足売りばあさん「都市伝説」

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問題文
(しんやしずまりかえったしょうてんがいのろじうらをあるいていたのはだいがくせいのりょうすけだった)
深夜静まり返った商店街の路地裏を歩いていたのは大学生の良介だった
(ていたのだか、あたりはどこもかしこもかんさんとしている)
ていたのだか、あたりはどこもかしこも閑散としている
(ゆうじんとののみかいのかえりみちでんしゃのじかんをにがしてしまいしかたなくたくしーをさがし)
友人との飲み会の帰り道電車の時間を逃がしてしまい仕方なくタクシーを探し
(みぶるいした)
身震いした
(ひとけのないろじにあしをふみいれるとやけにつめたいかぜがふきつけてきてかれは)
人気のない路地に足を踏み入れるとやけに冷たい風が吹き付けてきて彼は
(「あしはいらんかね?」)
「足はいらんかね?」
(とつぜんみみもとでひそひそとささやかれるこえにりょうすけはおどろいてふりかえった)
突然耳元でひそひそと囁かれる声に良介は驚いて振り返った
(そこにはうすよごれたわふくをまとったろうばがたっていた)
そこには薄汚れた和服を纏った老婆が立っていた
(かのじょのすがたはくらやみにとけこむようにぶきみでひょうじょうはみえない)
彼女の姿は暗闇に溶け込むように不気味で表情は見えない
(ろうばはまるでういているようにみえたがりょうすけはそれをきのせいだとおもおうとした)
老婆はまるで浮いているように見えたが良介はそれを気のせいだと思おうとした
(「なんですか?」とりょうすけはきんちょうしながらといかえす)
「なんですか?」と良介は緊張しながら問い返す
(「あしはいらんかね?」ろうばはふたたびおなじことばをくりかえした)
「足はいらんかね?」老婆は再び同じ言葉を繰り返した
(かのじょのこえはかすれていてどこかしらとおくからきこえてくるようだった)
彼女の声はかすれていてどこかしら遠くから聞こえてくるようだった
(「いらないです」とりょうすけはとっさにこたえたこんなよなかにあしをうるなんてきみょうすぎる)
「いらないです」と良介は咄嗟に答えたこんな夜中に足を売るなんて奇妙すぎる
(わるいじょうだんにつきあうきはないしかしそのことばをきいたしゅんかんにろうばのかおがにやり)
悪い冗談に付き合う気はない しかしその言葉を聞いた瞬間に老婆の顔がにやり
(とゆがんたようにみえた)
と歪んたように見えた
(とつぜんかのじょはりょうすけのあしもとにしゃがみこみちからづよくあしをつかんだ)
突然彼女は良介の足元にしゃがみ込み力強く足を掴んだ
(そのてがほねばってっていてまるでこおりのようにつめたかった)
その手が骨ばってっていてまるで氷のように冷たかった
(かれがていこうしようとするまもなくろうばはいようなちからでかれのあしをひきちぎった)
彼が抵抗しようとする間もなく老婆は異様な力で彼の足を引きちぎった
(いたみがあたまのさきからぜんしんにひろがりりょうすけはこえにならないひめいをあげた)
痛みが頭の先から全身に広がり良介は声にならない悲鳴をあげた
(「いらんといったじゃろ?」ろうばはつめたくつぶやいた)
「いらんと言ったじゃろ?」老婆は冷たくつぶやいた
(そのしゅんかんりょうすけのしかいがぼやけあしもとからしんじがたいかんかくがおそってきた)
その瞬間良介の視界がぼやけ足元から信じがたい感覚が襲ってきた
(ひだりあしがなくなったばしょにはなにもないくうかんがひろがりあかぐろいちがふきだしている)
左足がなくなった場所には何もない空間が広がり赤黒い血が噴き出している
(りょうすけはきょうふといたみでいしきがとおのきそうになったろうばのかおだけがいようにせんめいにみた)
良介は恐怖と痛みで意識が遠のきそうになった老婆の顔だけが異様に鮮明に見た
(「これであんたもわしとおなじじゃ」ろうばはりょうすけのあしをもちあげてみせつけてゆらす)
「これであんたもわしと同じじゃ」老婆は良介の脚を持ち上げ見せつけて揺らす
(そのあしはまたたくまにろうばのからだにすいこまれるようにきえかのじょのすがたはしだいに)
その脚は瞬く間に老婆の体に吸い込まれるように消え彼女の姿は次第に
(かわりはじめた)
変わり始めた
(ろうばのせがのびしせいがまっすぐになりふくがあたらしいものにかわっていく)
老婆の背が伸び姿勢がまっすぐになり服が新しいものに変わっていく
(まるでわかがえったようにみえたろうばはりょうすけにむかってぶきみなえみをうかべた)
まるで若返ったように見えた老婆は良介に向かって不気味な笑みを浮かべた
(りょうすけはちだまりのなかにたおれこみあたまのなかできょうふがかけめぐっていたこのままでは)
良介は血だまりの中に倒れ込み頭の中で恐怖が駆け巡っていたこのままでは
(しんでしまう)
死んでしまう
(しかしからだはうごかないめのまえでろうばはそのばをはなれようとしていた)
しかし体は動かない目の前で老婆はその場を離れようとしていた
(りょうすけはひっしにさけぼうとするがこえはでない)
良介は必死に叫ぼうとするが声は出ない
(「あしはいらんかね?」)
「足はいらんかね?」
(べつのこえがはいごからきこえたりょうすけはぎょっとしてふりかえろうとしたがからだがいう)
別の声が背後から聞こえた良介はギョッとして振り返ろうとしたが体が言う
(ことをきかないふりかえることすらできずただみみにそのこえだけがひびく)
ことを聞かない 振り返ることすらできずただ耳にその声だけが響く
(「あしはいらんかね?」こんどはろうばがふたたびすがたをあらわしただかかのじょのあしもとには)
「足はいらんかね?」今度は老婆が再び姿を現した だか彼女の足元には
(あらたなひがいしゃらしきわかいじょせいがたっていたきょうふでこおりついたそのじょせいは)
新たな被害者らしき若い女性が立っていた恐怖で凍りついたその女性は
(りょうすけとおなじようにうごけずにいる)
良介と同じように動けずにいる
(めをさますとりょうすけはびょういんのべっとによこたわっていたひだりあしはすでにひざしたから)
目を覚ますと良介は病院のベットに横たわっていた左足は既に膝下から
(なくなっておりほうたいでぐるぐるまきにされていたかれのあたまにはろうばのぶきみなこえ)
なくなっており包帯でぐるぐる巻きにされていた彼の頭には老婆の不気味な声
(とうしなったあしのかんかくがこびりついてはなれなかった)
と失った足の感覚がこびりついて離れなかった
(けいさつのそうさによるとそのよるろじうらでおなじろうばにそうぐうしたとしょうげんするひとが)
警察の捜査によるとその夜路地裏で同じ老婆に遭遇したと証言する人が
(なにひとがいたがろうばはどこにもみあたらなかったもくげきしゃのなかには「あしをかった」)
何人がいたが老婆はどこにも見当たらなかった目撃者の中には「足を買った」
(とこたえたものもおりかれらのあしはいようにひだいしていたりいじょうなかんかくをうったえていた)
と答えたものもおり彼らの脚は異様に肥大していたり異常な感覚を訴えていた
(りょうすけはあしをうしなうことがないようにとちかいをたてたろうばのすがたはあたまからはなれなかった)
良介は足を失うことがないようにと誓いを立てた老婆の姿は頭から離れなかった
(そしてよるになるといまもどこかで「あしはいらんかね?」とろうばのこえがひびいている)
そして夜になると今もどこかで「足はいらんかね?」と老婆の声が響いている
(とかんがえるときょうふでねむれぬよるをすごすことがふえた)
と考えると恐怖で眠れぬ夜を過ごすことが増えた
(としのかたすみでだれかがふたたびろうばにであうことをおそれて)
都市の片隅で誰かが再び老婆に出会うことを恐れて