ビードロの夜/aiko

(じゃあむごんのままでもいい)

じゃあ　無言のままでもいい

(このままとだえないならいい)

このまま途絶えないならいい

(たまにきこえてくるのなら)

たまに聞こえてくるのなら

(いきづかいやおおきなためいきでもいい)

息づかいや大きな溜息でもいい

(そっちでなってるきゅうきゅうしゃ)

そっちでなってる救急車

(うちあげはなびのかげびーどろいろのなみだは)

打ち上げ花火の影　ビードロ色の涙は

(じゅわきじゃきづかれなくていい)

受話器じゃ気付かれなくていい

(ただあなたがげんきでしあわせでいれば)

ただ「あなたが元気で幸せでいれば

(それでいいのとならべたことばはうそ)

それでいいの」と並べた言葉は嘘

(あえないのもさわれないのも)

逢えないのも触れないのも

(あたしがいないのもぜんぶいや)

あたしがいないのも　全部嫌

(ほんとうはけっきょくはそんなばめんそうぞうするだけでもいや)

本当は結局はそんな場面想像するだけでも嫌

(いまこのへやにあるのは)

今この部屋にあるのは

(すきまなくうめつくされたすき)

隙間なく埋め尽くされた「好き」

(とけいのはりはそっとまわって)

時計の針はそっと回って

(きがつけばしらずそらはあかるい)

気が付けば知らず空は明るい

(かんがえすぎたあなたのこと)

考えすぎたあなたの事

(さいこうとさいあくをいちどにおもいえがき)

最高と最悪を一度に思い描き

(どうにかなってしまいそうよ)

どうにかなってしまいそうよ

(はじめてあったふゆかおりはなつつめたいふゆ)

初めて逢った冬　香り放つ冷たい冬

(わすれられないめのおく)

忘れられない目の奥

(あいたいからおぼれたいから)

逢いたいから溺れたいから

(あなたにふれてたしかめたい)

あなたにふれて確かめたい

(あたしのむねのなかがすりきれるおとが)

あたしの胸の中が擦り切れる音が

(ほんとうにきこえるのか)

本当に聞こえるのか

(いつもいつもきまってかおをあげるときは)

いつもいつも決まって顔を上げる時は

(あなたがあたしをおいこしたあと)

あなたがあたしを追い越した後

(やっとまっすぐみつめられるけど)

やっと真っ直ぐ見つめられるけど

(くちびるかんだすがたあなたはしらない)

唇噛んだ姿あなたは知らない

(あえないのもさわれないのも)

逢えないのも触れないのも

(あたしがいないのもぜんぶいや)

あたしがいないのも全部嫌

(ほんとうはけっきょくはそんなばめんそうぞうするだけでもいや)

本当は結局はそんな場面想像するだけでも嫌