久遠

(すずやかなかぜくもをゆらし)

涼やかな風　雲を揺らし

(つきあかりかげりゆくよるは)

月明かり陰りゆく夜は

(さびしさとかしたようなあおいろで)

寂しさ溶かした様な青色で

(あたたかなきおくさえかくして)

暖かな記憶さえ隠して

(もうかえるばしょなどないのだと)

もう帰る場所などないのだと

(ひとりきりいくつもよるをこえたのに)

一人きり幾つも夜を超えたのに

(わずかにふれただけのこころ)

わずかに触れただけの心

(どうしてこんなにむねにひびく)

どうしてこんなに胸に響く

(ひろがったはもんはこころをゆらして)

広がった波紋は　心を揺らして

(つきよへとどうこくをひびかせてる)

月夜へと慟哭を　響かせてる

(わすれかれはてたはずのよつゆ)

忘れ枯れ果てた筈の夜露

(まとったままのいざよいよ)

纏ったままの十六夜よ

(ひかれてくおもいをこのむねにかくし)

惹かれてく　想いを　この胸に隠し

(そらをみあげくおんのつきよどうかどうか)

空を見上げ　久遠の　月よどうかどうか

(いつかおもいとどくようにいのった)

いつか想い届く様に　祈った

(なつのかげろうゆらめいて)

夏の陽炎ゆらめいて

(となりのあなたはまぼろしのよう)

隣のあなたは幻想（まぼろし）の様

(こんなちかくにいるはずなのに)

こんな近くにいる筈なのに

(とおくはてなくみえるのはなぜ)

遠く果てなく見えるのは何故？

(このりょうてにかかえられるだけ)

この両手にかかえられるだけ

(そんなおおくはのぞまないの)

そんな多くは望まないの

(ずっとずっとねがってたものは)

ずっとずっと願ってた物は

(きっとこのてにあるはずなのに)

きっとこの手にある筈なのに

(ゆるされぬおもいとあしたをすててた)

赦されぬ想いと　明日を捨ててた

(かわってゆくことがとてもこわかった)

変わってゆく事が　とても怖かった

(きっとのぞむものはそのさきに)

きっと望む物はその先に

(あるとしってふみだせぬまま)

あると知って踏み出せぬまま

(ゆうぐれのかげゆらりゆらめくきっと)

夕暮れの影　ゆらりゆらめくきっと

(なみだのせいじゃないからあかいゆうひよどうか)

涙のせいじゃないから　赤い　夕日よどうか

(どうかむねあつくこがすようにてらさないで)

どうか胸熱く焦がす様に　照らさないで

(とおくかぞえたほしぞらは)

遠く数えた星空は

(いつかみたそらとかわりなく)

いつかみた空と変わりなく

(せんのおくのとおいよる)

千の億の遠い夜

(にじむかげろういまにかさねて)

滲む陽炎　今に重ねて

(あきらめたおもいをもういちどあつめ)

諦めた思いを　もう一度集め

(どうこくをひびかせてあなたにふれたい)

慟哭をひびかせて　あなたに触れたい

(せおったものをなげすてて)

背負った物を投げ捨てて

(あなたのむねへとびこめたなら)

あなたの胸へ飛び込めたなら

(むねあつくこがしたそれはこいごころ)

胸熱く　焦がしたそれは恋心

(そらをみあげくおんのつきよどうかどうか)

空を見上げ　久遠の月よどうかどうか

(いつかおもいとどくようにいのった)

いつか想い届く様に　祈った