小野大輔　「雨音」

(ゆるいかぜとあすふぁるとのあまおと かいだんのぼりおかのうえからみおろす)

ゆるい風とアスファルトの雨音 階段上り丘の上から見下ろす

(ちいさくなったまちなみにあふれる いろとりどりさくかさ)

小さくなった街並みにあふれる 色とりどり咲く傘

(えいえんというわかれにたちつくして ぼくはいまもこのばしょでうごけなくて)

永遠という別れに立ち尽くして 僕は今もこの場所で動けなくて

(きみがだいすきだったあじさいはもう きれいなはなをつけた)

君が大好きだったアジサイはもう きれいな花をつけた

(さよならさえいえないままで きみはかえらぬひととなった)

さよならさえ言えないままで 君は帰らぬ人となった

(もっとてをつないでいたかった このうでにぬくもりをかんじていたかった)

もっと手をつないでいたかった この腕に温もりを感じていたかった

(きっときみのきおくはきえない このせかいにふりそそぐあめのような)

きっと君の記憶は消えない この世界に降り注ぐ雨のような

(やさしさをだいたまま)

優しさを抱いたまま

(ゆうぐれどきふいにふりだしたあめ はしるきみはぼくのもとにかけよって)

夕暮れ時　不意に降り出した雨 走る君は僕の元に駆け寄って

(おおきなかさをひとつだけさそうよ てれながらいってたね)

大きな傘を一つだけ差そうよ 照れながら言ってたね

(よるがおわるかすかなひかりのなか ゆめのふちであのひのきみがわらうよ)

夜が終わるかすかな光のなか 夢の淵であの日の君が笑うよ

(つたえたいことばはたくさんあるのに めざめるときみはいない)

伝えたい言葉はたくさんあるのに 目覚めると君はいない

(やくそくさえはたせないまま きみはかえらぬひととなった)

約束さえ果たせないまま 君は帰らぬ人となった

(ずっといっしょにあるきたかった すぐそばでしあわせをかんじていたかった)

ずっと一緒に歩きたかった すぐそばで幸せを感じていたかった

(きっときみのいたみはきえない このめにあふれだすなみだのような)

きっと君の痛みは消えない この瞳にあふれだす涙のような

(せつなさをだいたまま)

切なさを抱いたまま

(わらいあったひびはいまでも こころのなかでいきつづける)

笑いあった日々は今でも 心の中で生き続ける

(もっとてをつないでいたかった このうでにぬくもりをかんじていたかった)

もっと手を繋いでいたかった この腕に温もりを感じていたかった

(きっときみのきおくはきえない このせかいにふりそそぐあめのような)

きっと君の記憶は消えない この世界に降り注ぐ雨のような

(やさしさをいだいたまま)

優しさを抱いたまま