悲観少女
とある界隈の人々には細やかな興奮をお届けします。
問題文
(わたしはなにをやってもしっぱいするので、)
私は何をやっても失敗するので、
(いきていてもだれのやくにもたたないし、)
生きていても誰の役にも立たないし、
(みんなにめいわくがかかります。)
みんなに迷惑がかかります。
(みんなからは「かんがえすぎ」といわれますが。)
みんなからは「考えすぎ」と言われますが。
(・・・・・・・・・・・・。)
…………。
(みんながあたりまえにできることのほとんどが、)
みんなが当たり前にできることの殆どが、
(わたしにはできません。)
私にはできません。
(おとうさんは「あまえるな」とどなって、)
お父さんは「甘えるな」と怒鳴って、
(なんどもわたしのおなかをなぐります。)
何度も私のおなかを殴ります。
(それからせなかやあそこをたくさんけられて、)
それから背中やあそこを沢山蹴られて、
(いたくていたくてなきだすと、)
痛くて痛くて泣きだすと、
(おかさんはうずくまったわたしをみおろし、)
お母さんは蹲った私を見下ろし、
(「なんでこんなこをうんだんだろう」とーー)
「何でこんな子を産んだんだろう」と――
(・・・・・・あ、ごめんなさい。)
……あ、ごめんなさい。
(だいじょうぶです、ないてないです。)
大丈夫です、泣いてないです。
(えっと、はなしをつづけますね。)
えっと、話を続けますね。
(よく「やるきがないからだ」ともいわれるのですが、)
よく「やる気がないからだ」とも言われるのですが、
(じぶんではそれなりにがんばってるつもりです。)
自分ではそれなりに頑張ってるつもりです。
(でも、みんなとおなじようにできません。)
でも、みんなと同じようにできません。
(もしかしたらもっとがんばれるのかもしれないけど、)
もしかしたらもっと頑張れるのかもしれないけど、
(なんでそんなにがんばってまで)
何でそんなに頑張ってまで
(いきなきゃいけないのでしょうか。)
生きなきゃいけないのでしょうか。
(わたしはどりょくがにがてです。)
私は努力が苦手です。
(というよりきらいです。)
というより嫌いです。
(でもよのなかは、せいしんろんというか)
でも世の中は、精神論というか
(「なにごともどりょく」とか)
「何事も努力」とか
(「どりょくすればむくわれる」といって、)
「努力すれば報われる」と言って、
(わたしみたいなひとをけいべつします。)
私みたいな人を軽蔑します。
(わたしのようなにんげんは、いきていくのにむいていません。)
私のような人間は、生きていくのに向いていません。
(いきるしかくがありません。)
生きる資格がありません。
(いきるかちがありません。)
生きる価値がありません。
(・・・・・・。)
……。
(なんでこんなごみのようなにんげんが)
何でこんなゴミのような人間が
(うまれてきてしまったんでしょうか。)
産まれてきてしまったんでしょうか。
(おとうさんやおかあさんにわるぐちをいわれたり、)
お父さんやお母さんに悪口を言われたり、
(からだじゅうたたかれたり、)
体じゅう叩かれたり、
(そんなことをされるのもわたしがわるいんです。)
そんなことをされるのも私が悪いんです。
(いままでどうしててまひまかけてそだててくれたのか、)
今までどうして手間ひまかけて育ててくれたのか、
(がっこうでいじめられてないてかえったときも、)
学校で苛められて泣いて帰ったときも、
(わたしのかみのけをつかんで、)
私の髪の毛をつかんで、
(「そんなんだからいじめられるんだ」とどなって)
「そんなんだから苛められるんだ」と怒鳴って
(なきわめくわたしをいえじゅうひきずりまわすようなひとたちなのに、)
泣きわめく私を家中引きずり回すような人たちなのに、
(どうしてじゅうごねんかんそだててきてくれたんでしょうか・・・・・・)
どうして十五年間育ててきてくれたんでしょうか……
(・・・・・・ひぐっ・・・・・・。)
……ひぐっ……。
((はんかちをてわたす))
(ハンカチを手渡す)
(・・・・・・あ。)
……あ。
(ありがとう、ございます。)
ありがとう、ございます。
(・・・・・・ぐすんっ。)
……グスンッ。