桃源郷なんてなかった

(あいされることをしらぬうち)

愛されることを知らぬうち

(こころをわすれてしまいました)

心を忘れてしまいました。

(かえりみちでまよったまま)

帰り道で迷ったまま

(すうじゅうねんがたちまし)

数十年が経ちまし

(た)

た。

(た)

た。

(た)

た。

(どうぐとしてのじんせいは)

道具としての人生は

(ひじょうにじゅうじつしたものでした)

非情に充実したものでした。

(じぶんのえがおのためならば)

自分の笑顔のためならば

(なくこともいといませんでした)

泣くことも厭いませんでした。

(あいされたい)

愛されたい

(ゆるされたい)

赦されたい

(ごめんなさい)

ごめんなさい

(もとめたしあわせはなつかしい)

求めた幸せは懐かしい

(これまでひさんなぶざまをさらして)

これまで悲惨な無様を晒して

(さんざんないきざまかかげた)

散々な生き様掲げた

(これまでたんたんとひとさまにささげて)

これまで淡々と人様に捧げて

(いままでおつかれさまでした)

今までお疲れ様でした。

(ほんとうのいみでのあいじょうを)

本当の意味での愛情を

(さいごのさいごでしったとき)

最期の最期で知ったとき

(きみをおいていくしかなかったこと)

君を置いていくしかなかったこと

(もうしわけなくおもいました)

申し訳なく思いました。

(あいしあいされるかんじょうを)

愛し愛される感情を

(なんどもおしえてくれたのに)

何度も教えてくれたのに

(うらぎるかたちになったこと)

裏切る形になったこと

(こうかいしながらめをつぶりました)

公開しながら目を瞑りました。

(あいされたい)

愛されたい

(ゆるされたい)

赦されたい

(ごめんなさい)

ごめんなさい

(もとめたしあわせはいとおしい)

求めた幸せは愛おしい

(いままでずっとかなしかった)

今までずっと悲しかった

(いつまでたえればよいんだろうか)

いつまで耐えれば良いんだろうか

(いつかきっといえるでしょう)

いつかきっと癒えるでしょう

(せかいにきらわれていきてきた)

世界に嫌われて生きてきた。

(いままでずっとくるしかった)

今までずっと苦しかった

(いつまでたえればよいんだろうか)

いつまで耐えれば良いんだろうか

(いつかきっといえるでしょう)

いつかきっと癒えるでしょう

(このよにいばしょなどなかった)

この世に居場所などなかった。

(いままでずっとかなしかった)

今までずっと悲しかった

(いつまでたえればよいんだろうか)

いつまで耐えれば良いんだろうか

(いつかきっといえるでしょう)

いつかきっと言えるでしょう

(せかいをにくんでいきてきた)

世界を憎んで生きてきた。

(はじめてまもるものができた)

はじめて守るものができた

(はじめていかることができた)

はじめて怒ることができた

(はじめてだれかのためにいきた)

はじめて誰かのために生きた。

(たどりつけるかとうげんきょう)

辿り着けるか桃源郷