XIII. THE BUD／鈴代紗弓

(かべんをつたうすいてきのように)

花弁を伝う水滴のように

(ころがりおちゆくふかきならく)

転がり落ちゆく深き奈落

(うつろなるかっとうにきょうみがかって)

虚ろなる葛藤に興味が勝って

(つちのしたすこしたねがうごいた)

土の下 少し 種が動いた

(ゆれるひとみをみつめてたの)

揺れる瞳を見つめてたの

(ためらうひまもわすれたように)

躊躇う暇も忘れたように

(おしえてよ)

教えてよ

(きみのなかにはなにがめぶいてるの)

君の中には何が芽吹いてるの？

(られつしたことばよりも)

羅列した言葉よりも

(たしかなのはそのかがやき)

確かなのは そのかがやき

(まだわからないこころのふるえを)

まだわからない 心の震えを

(いまはじめてわたしはみつけたんだ)

今 はじめて 私は 見つけたんだ

(うごきだせばきめられたおわりへ)

動き出せば 決められた終わりへ

(それでもとめられない)

それでも 止められない

(はなとなりきえたとしても)

花となり消えたとしても

(つぼみのままくさりおちても)

蕾のまま腐り落ちても

(ひのひかりをまつしんめのように)

陽の光を待つ新芽のように

(くものすきまをさがしていのる)

雲の隙間を探して祈る

(ひびきあうはんどうにどうきしたって)

響き合う反動に同期したって

(すじがきはよるをつげるだろう)

筋書きは夜を告げるだろう

(かげるおもいをかくしてたの)

翳る想いを隠してたの

(となりできみをかんじながら)

隣で君を感じながら

(わらってよ)

笑ってよ

(いまさらになってやっときづけたから)

今更になって やっと気づけたから

(くりかえすいたみよりも)

繰り返す痛みよりも

(おろかなのはこのけつまつ)

愚かなのは この結末

(すてかけてたわたしのこどうが)

捨てかけてた 私の鼓動が

(いまはじめてさけんでもとめるんだ)

今 はじめて 叫んで 求めるんだ

(きみのことをまたおなじあしたを)

君のことを また同じ明日を

(それでもいかなくちゃ)

それでも 行かなくちゃ

(このいのちがくずれるまえに)

この命が崩れるまえに

(むねのなかにさよならをいだいて)

胸の中にさよならを抱いて

(とどかないこころのこえは)

届かない心の声は

(さくことのないはな)

咲くことのない花

(それでもきみなら)

それでも 君なら

(きっとみつけられる)

きっと 見つけられる

(きえてしまうそのまえにどうか)

消えてしまう その前にどうか

(いちどだけでいいからあいたいんだ)

一度だけでいいから 会いたいんだ

(きみとおなじゆめをみられたから)

君と同じ 夢を見られたから

(わたしはくいなどない)

私は 悔いなどない

(そうきみにつたえたいから)

そう君に伝えたいから

(そのめをみてつたえたいから)

その目を見て伝えたいから

(はなとなりきえたとしても)

花となり消えたとしても

(つぼみのままくさりおちても)

蕾のまま腐り落ちても