鯨　タイピング

(うまれおちたつみいきのこるばつ)

生まれ落ちた罪　生き残る罰

(わたしというそんざい)

私という存在

(いっしゅんのときめきえいえんのさよなら)

一瞬のトキメキ　永遠のサヨナラ

(いつかはゆるしてください)

いつかは許して下さい

(とめることばもきかずにおかにあがってしまった)

止める言葉も聞かずに　陸に上がってしまった

(くじらのものがたりかぜがおぼえてた)

鯨の物語　風が覚えてた

(あたらしいせかいへとむねおどらせたのでしょう)

新しい世界へと胸躍らせたのでしょう

(くちぶえをふきたいきぶんだったのでしょう)

口笛を吹きたい気分だったのでしょう

(うみのはてはそらにつづくのに)

海の果ては空に続くのに

(ほしにいちばんとおいこのおかからなにをみてたの？)

星に一番遠いこの陸から何を見てたの?

(おとなになるつみふけていくばつ)

大人になる罪　老けていく罰

(わたしというそんざい)

私という存在

(いっしゅんのきらめきえいえんのくうはく)

一瞬のキラメキ　永遠の空白

(いわれなきうんめいね)

いわれ無き運命ね

(みうごきもできない)

身動きもできない

(くじらがぜつぼうしてすてていったこのばしょで)

鯨が絶望して　捨てていった　この場所で

(わたしはいきているやりきれなくなるわ)

私は生きている　やりきれなくなるわ

(やさしいきおくにふれようとして)

優しい記憶に触れようとして

(わたしのゆびさきはひどくきりさかれるの)

私の指先はひどく切り裂かれるの

(であったのもつみ？こいしたのもばつ？)

出逢ったのも罪?　恋したのも罰?

(あなたというそんざい)

あなたという存在

(むねをしめつけるくるおしいきず)

胸を締めつける狂おしい傷

(このわたしにください)

この私にください

(いたいほどいいの)

痛いほどいいの

(きもちうらはらでいじわるなわたししっとをかくせないみじめなわたし)

気持ちうらはらで意地悪な私 　嫉妬を隠せない惨めな私

(となりのこいびとねたんでるわたしじぶんあいせないわたし)

隣の恋人 妬んでる私　 自分 愛せない私

(おおきなうみにだかれてみたいのよ)

大きな海に抱かれてみたいのよ

(ときおりみなもにかおのぞかせて)

時折　水面に顔覗かせて

(つきをながめてうたをうたう)

月を眺めて歌を唄う

(きずついたくじらといっしょに)

傷ついた鯨と一緒に

(おぼえておいてねわたしのことを)

覚えておいてね　私のことを

(とおいそらまでとどくの)

遠い空まで届くの

(あいしたしんじつなくしたじじつ)

愛した真実　失くした事実

(ささやかなるらくじつ)

ささやかなる落日

(うまれおちたつみいきのこるばつ)

生まれ落ちた罪　生き残る罰

(わたしというそんざい)

私という存在

(いっしゅんのときめきえいえんのさよなら)

一瞬のトキメキ　永遠のサヨナラ

(まだゆるされないのかなぁ？)

まだ許されないのかなぁ?

(のばすてはどこへ)

伸ばす手はどこへ