神様じゃなくてごめんね

(ねえ、 きみからみてぼくのかおはなにいろにみえてるのかな)

ねえ、 君から見て僕の顔は何色に見えてるのかな

(ほんとうはきみがえがくような すんだいろなんかじゃないんだ)

本当は君が描くような 澄んだ色なんかじゃないんだ

(ものがたりのしゅじんこうみたいな せいぎのひーろーのような)

物語の主人公みたいな 正義のヒーローのような

(こうどうとことばをなぞったそのけっかが いまのぼくだっただけなんだ)

行動と言葉をなぞったその結果が 今の僕だっただけなんだ

(しんぞうにてんてきをさすようなうたで あさをいきのびては)

心臓に点滴を刺すような歌で 朝を生き延びては

(よるのおもさにくびをしめられながら いきもとめられやしない)

夜の重さに首を絞められながら 息も止められやしない

(にぎりつづけていたしんぞうも だれかのぶんだとしってしまった)

握り続けていた心臓も 誰かの分だと知ってしまった

(そのくせだれかをすくいたかった それがほんとうのぼくなんだ)

その癖誰かを救いたかった それが本当の僕なんだ

(ああ しょうどうてきなあいですくわれたくないよ)

ああ 衝動的な愛で救われたくないよ

(なんてみえをはっていってしまった かっこよくなくてごめんね)

なんて見栄を張って言ってしまった かっこよくなくてごめんね

(ああ せかいよりきみをえらぶってみんなにいっちゃった)

ああ 世界より君を選ぶってみんなに言っちゃった

(このうではにほんしかないのにさ かみさまじゃなくてごめんね)

この腕は二本しかないのにさ 神様じゃなくてごめんね

(ああ ふりまいたなさけがきばになっておそってきちゃった)

ああ 振り撒いた情けが牙になって襲ってきちゃった

(きっとすべてゆるせるとおもった つよくなくってごめんね)

きっと全て許せると思った 強くなくってごめんね

(ああ つないでたてをはなしてきみをおいていっちゃった)

ああ 繫いでた手を離して君を置いて行っちゃった

(きみをまもるためのはずだったんだ かみさまじゃなくてごめんね)

君を守るためのはずだったんだ 神様じゃなくてごめんね

(きっとぼくはやさしいひと でもきみはぼくよりやさしいひと)

きっと僕は優しい人 でも君は僕より優しい人

(やさしいひとばかりきずついていく このどうしようもないせかいでさ)

優しい人ばかり傷ついていく このどうしようもない世界でさ

(きっとぼくはおろかなひと でもきみもおんなじおろかなひと)

きっと僕は愚かな人 でも君もおんなじ愚かな人

(だからわかってくれるとおもった それをねがってしまったんだ)

だからわかってくれると思った それを願ってしまったんだ

(ああきっとぼくはやさしいひと でもきみはぼくよりやさしいひと)

ああきっと僕は優しい人 でも君は僕より優しい人

(どうかきみだけはぼくみたいにさ ひかりをみうしなってしまわないで)

どうか君だけは僕みたいにさ 光を見失ってしまわないで

(きっとぼくはおろかなひと でもきみもおんなじおろかなひと)

きっと僕は愚かな人 でも君もおんなじ愚かな人

(だからきみがなにをおもうかわかるよ こんなけつまつじゃいやだよね)

だから君が何を思うかわかるよ こんな結末じゃ嫌だよね

(ああ つらぬいたしそうがだれかのこころをころしちゃった)

ああ 貫いた思想が誰かの心を殺しちゃった

(それだけがただしいとおもってた きらいになれなくてごめんね)

それだけが正しいと思ってた 嫌いになれなくてごめんね

(ああ いつのひかなげたことばがぜんぶかえってきちゃった)

ああ いつの日か投げた言葉が全部返ってきちゃった

(このおんどはたしかにあるのにさ かみさまじゃなくてごめんね)

この温度は確かにあるのにさ 神様じゃなくてごめんね

(ああ さよならをしないためにこうするしかなかったんだ)

ああ さよならをしないためにこうするしかなかったんだ

(きみのめにたよりたくなってしまった りそうになれなくてごめんね)

君の目に頼りたくなってしまった 理想になれなくてごめんね

(ああ ぜんじんるいをあいすなんてことはできなかったよ)

ああ 全人類を愛すなんてことはできなかったよ

(だからどうかぼくをうらんでくれ かみさまじゃなくてごめんね)

だからどうか僕を恨んでくれ 神様じゃなくてごめんね