それは可愛いだ！

(かわいいはせいぎすべてのよっきゅうとよくぼうとほんのうがかわいいをもとめ)

可愛いは正義すべての欲求と欲望と本能が可愛いを求め

(かわいいのためにすべてをささげる)

可愛いの為に全てを捧げる

(しょせんおとこはそんなもんだ)

所詮男はそんなもんだ

(ごきげんよう！にい、きんちょうしてる)

ごきげんよう！兄、緊張してる

(うっさい、ぐんしゅうきょうふしょうはおたがいさまだろふだんはおさえてるの)

うっさい、群衆恐怖症はお互い様だろ普段は抑えてるの

(けいあいするこくみんいや、いまにてぃどうほうしょくんわれわれいまにてぃは)

敬愛する国民いや、イマニティ同胞諸君我々イマニティは

(じゅうのめいやくのもとせんそうのないこのせかいにおいてまけつづけさいごのとし)

十の盟約の元戦争のないこの世界において負け続け最後の都市

(このえるきあをのこすのみとなっている)

このエルキアを残すのみとなっている

(ここでわれはみなにとう、それはなぜだぜんこくおうがしっぱいしたからか？)

ここで我は皆に問う、それはなぜだ前国王が失敗したからか？

(われわれがさいかいいのしゅぞくだからか？まほうがつかえないからか？)

我々が最下位の種族だからか？魔法が使えないからか？

(むりょくにほろぶうんめいにあるからか？いなだ！)

無力に滅ぶ運命にあるからか？否だ！

(かつていにしえのたいせんにおいてかみがみがえるふがわーびーすとがおおくのしゅぞくがあらそうなか)

かつて古の大戦において神々がエルフがワービーストが多くの種族が争う中

(われわれはたたかいそしていきのこったかつてはこのたいりくぜんどをすら)

我々は戦いそして生き残ったかつてはこの大陸全土をすら

(じんるいこっかがしめていたのはなぜだ？われらがぼうりょくをとくいとするしゅぞくだからか？)

人類国家が占めていたのはなぜだ？我らが暴力を得意とする種族だからか？

(えるふのようなまほうもつかえずわーびーすとのようなしんたいのうりょくもなく)

エルフのような魔法も使えずワービーストのような身体能力もなく

(ふりゅーげるのようなちょうだいなじゅみょうもないわれわれがたいりくをしはいできたのは)

フリューゲルのような長大な寿命もない我々が大陸を支配できたのは

(たたかいにとっかしていたからか？だんじていなだ！)

戦いに特化していたからか？断じて否だ！

(われらがたたかいいきのこったのはわれらがじゃくしゃだったからだ)

我らが戦い生き残ったのは我らが弱者だったからだ

(いつのじだいどこのせかいでもきょうしゃはきばをじゃくしゃはちえをみがく)

いつの時代どこの世界でも強者は牙を弱者は知恵を磨く

(われらがなぜいまおいつめられているかそれはじゅうのめいやくによってきょうしゃがきばをもがれ)

我らがなぜ今追い詰められているかそれは十の盟約によって強者が牙を捥がれ

(ちえをみがくことをおぼえたからにほかならない)

知恵を磨くことを覚えたからに他ならない

(われらじゃくしゃがせんばいとっきょであったはずのちりゃくをせんりゃくをいきのこるためのちからを)

我ら弱者が専売特許であったはずの知略を戦略を生き残るための力を

(きょうしゃがてにしたからだそれがこのさんじょうだ)

強者が手にしたからだそれがこの惨状だ

(みなのものこたえよ、なぜにこうべをたれるのか)

皆の者答えよ、何故に首を垂れるのか

(くりかえそう、なぜこうべをたれるのか)

繰り返そう、何故首を垂れるのか

(われわれはじゃくしゃだいまもなおむかしもそうだったようにそうなにもかわっていないではないか)

我々は弱者だ今もなお昔もそうだったようにそう何も変わっていないではないか

(きょうしゃがじゃくしゃをまねてふるうぶきはそのほんりょうをはっきしない)

強者が弱者を真似て振るう武器はその本領を発揮しない

(なぜならわれらのぶきのほんしつにあるのはひくつなまでのよわさゆえのおくびょうさだからだ)

なぜなら我らの武器の本質にあるのは卑屈なまでの弱さゆえの臆病さだからだ

(おくびょうゆえにわれらはまほうからのがれるちえもある)

臆病ゆえに我らは魔法から逃れる知恵もある

(おくびょうゆえにがくしゅうとけいけんからしょうじるみらいよちにすらとうたつしうるちえをもっている)

臆病ゆえに学習と経験から生じる未来予知にすら到達しうる知恵を持っている

(みたびくりかえす、われらはじゃくしゃだいつのよもきょうしゃであることにあぐらをかいたものどもの)

三度繰り返す、我等は弱者だ何時の世も強者であることに胡坐をかいた者どもの

(のどもとをくいちぎってきたほこりたかきじゃくしゃだ)

喉元を食いちぎってきた誇り高き弱者だ

(われわれはここにだいにひゃくごだいえるきあこくおうじょおうとしてたいかんしたことをせんげんする！)

我々はここに第二百五代エルキア国王女王として戴冠したことを宣言する！

(われらふたりはじゃくしゃとしていきじゃくしゃらしくたたかいじゃくしゃらしくきょうしゃをほふることを)

我ら二人は弱者として生き弱者らしく戦い弱者らしく強者を屠ることを

(ここにせんげんする！かつてそうだったようにこれからもそうであるように)

ここに宣言する！かつてそうだったようにこれからもそうであるように

(みとめよわれらさいじゃくのしゅぞくなにももってうまれぬゆえになにものにもなれるさいじゃくのしゅぞくで)

認めよ我ら最弱の種族何も持って産れぬゆえに何者にもなれる最弱の種族で

(あることをさぁげーむをはじめようもうさんざんくるしんだろ)

あることをさぁゲームを始めようもうさんざん苦しんだろ

(もうかじょうにひくつになったろまたせたな)

もう過剰に卑屈になったろ待たせたな

(いまにてぃどうほうしょくんいまこのしゅんかんからわがえるきあはぜんせかいのくににたいして)

イマニティ同胞諸君今この瞬間から我がエルキアは全世界の国に対して

(せんせんふこくする！はんげきののろしをあげろわれらのこっきょうせんかえしてもらうぞ)

宣戦布告する！反撃の狼煙を上げろ我らの国境線返してもらうぞ