千夜一夜

(いちやいちやきだんのあらべすく)

一夜一夜　奇談のアラベスク

(じゃこうまじりのばらのみずてんじんかのか)

麝香交じりの薔薇の水、天人花の香

(えんだいふりーとまるはばあはらん)

笑んだ鬼神[イフリート] 「歓迎しよう」[マルハバ・アハラン]

(あかつきまつかがりびあるふらいらわらいら)

暁待つ炬火 千夜一夜[アルフ・ライラ・ワ・ライラ]

(ときはめぐりめぐるせんぺんばんか)

時は廻り廻る千変万化

(からみあういんがとつながりながれゆきや)

絡み合う因果と繋がり流れゆきや

(つきはほしのしゅくずをかたらわん)

月は星の縮図を語らわむ

(まろおのまつともしびあるふらいらわらいら)

暁[マロオノ]待つ燈火 千夜一夜[アルフ・ライラ・ワ・ライラ]

(まじんのしょくだいをかざして)

魔人の蠟燭を翳して

(ろうばがよびさますいにしえののろわれしほうせきのひみつ)

老婆が呼び覚ます古の呪われし宝石の秘密

(あまねくみこころのまにまに)

遍く御心のまにまに

(ししのせにのりいさましくあまかけるはやとなれ)

獅子の背に乗り 勇ましく天駆ける羽矢となれ

(せんといちのよるをしるかぞえうた)

千と一の夜を知る数え歌

(ぺーじをひらくまたあすもそのつぎもつぎも)

ページを開く　また明日もその次も次も

(せんといちのよるをこえいまだみぬ)

千と一の夜を越え未だ見ぬ

(このつづきはまたあくるよのとばりのさきに)

この続きはまた明くる夜の帳の先に

(とおやいくえやきだんのぴかれすく)

十夜幾重夜　綺談のピカレスク

(あめいろのしゅすのきぬのぞきくちづけ)

飴色の繻子の衣覗き口づけ

(いざなういふりーたあはらわさはらん)

誘う女鬼神[イフリータ] 「どうぞこちらへ」[アハラ・ワ・サハラン]

(しろくあまきゆりかごあるふらいらわらいら)

白く甘き揺り篭 千夜一夜[アルフ・ライラ・ワ・ライラ]

(そらをかけめぐりめぐるまんてんか)

空を駆け巡り巡る満天下

(たぐりあうさだめがひろがりわかれゆきや)

手繰り合う運命が広がり分かれゆきや

(らばはすなのゆくえをうらなわん)

騾馬は砂の行方を占わむ

(うつくしきとりかごあるふらいらわらいら)

美しき鳥籠 千夜一夜[アルフ・ライラ・ワ・ライラ]

(なもなきしかはかくかたりき)

名もなき詩家は画く語りき

(けんとてもあいなくばはかりにかけてよきつりあいをなさず)

権とても愛なくば秤にかけて 良き釣り合いを成さず

(さすらうよあけのたびびとよ)

流離う夜明けの旅人よ

(ひごとあしたにわれのぼるひになんじがなをとおう)

日毎朝に我昇る陽に汝が名を問おう

(せんといちのよるをなすかたりうた)

千と一の夜を成す語り詩

(ぺーじをめくるまたあすもそのつぎもつぎも)

ページをめくる　また明日もその次も次も

(せんといちのよるをこえたどりつく)

千と一の夜を越え辿りつく

(このつづきはまたあくるよのとばりのさきに)

この続きはまた明くる夜の帳の先に

(ゆめのらんぷをもとめちへいのはて)

夢のランプを求め地平の果て

(せんといちのよるをこえるがためうたうの)

千と一の夜を越えるがため唄うの

(ゆめかうつつのしんりはしんきろう)

夢か現の真理は蜃気楼

(たださんぜんとはなひらくこのおとぎばなし)

ただ燦然と花開くこの御伽噺

(せんといちのよるをまうあいのうた)

千と一の夜を舞う愛の歌

(ぺーじをめぐるこよいもあすもそのつぎもずっと)

ページを巡る 今宵も明日もその次もずっと

(せんといちのよるをこえたどりつく)

千と一の夜を越え辿りつく

(しゅうえんへとすらうつとめくるめくらいら)

終焉へと二人きり[スラ・ウツト] めくるめく夜[ライラ]

(めぐりめぐるあさをこえいざせんや)

廻り廻る朝を越えいざ千夜

(うまれくるはだれもしらざるつぎのいちや)

生まれ来るは誰も知らざる次の一夜

(ほしとつきがゆめみた)

星と月が夢見た

(いませんやいちや)

今、千夜一夜