対

(しんでしまうとはなさけない)

死んでしまうとは情けない

(くさったみずをのみつづけてんだ)

腐った水を飲み続けてんだ

(しんでしまうとはやるせない)

死んでしまうとは遣る瀬無い

(ぼくはもう)

僕はもう

(しにたくない)

死にたくない

(しんでしまったらしょうがない)

死んでしまったらしょうがない

(きえてしまったらせだいこうたい)

消えてしまったら世代交代

(にげてしまったらあっけない)

逃げてしまったらあっけない

(そろそろくるしいかい)

そろそろ苦しいかい

(ほらしんでしまったらもどれない)

ほら死んでしまったら戻れない

(きえてしまったらみえないせいさい)

消えてしまったら見えない制裁

(にげてしまったらかえれない)

逃げてしまったら帰れない

(そこそこわらえるかい)

そこそこ笑えるかい

(むりやりたぐりよせたいのちが)

無理矢理手繰り寄せた命が

(いまをゆらしてる)

今を揺らしてる

(ぬれたしたいかさねて)

濡れた肢体重ねて

(ぶったぎれたくびをぬいつけていた)

ぶった切れた首を縫い付けていた

(さめたからだかかえて)

冷めた体抱えて

(そっとやさしくどろをあらいながしていた)

そっと優しく泥を洗い流していた

(しんでしまうとはふがいない)

死んでしまうとは不甲斐ない

(ないてしまったらどうしようもない)

泣いてしまったらどうしようもない

(おどりだしたらとまらない)

踊りだしたら止まらない

(やれやれかえりたい)

やれやれ帰りたい

(もうしらみつぶされちゃようしゃない)

もうしらみ潰されちゃ容赦ない

(まあきえてしまってもかわらない)

まあ消えてしまっても変わらない

(またであったときはさわりたい)

また出会った時は触りたい

(ぼくはもうしにたくない)

僕はもう死にたくない

(つぎはぎにつみとったみらいが)

継ぎ接ぎに摘み取った未来が

(こえをふるわせる)

声を震わせる

(すえたしせんからめて)

据えた視線絡めて

(くたびれたきげきをえんじていた)

くたびれた喜劇を演じていた

(ふやけたゆびなぞって)

ふやけた指なぞって

(ずっとずっと)

ずっとずっと

(きみのてをにぎっていたかった)

君の手を握っていたかった

(おもいだしたかいあのきずを)

思い出したかいあの傷を

(からだうちつけるあまつぶを)

体打ち付ける雨粒を

(はけるまでのごふんかんと)

捌けるまでの五分間と

(きみょうきてれつなきょうつうを)

奇妙奇天烈な共通を

(むりやりひっぱりよせたあなたが)

無理矢理引っ張り寄せたあなたが

(ぼくをよんでいる)

僕を呼んでいる

(やけたいかりたたえて)

焼けた怒り湛えて

(つたないことばをかみしめていた)

拙い言葉を噛みしめていた

(かれたこころをとじて)

枯れた心を閉じて

(つぶれたきみのおとをだきしめていたかった)

潰れた君の音を抱きしめていたかった

(さわっていたかった)

触っていたかった

(わらっていたかった)

笑っていたかった