SLIP

(なつのかぜがゆびをなでる)

夏の風が指を撫でる

(すきまからくもがながれる)

隙間から雲が流れる

(なんてどらまみたいなことをいった)

なんてドラマみたいなことを言った

(ちいさなだんぼーるにとりあつかいせつめいしょ)

小さな段ボールに取扱説明書

(じゅうでんは５ふんでなくなっちゃうらしいから)

充電は5分でなくなっちゃうらしいから

(きらめくみなもがちぎれたきおくをつぐようだ)

きらめく水面がちぎれた記憶を継ぐようだ

(ふたりのくらしはあさかれてしまったのでしょう)

ふたりの暮らしは朝枯れてしまったのでしょう

(だいよげんとひくくみつもった)

大予言と低く見積もった

(このわがままをおしとおすなら)

この我儘を押し通すなら

(いくどかざしたてのさきで)

幾度翳した手の先で

(さしだされたはながはぜる)

差し出された花が爆ぜる

(ゆめまぼろしなぐりとばす)

夢まぼろし殴り飛ばす

(なぐりとばせどゆめをみる)

殴り飛ばせど夢をみる

(はずかしいほどいみもなく)

恥ずかしいほど意味もなく

(そんなあなたにこいしてた)

そんなあなたに恋してた

(とわのあいでそいとげる)

「永遠の愛で添い遂げる」

(くちやくそくにばかをみる)

口約束に馬鹿を見る

(このおもいのかたきをうつ)

この思いの仇を討つ

(なんてどらまみたいなこと)

なんてドラマみたいなこと

(ｓｌｉｐしていまさらあいにいく)

SLIPして今更会いに行く

(かわんないねこちらもあいにく)

変わんないね、こちらも生憎

(さいていださいていださいていださいていだ)

最低だ最低だ最低だ最低だ

(まきもどしてやりなおしてためすようにさいじょうえいして)

巻き戻してやり直して試すように再上映して

(なにもしらぬあなたのめやつあたりをくらうそで)

何も知らぬあなたの目八つ当たりを食らう袖

(みえたかげあいそまでつかさないで)

見えた影愛想まで尽かさないで

(あついのはきらいよ)

「暑いのは嫌いよ」

(たびするすなおもあせばんで)

旅する素直も汗ばんで

(つづいたひびはそうぞうとゆっくりずれていったでしょう)

続いた日々は想像とゆっくりずれていったでしょう

(ごめんねがいえなかったなあ)

ごめんねがいえなかったなあ

(なつのかぜがゆびをなでる)

夏の風が指を撫でる

(すきまからくもがながれる)

隙間から雲が流れる

(さいひょうせんのせんびにもどった)

砕氷船の船尾に戻った

(このわがままをわけあえるなら)

この我儘を分け合えるなら

(ばかなくちやくそくのさきで)

馬鹿な口約束の先で

(さしだされたはなははでにちゅうをまっていく)

差し出された花は派手に宙を舞っていく

(あなたはまたやさしすぎる)

あなたはまた優しすぎる

(やさしすぎるのはらがたつ)

優しすぎるの腹が立つ

(うさばらしのゆめがさめる)

憂さ晴らしの夢が覚める

(そんなあしたはこいしてたい)

そんな明日は恋してたい

(わたしたちけんかできる)

私たちケンカできる？

(すこしずつねとりもどせる)

少しずつね取り戻せる？

(わがままよねきらいになる)

「我儘よねキライになる？」

(なんてどらまみたいなことをいった)

なんてドラマみたいなことを言った

(ｓｌｉｐしていまさらあいにいく)

SLIPして今更会いに行く

(うけとってぼくによろしく)

「受け取って、僕によろしく」

(ｓｌｉｐしてもとにもどっていく)

SLIPしてもとに戻っていく

(かわんないねこちらもあいにく)

変わんないね、こちらも生憎。