結ンデ開イテ羅刹ト骸

(かたあしなくしたねこがわらう)

片足無くした猫が笑う

(そこいくおじょうさんあそびましょ)

「ソコ行ク御嬢サン遊ビマショ」

(くびわにつながるあかいひもはかたあしのかわりになっちゃいない)

首輪に繋がる赤い紐は片足の代わりになっちゃいない

(ややややいやいやいや)

や　や　や　や　嫌嫌嫌

(れつなすそとばのむれがうたう)

列なす卒塔婆の群れが歌う

(そこいくおじょうさんおどりましょ)

「ソコ行ク御嬢サン踊リマショ」

(あしもとひそかにさいたはなはしかめっつらしてはぐちってる)

足下密かに咲いた花は しかめっ面しては愚痴ってる

(はらをみせたこいのぼりはらんだのはされこうべ)

腹を見せた鯉幟 孕んだのは髑髏

(やいやいあそびにいこうか)

やい やい 遊びに行こうか

(やいやいわらえやわらえ)

やい やい 笑えや笑え

(らいらいむすんでひらいてらいらいらせつとむくろ)

らい らい 結んで開いて らい らい 羅刹と骸

(ひとつふたつみっつでまたひらいていつつむっつななつでそのてをうえに)

一つ二つ三つでまた開いて 五つ六つ七つでその手を上に

(まつのきにはくびわでちゅうぶらりんりんみんなみんなみんなでむすびましょ)

松の樹には首輪で宙ぶらりんりん 皆皆皆で結びましょ

(げせんなうわばみぼぜんでいくたかりだすしんぞくあらそいそい)

下賤な蟒蛇墓前で逝く 集りだす親族争いそい

(せいぜんかれとやくそくしたぞ)

「生前彼ト約束シタゾ」

(うそぶくもしにんにくちはなし)

嘯くも死人に口は無し

(ややややいやいやいや)

や　や　や　や　嫌嫌嫌

(かってうれしいはないちもんめつぎつぎとうられるかわいこちゃん)

かって嬉しい花いちもんめ 次々と売られる可愛子ちゃん

(さいごにのこるはげひんなぶすだれにもしられずにないている)

最後に残るは下品な付子 誰にも知られずに泣いている

(やいやいいたずらしようかやいやいおどれやおどれ)

やい やい 悪戯しようか やい やい 踊れや踊れ

(らいらいむすんでひらいてらいらいらせつとむくろ)

らい らい 結んで開いて らい らい 羅刹と骸

(みっつふたつひとつでいきをころしてななつやっつとおでまたむすんで)

三つ二つ一つで息を殺して 七つ八つ十でまた結んで

(たたらさえもたえかねやけどをせおいねこはあけたふすまをしめていく)

高殿さえも耐え兼ね火傷を背負い 猫は開けた襖を閉めて行く

(けっきょくみなさまたにんごと)

結局皆様他人事

(けっきょくみなさまたにんごと)

結局皆様他人事

(けっきょくみなさまたにんごと)

結局皆様他人事

(たにんのふこうはしらんぷり)

他人の不幸は知らんぷり！

(やいやいこづくりしようかやいやいよまえやよまえ)

やい やい 子作りしようか やい やい 世迷えや世迷え

(らいらいいろはにほれほれらいらいらせつとむくろ)

らい らい イロハニ惚れ惚れ らい らい 羅刹と骸

(ひとつふたつみっつでまたひらいていつつむっつななつでそのてをうえに)

一つ二つ三つでまた開いて 五つ六つ七つでその手を上に

(とりがないてしまわぬうちにはらへらひとつふたつみっつでまたあした)

鳥が泣いてしまわぬ内にはらへら 一つ二つ三つでまた明日

(ひとつふたつみっつでまたあした)

一つ二つ三つでまた明日