悼

(せいばい)

成敗！

(どんてんもようのきたい)

曇天模様の鬼胎

(どれほどせいさんなんだい)

どれほど凄惨なんだい

(きりはなされるすんぜん)

切り離される寸前

(すごくいたかったんだろうね)

すごく痛かったんだろうね

(せいてんもようのふはい)

晴天模様の腐敗

(あれほどすがりついたせい)

あれほど縋りついた生

(ひきはがされるしゅんかん)

引き剥がされる瞬間

(ほんとうにこわかったんだろうね)

本当に怖かったんだろうね

(ね)

ね。

(しにんにくちだし)

死人に口出し

(うんめいにじょうなし)

運命に情無し

(わたしをいたんだ)

私を悼んだ、

(あなたにおみまい)

あなたにお見舞い！

(いじらしいていこうにやられたんだ)

いじらしい抵抗にやられたんだ

(あまりにもかわいそうだった)

あまりにもかわいそうだった

(このじだいならまともなしだって)

この時代なら　まともな死だって

(あっさりうけいれられたらなぁ)

あっさり受け入れられたらなぁ…

(たいはい)

退廃！

(はんてんもようのいたい)

斑点模様の「痛い」

(あれほどかじりついたてき)

あれほど齧りついた敵

(つきくずされてあんてん)

突き崩されて暗転

(きっとくやしかっただろうね)

きっと悔しかっただろうね

(ねえ)

ねえ…

(あなたはずるい)

あなたはずるい

(あなたがほしい)

あなたが欲しい。

(わたしをいたんだ)

私を悼んだ

(あなたわたしとおそろい)

あなた、わたしとおそろい。

(かわいそうをそうぞうして)

”かわいそう”を創造して

(もうそう)

妄想

(せんじょう)

扇情

(あいじょう)

愛情

(たいどう)

胎動

(ほんのう)

本能

(こんどう)

混同

(ほんしょう)

本性

(こんごう)

混合

(はかいりょくにひれふして)

破壊力に平伏して

(きどう)

気道

(あっぱく)

圧迫

(みゃくどう)

脈動

(まっさつ)

抹殺

(ぜつぼう)

絶望

(どうちょう)

同調

(ぜっそく)

絶息

(けつごう)

結合

(こっそりしまって)

こっそり仕舞って

(くさりはてた)

(腐り果てた)

(じつにいちずでありふれたねがい)

実に一途でありふれた願い

(じだいおくれでさめきったわたしはうちすてられてどろだらけ)

(時代遅れで冷めきった私は打ち捨てられて泥だらけ)

(いたましいきりぐちをあいしたんだ)

痛ましい斬り口を愛したんだ

(ほんとうにかわいそうじゃないか)

本当にかわいそうじゃないか…！

(このじだいにきみらしくいきた)

この時代に君らしく生きた

(あっさりうけいれられないや)

あっさり受け入れられないや…

(やっぱりゆるしてはくれないか)

やっぱり赦してはくれないか…

(あなたらしいあわれみにひかれたんだ)

あなたらしい哀れみに惹かれたんだ

(やすっぽいゆうじょうをあじわって)

安っぽい”友情”を味わって

(あなたがいたんでくれたから)

”あなたが悼んでくれたから”

(わたしとおなじあなのむじなで)

私と同じ穴の貉で、

(おなじはかあなのむくろだ)

同じ墓穴の骸だ。