天底に座した浮遊鯨が完全に消滅するまでの

(もううごくことのないそれは)

もう動くことのないそれは

(えねるぎーとしてひろくいきわたり)

エネルギーとして広く行き渡り

(かちとしててんにかんげんされる)

価値として天に還元される

(てんていにざしたふゆうくじらがかんぜんにしょうめつするまでの４つのだんかいについて)

天底に座した浮遊鯨が完全に消滅するまでの4つの段階について

(だい１だんかいとおにくしょくき)

第1段階 透肉食期

(ふゆうくじらのにくはふしょくとどうじにとうかします)

浮遊鯨の肉は 腐食と同時に透過します

(そのそんざいがなくなるわけではなく)

その存在がなくなるわけではなく

(ただただひかりをとおすようになるため)

ただただ光を通すようになるため

(とうめいにくさるのがとくちょうです)

透明に腐るのが特徴です

(とうかしたにくはそらづのざめなどにほしょくされていきます)

透過した肉は 宙角鮫などに捕食されていきます

(しかくではとらえられないそれを)

視覚では捉えられないそれを

(そらづのざめはきゅうかくとろれんちーにきかんによってみつけだします)

宙角鮫は嗅覚とロレンチーニ器官によって見つけ出します

(ただもしいじょうなでんばのくういきでふゆうくじらがざしたばあいは)

ただもし 異常な電場の空域で浮遊鯨が座した場合は

(ろれんちーにきかんではざしたふゆうくじらをみつけることはできません)

ロレンチーニ器官では座した浮遊鯨を見つけることはできません

(ころらどでおきたどうようのじれいでは)

コロラドで起きた同様の事例では

(じょうしょうきりゅうによってたどりついたくうきがにたんどくで)

上昇気流によって辿り着いた空気蟹単独で

(このだんかいがしんこうされていきました)

この段階が進行されていきました

(だい２だんかいこつふうしょくき)

第2段階 骨風蝕期

(にくがなくなりいっけんするとほねだけがのこっていますが)

肉がなくなり 一見すると骨だけが残っていますが

(しぼうなどのゆうきぶつはこっぺんのあいだにざんぞんしています)

脂肪などの有機物は骨片の間に残存しています

(このだんかいではけいどふうによってはこばれたせいめいが)

この段階では 傾度風によって運ばれた生命が

(あらゆるゆうきぶつをしょうめつさせていきます)

あらゆる有機物を消滅させていきます

(でぃんとわーむはげいこつのなかにねをはりめぐらせることで)

ディントワームは 鯨骨の中に根を張り巡らせることで

(ほねのなかのたんぱくしつこうぞうをゆるやかにしょうかしていきます)

骨の中のタンパク質構造を緩やかに消化していきます

(ほかにもへぶんずしぇるやてんいえびがかぜとともにほねをむしばみ)

他にも ヘブンズシェルや天衣海老が風と共に骨を蝕み

(おおむねいちねんでこのだんかいはしゅうりょうします)

概ね一年でこの段階は終了します

(だい３だんかいこうがくへんせいき)

第3段階 光学変成期

(ほねのなかのゆうきぶつがけんあんてきにぶんかいされはじめることで)

骨の中の有機物が嫌暗的に分解されはじめることで

(こうかがくごうせいさいきんによるげいこつほんたいのぶんかいにせんいします)

光化学合成細菌による鯨骨本体の分解に遷移します

(そのぶんかいによるとくしゅなさようとして)

その分解による特殊な作用として

(げいこつがこうがくてきいほうせいをもつことにより)

鯨骨が 光学的異方性を持つ事により

(すいしょうのようなふくくっせつをおこすようになります)

水晶のような複屈折を起こすようになります

(このだんかいは１００ねんにもわたり)

この段階は100年にも渡り

(そのかていでほとんどとうめいになってもなお)

その過程でほとんど透明になってもなお

(げいこつはつちからうまれたものをすいじゃくさせます)

鯨骨は土から生まれたものを衰弱させます

(ざしてから１００ねんものあいだくういきはとくべつかんせいくであり)

座してから100年もの間 空域は特別管制区であり

(かいじょされることはなく)

解除されることはなく

(そのしゅういはそらのりからきひされています)

その周囲は空乗りから忌避されています

(だい４だんかいざんりゅうかんじょうき)

第4段階 残粒乾浄期

(もうげいこつをにくがんでみることはなくなり)

もう 鯨骨を 肉眼で 見ることはなくなり

(みくろなざんりゅうがほうかいすることでそらはいつものすがたにもどります)

ミクロな残粒が崩壊することで 空はいつもの姿に戻ります

(そこにせいぶつのへんせんがあったこともあらゆるつながりも)

そこに生物の変遷があったことも あらゆる繋がりも

(ひとつのこさずかわかされてくうかんはしんにむきんてきになります)

一つ残さず乾かされて 空間は 真に無菌的になります

(せいぶつはぶっしつにゆうかいし)

生物は 物質に 融解し

(ぶっしつはくうかんにきかしました)

物質は 空間に 気化しました

(これがてんていにざしたふゆうくじらが)

これが天底に座した浮遊鯨が

(かんぜんにしょうめつするまでの４つのだんかいです)

完全に消滅するまでの 4つの段階です