虹

(いつもそうよ。すねるときにはわたしのだいじなものをかくすでしょ。)

いつもそうよ。すねるときにはわたしの大事なものを隠すでしょ。

(そのばしょはきまっておなじだから、きょうはさきにいってまってみるわ。)

その場所は決まって同じだから、今日は先に行って待ってみるわ。

(きせつたちがゆうひをつれてきて、かげがわたしをみつけてのびる。)

季節たちが夕日を連れてきて、影がわたしを見つけてのびる。

(びっくりしたかおでわたしをみつめては、きゅうにくちとがらせぷいっとそとみるの。)

びっくりした顔でわたしを見つめては、急に口とがらせぷいっと外見るの。

(ごめんね。というとじゃあこっちにきてよ。と、)

ごめんね。と言うとじゃあこっちにきてよ。と、

(ねえほらみてみて。かげがかさなった。)

ねえほら見てみて。影が重なった。

(かさがぶつかり、まっすぐあるけない。そんなわたしをみてわらっているの。)

傘がぶつかり、まっすぐ歩けない。そんなわたしを見て笑っているの。

(わたしもやってみせてあげるの。おなじようにくちをとがらす。)

わたしもやって見せてあげるの。同じように口をとがらす。

(やさしくわらうきみが。このじかんがくうかんが。なきたくなるくらいいちばんだいじなものだよ。)

優しく笑う君がこの時間が空間が。泣きたくなるくらい、一番大事なものだよ。

(わざととがらせてるわたしにごめんね。のへんじもまたずに、やさしくきすしたの。)

わざととがらせてるわたしにごめんね。の返事も待たずに、優しくキスしたの。

(これからはちょっとくらいのわがまま。いってもいいよ。でもわたしにだけよ。)

これからはちょっとくらいのわがまま。言ってもいいよ。でもわたしにだけよ。

(めんどくさいからってすなおじゃないんだから。なんでいえないのかな。)

めんどくさいからって素直じゃないんだから。何で言えないのかな。

(すきだよ。ひとことよ。)

好きだよ。一言よ。

(たまにはききたいな。きょうはわたしときみが、みょうじをかさねたひ。あいがめぶいたひ。)

たまには聞きたいな。今日はわたしと君が名字を重ねた日。愛が芽ぶいた日。

(にじがきれいだよ。いや、おまえのほうが。)

虹がきれいだよ。いや、お前のほうが。

(てれはじめるきみに、ありがとう。ありがとう。)

照れ始める君に、ありがとう。ありがとう。