ロスト・■

(ねぇわたしきづいたの)

ねぇ私　気付いたの

(せかいはこんなにもしずかだと)

世界は　こんなにも静かだと

(もうここにきこえるのは)

もう　ここに聞こえるのは

(わたしのちいさなおとくらいで)

私の小さな心音くらいで

(なにのおともきこえないのだけど)

何の音も聞こえないのだけど

(けしてきずつけられることもない)

けして傷つけられることもない

(ねぇわたしわかったの)

ねぇ私　わかったの

(なんにもいみなんてないのだと)

何にも　意味なんてないのだと

(もうなにもかんじなくても)

もう　何も感じなくても

(それでいいかなっておもえてるの)

それでいいかなって思えてるの

(だれもわたしにきづかないのだけど)

だれも私に気付かないのだけど

(だれのこえもきこえないわたしひとりきり)

誰の声も聞こえない　私一人きり

(ゆめみるように)

夢見るように

(めをつぶり)

目を瞑り

(おのれのこどうだけを)

おのれの鼓動だけを

(ききながら)

聞きながら

(かつてない)

かつてない

(せいじゃくのみちゆく)

静寂の満ちゆく

(えたもののとうとさをだきしめながら)

得たものの尊さを抱きしめながら

(しずかにわらっている)

静かに■っている

(そのしきさいをつかいはたして)

その色彩を使い果たして

(ただほのぐらいひかりうむきかん)

ただ仄暗い光産む器官

(かつてじぶんじしんがおそれうとんだ)

かつて自分自身が恐れ疎んだ

(けしてよみとれぬかんじょうをやどして)

けして読み取れぬ空虚を宿して

(しずかにきざむ。)

静かに刻む。

(ひとみはねむりつづける。)

瞳は眠り続ける。

(めざめのときは。)

目覚めの時は。

(とおくはるかだれもしらない。)

遠く遙か　誰も知らない。

(くうきょをたたえて。)

空虚を湛えて。

(みたされたこころがささやく)

満たされた心が囁く

(きっといまなら)

きっと　今なら

(いまならきっとね)

今なら　きっとね

(わたしもわらえるきがするから。)

わたしも　■■■気がするから。

(とうめいに)

透明に

(かたちづくる)

形作る

(そのひょうじょうにいろは)

その表情に色彩は

(やどらないのだけど)

宿らないのだけど

(かつてない)

かつてない

(へいおんのあるなら)

平穏のあるなら

(うしなったもののおおきさもしらなくていい)

喪ったものの大きさも知らなくていい

(わらってないてあいをなげいて)

■■って■て■を■て

(それらのいみもぜんぶすてさっても)

それらの意味も全部棄て去っても

(むねにやどすぼうしつのこころに)

胸に宿す亡失の心に

(たったいちかけらだけのこるそのえごが)

たった一カケラだけ残るそのエゴが

(いつまでもうむきずとなる。)

いつまでも膿む傷となる。

(それでもうつろにわらいつづける。)

それでも虚ろに■■続ける。