フランドール・スカーレット

(あそんでちょうだい)

「遊んでちょうだい」

(いつまでもたいせつにしてあげる)

いつまでも大切にしてあげる

(てにしたものにわらいかけて)

手にしたモノに笑いかけて

(またたくそのあいだにあとかたもなくちる)

瞬くその間に跡形も無く散る

(まいあがるへびいちご)

舞い上がるヘビイチゴ

(なぎはらうひのけん)

なぎ払う緋の剣

(とじこめて、あなただけ)

閉じ込めて、あなただけ

(うしろには、わたしだけ)

後ろには、私だけ

(おひさまもつきもみえないへやで)

お日様も月も見えない部屋で

(くずれたかんかく、)

崩れた感覚、

(こわれたかんじょう)

壊れた感情

(いつもおなじようにすごしているわ)

いつも同じ様に過ごしているわ

(おさえたしょうどう、)

抑えた衝動、

(きょうきさめて)

狂気覚めて

(ひとりになるのはいや)

「独りになるのはイヤ」

(ずっとあそんでいたいだけよ)

ずっと遊んでいたいだけよ

(どうしてなの？)

「どうしてなの？」

(みなすがたをけしてしまうの)

皆姿を消してしまうの

(なぜかこのてにぎりしめれば、)

なぜかこの手握り締めれば、

(いつものようにまたひとりきり)

いつもの様にまた独りきり

(さびしいのよ)

寂しいのよ

(またせないで)

待たせないで

(がまんできないから)

我慢できないから

(いつになったらそとへでられるの？)

「いつになったら外へ出られるの？」

(こそくなうそならもうききあきた)

姑息な嘘ならもう聞き飽きた

(だめならわたしをはやく)

ダメならワタシを早く

(こわして)

「壊して」

(なにまんかいめになる？)

何万回目になる？

(よぞらをおどるゆめをみるの)

夜空を躍る夢を見るの

(たどりつくばしょは、)

辿り着く場所は、

(いつでもかわらないのかな？)

いつでも変わらないのかな？

(そしてかこもげんざいもわからない)

そして過去も現在もわからない

(くうかんをへだてるものは)

空間を隔てるものは

(まよいこんだかよわいむしけらのそんざいだけ)

迷い込んだか弱い虫けらの存在だけ

(みじめにあらがうそのすがたは、)

惨めに抗うその姿は、

(つかのまのかいらくにおわる)

束の間の快楽に終わる

(あそびあきたがんぐなんて)

遊び飽きた玩具なんて

(すててしまえばいい)

捨ててしまえばいい

(こわれてしまえばいい)

壊れてしまえばいい

(なにものこらなくていい)

何も残らなくていい