シーサイド モーテル

(しーさいどもーてるにあかりがつくのながめながら)

シーサイド・モーテルに　灯りが点くの眺めながら

(「ぼくにゃかんけいない」と、つばをはきすてている)

「僕にゃ関係ない」と、唾を吐き捨てている

(さいふにはじゅうえんだまがはちまいいすわりはばをとる)

財布には十円玉が八枚居座り　幅を取る

(しょうもないゆうきゅうのかしでもかいにいこう)

しょうもない悠久の菓子でも　買いに行こう

(なんだかこのへんもそういやずいぶんかわったなぁ)

なんだかこの辺も　そういや随分変わったなぁ

(しらないみちだとかなくなったみちとか)

知らない道だとか　無くなった道とか

(きづけばこのまちのことすらほとんどしらないなぁ)

気付けばこの街の　ことすらほとんど知らないなぁ

(ひにひにきょうみすらだんだんうすれていく)

日に日に興味すら　段々薄れていく

(こわれたぎたーおれてるないふやわれてるびんとか)

壊れたギター　折れてるナイフや　割れてるビンとか

(そういうのとならんでみたけどいわかんがないぜ)

そういうのと並んでみたけど　違和感がないぜ

(でもふしぎだ。なんだかいやなきぶんではなくて)

でも不思議だ。　なんだか嫌な気分ではなくて

(「じょうとうだぜ、こんなきぶんならそらもとべる」とわらったのさ)

「上等だぜ、こんな気分なら空も飛べる」と笑ったのさ

(しーさいどもーてるにいのちがうまれるじゅうびょうかん)

シーサイド・モーテルに　命が生まれる十秒間

(それをよこめにさかたをおとしている)

それを横目にさ　肩を落としている

(こんなぼくなんかにどうしてあいがうたえようか)

こんな僕なんかに　どうして愛が歌えようか

(びるはいつまでもぼくをわらっている)

ビルはいつまでも　僕を嗤っている

(まのぬけたひょうじょうでならないでんわをまつぼくは)

間の抜けた表情で　鳴らない電話を待つ僕は

(ちじょうのだれよりもあほうなやつだろう)

地上の誰よりも　阿呆な奴だろう

(このごにおよんでなにをしているのか)

この期に及んで　何をしているのか

(めをさましてそろそろいかなきゃ)

目を覚まして　そろそろ行かなきゃ

(じゅうがつ、ただかぜがつめたくてあきがおわっていく)

十月、ただ風が冷たくて秋が終わっていく

(おもいでなどぼくはなにひとつもっちゃいないけど)

思い出など僕は何一つ持っちゃいないけど

(さびしいひはときがたつほどにからだおかしていく)

寂しい日は時が経つほどに体侵していく

(「だからなんだ、それがどうした」とからげんきでもわらってやる)

「だから何だ、それがどうした」と空元気でも笑ってやる

(いきたくないひびを「しにたい」だなんていいかえて)

生きたくない日々を　「死にたい」だなんて言い換えて

(まるでふこうしょうねん、ぼくをわらってくれ)

まるで不幸少年、僕を笑ってくれ

(それでもぼくたちはすこしのきぼうをおいかけて)

それでも僕たちは　少しの希望を追いかけて

(でんぱのうみのなか、てがみをとばすのさ)

電波の海の中、手紙を飛ばすのさ

(しーさいどもーてるでぼくらはうみをながめながら)

シーサイド・モーテルで　僕らは海を眺めながら

(さいごのしゅんかんをむかえられるのかな)

最後の瞬間を迎えられるのかな

(そうぞうをこえていくみらいのひびをかさねながら)

想像を超えていく未来の日々を重ねながら

(さいていのかんしょくをぼくはめざすのだろう)

最低の感触を僕は目指すのだろう

(ひたにあるくよ、ありえないとしても)

ひたに歩くよ、ありえないとしても