鋼鉄ノ鳥

(まわれまわれよいとはかなげに)

廻れ、廻れよ　いと儚げに

(つばさもたぬとりのうたよ)

翼持たぬ鳥の歌よ

(すいへいせんたかくとりはうたいいまとびたつぎんのつばさにて)

水平線高く鳥は唄い　今飛び発つ　銀の翼にて

(そのひとみにともすつめたいひはいくさばへとはなついかづちよ)

その瞳に灯す冷たい火は　戦場へと放つ雷槌よ

(そのはねでどこまでゆけるきかそらはあおくたかくどこまでもすみわたり)

その羽根で何処まで往ける気か　空は蒼く高くどこまでも澄み渡り

(しょうねんはとりになりたかっただけせんかのうずにまかれて)

少年は鳥になりたかっただけ　戦火の渦に巻かれて

(とばせはるかなるたびじでもつばさもたぬとりはとおく)

飛ばせ　遥かなる旅路でも　翼持たぬ鳥は遠く

(たとえそのてをちにそめてもおくにのためとげきてつおとす)

たとえその手を血に染めても　お国のためと　撃鉄落とす

(もやせそのいのちをひにかえてつばさやどすいしはつよく)

燃やせ　その生命を火に変えて　翼宿す意思は強く

(かげろうほどのいのちであれどそらにはなをさかせてみよう)

蜉蝣ほどの命であれど　空に　華を　咲かせてみよう

(ちへいせんにのぼるひをせにしてあさぎりへとまぎれしのびより)

地平線に昇る陽を背にして　朝霧へと紛れ忍び寄り

(いぶしぎんのきたいかるせんしはいくさばへとこっかみちびかれ)

燻銀の機体駆る戦士は　戦場へと刻下導かれ

(こうてつのとりはどこまでいけるくもはあつくしかいはさえぎられども)

鋼鉄ノ鳥は何処まで往ける　雲は厚く視界は遮られども

(さらなるそらをみるしょうねんよとりのようにはばたけ)

更なる空を見る少年よ　鳥のように羽撃け

(おとせあまたのしかばねこえてあおきほのおまいてとんで)

落とせ　数多の屍超えて　蒼き炎巻いて飛んで

(とりよりとりらしくあるためにぶきとなりてそらをかけます)

鳥より鳥らしく在るために　武器と成りて空を駆けます

(ちらせそのいのちをあかくそめつばさやどるいしはつよく)

散らせ　その生命を紅く染め　翼宿る意思は強く

(そしておのれのほむらをだいてせつなそらにちりいくさだめ)

そして己の焔を抱いて　刹那空に散り逝く定め

(ひびけかのいのちのふくいんよつばささずけそらへはなつ)

響け　彼の命の福音よ　翼授け空へ放つ

(こうてつのとりははなたれたかれのつばさとわのそらへ)

鋼鉄ノ鳥は放たれた　彼の翼永久の空へ

(くちてなおとびたつわかむしゃはとりとなりてそらをかけます)

朽ちて尚飛び立つ若武者は　鳥と成りて空を駆けます

(とばせはるかなるたびじでもつばさもたぬとりはうたう)

飛ばせ　遥かなる旅路でも　翼持たぬ鳥は詠う

(ぎんのつばさをせにはためかせあさひそらにきえるおもいよ)

銀の翼を背にはためかせ　朝日　空に　消える思いよ