虚仮にしてくれ

(はやくつたえようこんせきみつかるまえに)

はやく伝えよう　痕跡見つかる前に

(わかっているのにのどのおくがおじけづく)

わかっているのに　喉の奥が怖気付く

(つみはつめたくここにとどまるんだよ)

罪は冷たく　ここに留まるんだよ

(やさしくさわってこきゅうができてるけど)

優しく触って　呼吸ができてるけど

(きみのちのふきでるおとがすきでした)

君の血の吹き出る音が　好きでした

(ときおりすけるむじゃきさがつきさすんだ)

時折透ける無邪気さが　突き刺すんだ

(ふつうのくらしをゆめみたせいだからかな)

ふつうの暮らしを　夢見たせいだからかな

(あたたかいほどしょうどうおさえられない)

温かいほど　衝動抑えられない

(こんなになまえをよんだり)

こんなに名前を読んだり

(ふりむいたりしちゃだめだよ)

振り向いたりしちゃだめだよ

(ぼくはぼくをこけにしてくれとそうねがうんだ)

僕は僕を虚仮にしてくれと　そう願うんだ

(そうやっておちつけたんだ)

そうやって落ち着けたんだ

(かたをくんであるいてく)

肩を組んで歩いてく

(ゆらゆらとおよいでるみたいな)

ゆらゆらと泳いでるみたいな

(ここちがほらなぐさめてしまう)

心地が　ほら　慰めてしまう

(なきむしだってことはなれてからいつもおもうこと)

鳴き虫だってこと　離れてからいつも思うこと

(あめはあかくはねはとまる)

雨は紅く　羽は止まる

(ちがうからこれでおわりじゃないってまだ)

違うから　これで終わりじゃないってまだ

(つちのこなってほりかえしてしまうから)

槌の子なって　掘り返してしまうから

(いつだってそうだよ)

いつだってそうだよ

(きらめきだけじゃはかないよ)

煌めきだけじゃ儚いよ

(そこかしこでおもいでがなぐるんだよ)

其処彼処で　思い出が殴るんだよ

(なんでもっとって)

なんでもっとって

(なんてけったりはしないよ)

なんて蹴ったりは　しないよ

(やわらかなひるさがり)

柔らかな昼下がり

(つくったおべんとうたべよう)

作ったお弁当食べよう

(ほっとかれてふえてゆくこけがぼくだとよかった)

ほっとかれて　増えてゆく苔が　僕だとよかった

(そうやってひびをくったんだ)

そうやって日々を喰ったんだ

(こんなになまえをよんだり)

こんなに名前を呼んだり

(ふりむいたりしちゃだめだよ)

振り向いたりしちゃだめだよ

(ぼくはぼくをこけにしてくれとそうねがうんだ)

僕は僕を虚仮にしてくれと　そう願うんだ

(そうやってかみしばいたんだ)

そうやって　神しばいたんだ

(いちまいのはねてんしはみあたらない)

一枚の羽　天使は見当たらない

(きょうはよわってなでるちからしかなかった)

今日は弱って　撫でる力しかなかった

(あかるいはいきょにしたくて)

明るい廃墟にしたくて

(ていえんのしろははくめいのそらへとつづき)

庭園の白は　薄明の空へと続き

(のはらがてくのにゆれている)

野原がテクノに揺れている