大西配列短文トレーニング

(ぴあののけんばんをはやくたたくようなだけんをめざそう)

ピアノの鍵盤を速く叩くような打鍵を目指そう

(ｚからｉをへてふたたびｇにもどるうんしはなかなかなんかい)

zからiを経て再びgに戻る運指はなかなか難解

(びーるびんのらべるをはがしながらかいわがすすむ)

ビール瓶のラベルを剥がしながら会話が進む

(あきばこにぴーなっつのからがつもっていくごご)

空箱にピーナッツの殻が積もっていく午後

(ひんぱんなぼいんきりかえでいしきがゆびさきにしゅうちゅうする)

頻繁な母音切り替えで意識が指先に集中する

(くぉーたーびゅーでえがかれたとうがくずれていく)

クォータービューで描かれた塔が崩れていく

(ｑとｂをどうじにうつぶんをつくるのはしれんにちかい)

qとbを同時に打つ文を作るのは試練に近い

(はくじのつぼにちゅーりっぷがざつにさしてある)

白磁の壺にチューリップが雑に挿してある

(ｚｘのどうじだけんをともなうたんごはあんがいくちにしない)

zxの同時打鍵を伴う単語は案外口にしない

(こうぎちゅうにぼんやりえがいたらくがきがいみしんだ)

講義中にぼんやり描いた落書きが意味深だ

(ぱぶのかたすみでぼそぼそしゃべるおとこのこえがきになる)

パブの片隅でぼそぼそ喋る男の声が気になる

(つららがばるこにーからおちるしゅんかんをもくげきした)

氷柱がバルコニーから落ちる瞬間を目撃した

(ぷろぐらむのばぐをじみちにしゅうせいするごごさんじ)

プログラムのバグを地道に修正する午後三時

(ぶたばらとざーさいのいためものがいがいとうまい)

豚バラとザーサイの炒め物が意外とうまい

(ばするーむでみずがはねるおとがりずむにきこえた)

バスルームで水が跳ねる音がリズムに聞こえた

(ｇとｒとｊをたようするぶんはみぎてのどくえんかいとなる)

gとrとjを多用する文は右手の独演会となる

(きょだいなばくだんのかげにばりけーどがきずかれていた)

巨大な爆弾の影にバリケードが築かれていた

(ｌｊのながれるようなうごきはじっさいにはぎこちない)

ljの流れるような動きは実際にはぎこちない

(ざわつくひとなみのなかでかのじょのこえだけがきこえた)

ざわつく人波のなかで彼女の声だけが聞こえた

(ちゃくしんおんがばいぶもーどのままできづかなかった)

着信音がバイブモードのままで気づかなかった

(ｉｅとｅｉのれんぞくきりかえでこんらんしやすいこうぞう)

ieとeiの連続切り替えで混乱しやすい構造

(ぷらいばしーということばにいわかんをおぼえたひ)

プライバシーという言葉に違和感を覚えた日

(ｑｒとｚｘのこうごだけんはのうとゆびのはんのうをためすくんれん)

qrとzxの交互打鍵は脳と指の反応を試す訓練

(りとうのざっかやでかったびんづめのぴくるすをかいふう)

離島の雑貨屋で買った瓶詰めのピクルスを開封

(ぶどうはたけのそばではねるじゃっくらっせるてりあ)

ぶどう畑のそばで跳ねるジャックラッセルテリア

(げきじょうでくばられたしょうさっしにおもいがけないきじゅつが)

劇場で配られた小冊子に思いがけない記述が

(ほほえんでいたかのじょのめはけっしてわらっていなかった)

微笑んでいた彼女の目は決して笑っていなかった

(はんかがいのすみでばずったうわさはじわじわとひろがっていく)

繁華街の隅でバズった噂はじわじわと広がっていく

(ぺんたてからぴんくのけいこうぺんがころがりおちた)

ペン立てからピンクの蛍光ペンがころがり落ちた

(こうどうのてんじょうからつるされたしょうめいがきしむおとがした)

講堂の天井から吊るされた照明がきしむ音がした