メリバ／PEOPLE1

(いたいくらいにきすをしよう)

“痛いくらいにキスをしよう”

(にげだしたそのすがたがいとおしいよ)

逃げ出したその姿が愛おしいよ

(ゆがんだしかいさえもはれるような)

歪んだ視界さえも晴れるような

(とっておきのあいしかたで)

とっておきの愛し方で

(たとえばきょだいないんぼうで)

たとえば巨大な陰謀で

(はたまただれかのくしゃみひとつで)

はたまた誰かのくしゃみ一つで

(こんやせかいがおわるとしたら)

今夜世界が終わるとしたら

(さいごのひとくちはきみにあげるわ)

最後の一口は君にあげるわ

(たいていはきらくなもんさだれもかれも)

大抵は気楽なもんさ　誰も彼も

(ただしさできずはなおらないのに)

正しさで傷は治らないのに

(ほほえみをひとつちょうだい)

微笑みを一つ頂戴

(それだけでふらちなこともおこなえる)

それだけで不埒なことも行える

(いたいくらいにきすをしよう)

“痛いくらいにキスをしよう”

(ぼくはずっとそんなことをかんがえてたんだよ)

僕はずっと　そんなことを考えてたんだよ

(きょうかんのひとつもえられそうにない)

共感の一つも得られそうにない

(きずだらけのえんどろーるで)

傷だらけのエンドロールで

(いたいくらいにえいえんのきすをしよう)

痛いくらいに　永遠のキスをしよう

(えんじぇるはにせものだった)

エンジェルは偽物だった

(さわぎたつたぶろいどぎんのぴんせっと)

騒ぎ立つタブロイド　銀のピンセット

(そしてぼくはまちかどのきっさてん)

そして僕は街角の喫茶店

(きみからのしらせをきながにまつのもいい)

君からの報せを気長に待つのも良い

(きみをまもるつよさがぼくにだってほしいから)

君を守る強さが　僕にだって欲しいから

(こころがわりのらうんどつーをいまかいまかと)

心変わりのラウンドツーを　今か今かと

(とどかないきょりでもてをのばしてみなくちゃ)

届かない距離でも　手を伸ばしてみなくちゃ

(めいっぱいのちからでそれがるーる)

目一杯の力で　それがルール

(あいうぉんちゅー)

アイウォンチュー

(あいにーじゅー)

アイニージュー

(あいらぶゆーべいべー)

アイラブユーベイベー

(よくにただいようひんがばっこしてる)

よく似た代用品が跋扈してる

(うみおとされてだれもがあてもなく)

産み落とされて誰もがあてもなく

(ぜんとあくのべんちまーくでさんどばっぐ)

善と悪のベンチマークでサンドバッグ

(えんどれすのせんとせんとてんとてん)

エンドレスの線と線と点と点

(たがいにふりかざしたてのひらのきずを)

互いに振り翳した掌の傷を

(かぞえてふたりでわらいあおうよ)

数えて二人で笑い合おうよ

(いますぐにはねをやすめて)

今すぐに羽を休めて

(そっともっとぎゅっと)

そっと　もっと　ぎゅっと

(いたいくらいにきすをしよう)

“痛いくらいにキスをしよう”

(ぼくはずっとそんなことをかんがえてたんだよ)

僕はずっと　そんなことを考えてたんだよ

(きょうかんのひとつもえられそうにない)

共感の一つも得られそうにない

(きずだらけのえんどろーるで)

傷だらけのエンドロールで

(いたいくらいにきすをしよう)

“痛いくらいにキスをしよう”

(にげだしたそのすがたがいとおしいよ)

逃げ出したその姿が愛おしいよ

(どうじょうのよちもないあまりにもろい)

同情の余地もない　あまりに脆い

(ぼくらだけのえるどらーどで)

僕らだけのエル・ドラードで

(いたいくらいにえいえんのきすをしよう)

痛いくらいに　永遠のキスをしよう

(２０２４ねんあき)

2024年秋

(ぼくらはあいかわらずきずだらけで)

僕らは相変わらず傷だらけで

(きたるべきさいあくをそうぞうしては)

来るべき最悪を想像しては

(いごこちをわるくしてる)

居心地を悪くしてる

(それでもぼくはきみをあいしてる)

それでも僕は君を愛してる

(めりーばっどえんど)

メリーバッドエンド

(このせかいのすべて)

この世界のすべて

(ぼくのすべて)

僕のすべて