悪役にキスシーンを

(しなりおどおりのこいは)

シナリオどおりの恋は

(もうすぐおわりをむかえる)

もうすぐ終わりを迎える

(かんきゃくはだれもいない)

観客は誰もいない

(こどくなすてーじのうえ)

孤独なステージの上

(ぼくにあたえられたのは)

僕に与えられたのは

(きらわれもののあくやくで)

嫌われ者の悪役で

(きみとむすばれるひとは)

君と結ばれる人は

(ぼくじゃないほかのだれか)

僕じゃない他の誰か

(たちすくむふたりのかげ)

立ちすくむ二人の影

(すぽっとらいとがてらす)

スポットライトが照らす

(きめられたせりふどおり)

決められた台詞どおり

(ぼくはさよならをつげる)

僕はサヨナラを告げる

(なぐさめのことばどれだけならべたって)

なぐさめの言葉どれだけ並べたって

(けつまつはもうかわりはしないし)

結末はもう変わりはしないし

(ちゃんときみがだいきらいになれるように)

ちゃんと君が大嫌いになれるように

(さいていさいあくのぼくをえんじるよ)

最低最悪の僕を演じるよ

(はんぱなやさしさなんて)

半端な優しさなんて

(どくにもくすりにもならない)

毒にも薬にもならない

(しあわせをねがうのなら)

幸せを願うのなら

(きずつけるゆうきがいる)

傷つける勇気がいる

(あしもとにこぼれおちる)

足元にこぼれ落ちる

(そのなみだのかずさえも)

その涙の数さえも

(はじめからきめられている)

はじめから決められている

(あらがうことはできない)

抗うことはできない

(はりぼてのまちがゆうやけにそまって)

ハリボテの町が夕焼けに染まって

(ぼくたちのわかれをいろどる)

僕たちの別れを彩る

(みてくれをととのえるためにきかざった)

見てくれを整えるために着飾った

(れんあいかんじょうはぬぎすてる)

恋愛感情は脱ぎ捨てる

(ｂｇｍがおわるころ)

BGMが終わる頃

(すてーじはくらやみにつつまれてく)

ステージは暗闇に包まれてく

(あんてんのすきにてきみのにぎりしめ)

暗転の隙に君の手握り締め

(とおいどこかへつれていこうか)

遠いどこかへ連れて行こうか

(そんなそうぞうをするひまさえないくらいに)

そんな想像をする暇さえないくらいに

(１ぷん１びょうがとおりすぎてゆく)

一分一秒が通り過ぎてゆく

(きみをひとりぶたいにおきざりにして)

君をひとり舞台に置き去りにして

(ふりかえることなくたちさる)

振り返ることなく立ち去る

(もうにどとかおもみたくないってくらいに)

もう二度と顔も見たくないってくらいに

(さいていさいあくなぼくになれたかな？)

最低最悪な僕になれたかな？

(ゆっくりとまくがおりる)

ゆっくりと幕が降りる