東京近郊路線図/泉まくら

(さんけつになりそうなこうさてんのまんなか)

酸欠になりそうな交差点の真ん中

(ぶつかったかたにあたまさげるのはさ)

ぶつかった肩に頭下げるのはさ

(いなかからもってきたくせですってくらいだれもあやまんないな)

田舎から持ってきた癖ですってくらい誰も謝んないな

(いいかんじにゆるされるまち)

いい感じに許される街

(わたしのことわかったようなかおしててよ)

私のこと分かったような顔しててよ

(いつでもきたいしてるよ)

いつでも期待してるよ

(まとはずれなふあんがたまらなくうれしくてはいになってく)

的はずれな不安がたまらなく嬉しくてハイになってく

(そまるゆうやけそれもいいけれど)

染まる夕焼け　それもいいけれど

(ここはとかいだし)

ここは都会だし

(おもいだしてよ)

「思い出してよ」

(ただしくよるをむかえないはいとくかんはたしかに)

正しく夜を迎えない背徳感は確かに

(きみをまっているよ)

君を待っているよ

(とうきょうきんこうろせんずはほどけないぜったいに)

東京近郊路線図はほどけない絶対に

(とびこむならよるへ)

飛び込むなら夜へ

(ひとのいきるよるへ)

人の生きる夜へ

(よってもとうぜんこんないりくんだせん)

酔っても当然こんな入り組んだ線

(かんがえるほどどくなとうきょうのよるだぜ)

考える程毒な東京の夜だぜ

(あんまりからかわないでかんたんなうそであやして)

あんまりからかわないで　簡単な嘘であやして

(ねぇ)

ねぇ

(おもいだせるよ)

「思い出せるよ」

(くだらないことなんてわらわれるくらいなら)

くだらないことなんて笑われるくらいなら

(ねつはひとりむねに)

熱はひとり胸に

(とうきょうきんこうろせんずはほどけないぜったいに)

東京近郊路線図はほどけない絶対に

(とびこむならよるへ)

飛び込むなら夜へ

(よっぽどあかるいよるへ)

よっぽど明るい夜へ

(とうきょうきんこうろせんずにきたいはするなぜったいに)

東京近郊路線図に期待はするな絶対に

(どこにもつれてっちゃくれない)

どこにも連れてっちゃくれない

(とびこむならよるへ)

飛び込むなら夜へ