色喰いの鬼

(いにのこったくいもうれい)

胃に残った悔いも憂い

(はくものはないといいきった)

吐くモノは無いと言い切った

(きにならないようなひょうじょうで)

気にならないような表情で

(ふいにわらったきみがわらった)

不意に笑った　君が笑った

(いにたまったりのうえ)

胃に溜まった利の上

(しることはないといいきった)

知ることは無いと言い切った

(みにならないようなそうぞう)

身にならないような想像

(りそうもいっしょうはないきのうも)

理想も一生は無い昨日も

(あーあ)

あーあ

(きみがかったくいとうれい)

黄身がかった悔いと憂い

(みるものはないといいよった)

見るモノは無いと言い寄った

(にえきらないようなひょうじょうで)

煮え切らないような表情で

(ふいにわらったむりにわらった)

不意に笑った　無理に笑った

(きにさわったふいのしせい)

気に障った不意の姿勢

(えるものはないといいさった)

得るモノは無いと言い去った

(えにならないようなこうそう)

絵にならないような構想

(あろうがどうしようもないきのうせい)

有ろうがどうしようもない機能性

(あーあただ)

あーあ　ただ

(ちょっとまよってかわってったじぶんだ)

ちょっと迷って変わってった自分だ

(よわくはないがつよさもない)

弱くはないが強さもない

(まだごうじょうよりはいいでしょう)

まだ強情よりは良いでしょう？

(せかいがいろをくった)

世界が色を喰った

(くらいくらいくらいふかいだ)

暗い暗い暗い　不快だ

(けったいなかおをくった)

けったいな顔を喰った

(いたいいたいいたいでしょう)

痛い痛い　痛いでしょう？

(そのおせっかいがみをゆずった)

そのおせっかいが身を譲った

(いないいないいない)

いない　いない　いない

(ふがいないしったいのときをまもった)

不甲斐ない失態の時を護った

(みないないいない)

見ない　無い　いない

(めにかざったといろのけいじ)

目に飾った十色の啓示

(みるものじゃないとたちきった)

見るモノじゃないと断ち切った

(はにきぬきせぬようなものいいで)

歯に衣着せぬような物言いで

(とりがまわったいぬがまわった)

鳥が回った　犬が回った

(はにはさまったといのしせん)

歯に挟まった問いの視線

(とるものじゃないとはききった)

取るモノじゃないと吐き切った

(まにあわないようなこうどう)

間に合わないような行動

(まようがもんもんとしないなどうせ)

迷うが悶々としないな　どうせ

(あーあただ)

あーあ　ただ

(ちょっとたよってさぼっていたじぶんだ)

ちょっと頼ってサボっていた自分だ

(こわくはないがどきょうもない)

怖くはないが度胸もない

(とまってるわけがない)

留まってるわけがない

(じゃないじゃないどうした)

じゃない　じゃない？　どうした？

(せかいがとしをくった)

世界が歳を喰った

(きたいきたいきたいしたんだ)

期待　期待　期待したんだ

(いっさいのほしをくった)

いっさいの星を喰った

(じだいじだいじだいでしょう)

時代　時代　時代でしょう？

(そのぜったいがみをしまった)

その絶対が身を終った

(みたいみたいみたい)

見たい　見たい　見たい

(みつかんないじっさいのぼくをさとった)

見つかんない　実際の僕を悟った

(きらいないいない)

嫌い　無い　いない

(せかいがひとをくった)

世界が人を喰った

(くらいくらいくらいいたんだ)

暗い暗い暗い　いたんだ

(けったいなかおをくった)

けったいな顔を喰った

(いたいいたいいたいでしょう)

痛い痛い　痛いでしょう？

(そのおせっかいできをたもった)

そのおせっかいで気を保った

(しないしないしない)

しない　しない　しない

(わかんないいっぱいのぼくをまもった)

わかんない　いっぱいの僕を護った

(みないないいない)

見ない　無い　いない

(みちゃいないないいない)

見ちゃいない　無い　いない