レシートラスト/いえぬ

(みぎてをずっとながめてる)

右手をずっと眺めてる

(かわりばえしないりずむが)

変わり映えしないリズムが

(ずっときこえてくる)

ずっと聞こえてくる

(おなじにもつをかかえて)

同じ荷物を抱えて

(きょうもといかけてる)

今日も問いかけてる

(がくぶちにかざった)

額縁に飾った

(まだすこしねつをおびるえが)

まだ少し熱を帯びる絵が

(やけどしている)

火傷している

(にじんだもじのたば)

滲んだ文字の束

(すこしずつたまって)

少しずつ溜まって

(かくしたきょうのもじのはな)

隠した 今日の文字の花

(はぐるまのすとっぱーみたいだ)

歯車のストッパーみたいだ

(のうがくりかえす)

脳が繰り返す

(にごったしゅつりょくがいやにめについたんだな)

濁った出力が 嫌に目についたんだな

(あたまのなかはたおればうつろいちっていく)

頭の中は 手折れば移ろい散っていく

(ぼくをおいていく)

ボクを置いていく

(うたかたみたいでさ)

泡沫みたいでさ

(どうかはなしてしまわぬようにって)

どうか 離してしまわぬように って

(ひどいむりをした)

ひどい無理をした

(とたんにきょうはねつがでたんだ)

途端に今日は 熱が出たんだ

(どうかしているわ)

どうかしているわ

(わわずらわしんだよな)

わ わずらわしんだよな

(ななんもわかんないな)

な なんもわかんないな

(ななくならないうずが)

な なくならないうずが

(ここにものこってるんだ)

ここにものこってるんだ！

(あめがうつんだよな)

雨が打つんだよな

(ふやけたあかいろがすくったかみきれから)

ふやけた赤色が 巣食った紙切れから

(めをそらすの)

目を逸らすの

(みたいいたいはおそろしげ)

“みたい”“居たい”は恐ろしげ？

(どうもおぼろげなりんかくが)

どうも朧げな輪郭が

(ふっとほどけるのは)

ふっと解けるのは

(しんしょうふうけいがなすからだ)

シンショウフウケイが 成すカラダ？

(だったはずのし)

だった筈の詞

(しまいにのこりわずかのろーるを)

終いに残り僅かのロールを

(かえるのすら)

替えるのすら

(おっくうでいる)

億劫でいる

(ああ)

ああ！

(やっととじこめたやすらぎが)

やっと閉じ込めた安らぎが

(くさりゆくしゅんかんが)

腐りゆく瞬間が

(おそうせまるすごむなじる)

襲う 迫る 凄む 詰る

(はやくはやくはやくとせかす)

早く早く早く と急かす

(ねじれるじがだってなめれば)

捻れる自我だって 舐めれば

(よどんだかわのようなあじがするでしょう)

澱んだ河の様な味がするでしょう？

(おまえのそのちょっとあせったおよびごしが)

“お前のそのちょっと焦った及び腰が

(ほらわらっているみたいだ)

ほら、嗤っているみたいだ！”

(ゆがみがのこる)

歪みが残る

(きょうかしょはどこにやったっけ)

教科書は何処にやったっけ

(いたくあいしていた)

甚く愛していた

(あのものがたりがさとすの)

あの物語が 諭すの

(むかしはひどくきらっていた)

“昔は酷く嫌っていた

(あのいくじなしはさ)

あの意気地なしはさ

(いまのおまえのようなやつだな)

今のお前の様な奴だな“

(ぜんぶしっていた)

全部知っていた！

(ああそれでもたっていた)

ああ それでも立っていた

(そうぼくはわかっていた)

そう ボクは理解っていた

(つまれたれしーとだけ)

積まれたレシートだけ

(かわれないぼくがあった)

変われないボクがあった

(ああもうおわりにすんだよな)

ああ もう終わりにすんだよな

(さいせいがうたっている)

再生が歌っている

(そんなかおをしないでって)

“そんな顔をしないで”って

(そうしみがのこっている)

そう 染みが残っている

(もうぼくはわかっていた)

もうボクは理解っていた

(だいきらいなぼくのくせ)

大嫌いなボクのクセ

(ひどいとかなんてじょうだん)

酷いとかなんて冗談！

(きっとまたあえるんだよな)

きっと また会えるんだよな

(うつろったきみのこと)

移ろったキミのこと

(しろとびのぼくが)

白飛びのボクが

(つかんでみせるから)

掴んで見せるから！