忘れ者／ヒバナ

(こうしゃうらにゆうぐれながくのびたひこうきぐもあかく)

校舎裏に夕暮れ　長く伸びた飛行機雲赤く

(かぜにとけたそらのしゅうちゃくえきをふたりでさがそうか)

風に溶けた空の終着駅を二人で探そうか

(ながいかみをゆらすかぜがむねをとおるたびおもたくなる)

長い髪を揺らす風が　胸を通る度重たくなる

(もうすぐさよならのじかんだ)

もうすぐ　さよならの時間だ

(くらくなったそらにすこしかけたつきがうかぶ)

暗くなった空に　少し欠けた月が浮かぶ

(なにかわすれてきたかな)

何か忘れてきたかな

(みつからないままただただよるにゆられるれっしゃ)

見つからないまま ただただ夜に揺られる列車

(まどごしにまちがゆれる)

窓越しに街が揺れる

(いきばのないことばをかかえこんで)

行き場のない言葉を抱え込んで

(ただよっているから)

漂っているから

(なきだしそうなくらいあかくそまるそらを)

泣き出しそうなくらい赤く染まる空を

(よるがのみこんできえる)

夜が飲み込んで消える

(こうしゃうらにらくがきはのこしておいたから)

校舎裏に落書きは残しておいたから

(わらってよ)

笑ってよ

(わらってほしいよ)

笑って欲しいよ

(かぜがながれていくそらをおよげればとおくまでいけるかな)

風が流れていく空を　泳げれば遠くまでいけるかな

(くもみたいにただよっていつのまにかきえるんだ)

雲みたいに漂って　いつの間にか消えるんだ

(きれいなものだけをたべてこころをおおきくできたなら)

奇麗なものだけを食べて　心を大きくできたなら

(ただしいことばをなげられるかな)

正しい言葉を　投げられるかな

(わらってわらってわらってわらってわらって)

笑って笑って笑って笑って笑って

(わらっていてよ)

笑っていてよ

(どこまでもふきあがっていくくもにざんしょのにおいがうかんできえる)

どこまでも吹き上がっていく雲に　残暑の匂いが浮かんで消える

(あげられそうなものはないけどあなたにはわらっていてほしいんだ)

上げられそうなものは無いけど　あなたには笑っていて欲しいんだ

(まぶたのうらにうかぶあのあかはいまもこえにならないこえで)

瞼の裏に浮かぶあの赤は今も声にならない声で

(ずっとずっとずっと)

ずっとずっとずっと

(ぼくをよんでいる)

僕を呼んでいる

(みつからないままただただよるにゆられるれっしゃ)

見つからないまま ただただ夜に揺られる列車

(まどごしにまちがゆれる)

窓越しに街が揺れる

(いきばのないことばをかかえこんで)

行き場のない言葉を抱え込んで

(ただよっているから)

漂っているから

(なきだしそうなくらいあかくそまるそらを)

泣き出しそうなくらい赤く染まる空を

(よるがのみこんできえる)

夜が飲み込んで消える

(こうしゃうらにらくがきはのこしておいたから)

校舎裏に落書きは残しておいたから

(わらってよ)

笑ってよ

(わらってほしいよ)

笑って欲しいよ