ヒグレギ

(きみのことがじつはわらえないんだ)

君のことが実は笑えないんだ

(きっとぼくもひとりぼっちだったので)

きっと僕も一人ぼっちだったので

(しろいくもがとおのいてはとけた)

白い雲が遠のいては溶けた

(あさいなつがきしむ)

浅い夏が軋む

(あるけばあるけばかわるようにおもうんだ)

歩けば歩けば変わるように思うんだ

(あたまのうらひぐれもきえないくせに)

頭の裏　日暮れも消えない癖に

(しんじゃいたい)

死んじゃいたい

(あぁぜんぶをしっちゃいたいんだ)

あぁ全部を知っちゃいたいんだ

(ゆうなぎをうがったろくしょうのいろが)

夕凪を穿った緑青の色が

(こっけいなくらいぼくのめをうばったんだ)

滑稽なくらい僕の目を奪ったんだ

(もうどうかわらっていたい)

もうどうか笑っていたい

(あいうつむいてあるくきょうを)

逢い俯いて歩く今日を

(あかねいろのゆうがこがしていく)

茜色の夕が焦がしていく

(きみのこえもじつはわすれてるんだ)

君の声も実は忘れてるんだ

(ときをかさねなにかがかわったのか)

時を重ね何かが変わったのか

(おもいうそがぼくをおしつぶすんだ)

重い嘘が僕を押しつぶすんだ

(あかくそまるはなと)

赤く染まる花と

(なつになるせがのびる)

夏になる　背が伸びる

(うちにかえろうからすがなく)

家に帰ろう　カラスが鳴く

(いきをはくうそをはく)

息を吐く　嘘を吐く

(きみのわらうかおがある)

君の笑う顔がある

(しんじゃえもう)

死んじゃえもう

(こんなぎぜんをわらうぼくも)

こんな偽善を笑う僕も

(あいそうをはいてわらうきょうも)

愛想を吐いて笑う今日も

(しんしょうのうたにこっけいなくらい)

心象の歌に滑稽なくらい

(きみをうつしちゃって、いたい)

君を映しちゃって、痛い

(もうどうせおわってしまう)

もうどうせ終わってしまう

(ゆうすずみあいにうれうように)

夕涼み　藍に憂うように

(よあけいろのきょうをとかしていく)

夜明け色の今日を溶かしていく

(いっちゃいたいねぇ)

言っちゃいたい　ねぇ

(どうかわらっていて)

どうか笑っていて

(しんじゃいたい)

死んじゃいたい

(あぁぜんぶわかっちゃったんだ)

あぁ全部わかっちゃったんだ

(ゆうなぎをうがったろくしょうのいろが)

夕凪を穿った緑青の色が

(とうろうのせがすみきったあのあおがいたい)

灯篭の背が澄み切ったあの青が痛い

(もうどうかうたっていて)

もうどうか歌っていて

(あいうつむいてわらうきょうに)

逢い俯いて笑う今日に

(あかねいろのゆうをみたい)

茜色の夕を見たい