鉛の冠

(いいわけばっかりね、あんたって)

「言い訳ばっかりね、アンタって」

(あのひとにそっくりなえくぼも)

あの人にそっくりな笑窪も

(ふたえまっくろなかみのけも)

二重 真黒な髪の毛も

(ほんとうにはらがたつな)

本当に 腹が立つな

(あいにくがっかりね、あめだって)

「生憎がっかりね、雨だって」

(あたしにそっくりなからだも)

あたしにそっくりな身体も

(ひとえにみなさまのおかげさま)

偏に皆様のお陰様

(もうすぐはるがくるな)

もうすぐ春が来るな

(いずれうちをでていくはんかがい)

いずれ家を出ていく 繁華街

(すくらんぶるふかしたがいろに)

スクランブル 蒸かした街路に

(ちょっとうりましょう)

ちょっと売りましょう

(またつらつらと)

またつらつらと

(あいそわらいはおてのものなんだけどな)

愛想笑いはお手の物なんだけどな

(きっとあいはここにはないとわかってて)

きっと愛は 此処には無いと 解ってて

(ゆめをみせてはうばわれて)

夢を見せては 奪われて

(あまいのはにがてだったのに)

甘いのは苦手だったのに

(いっそあいにいきたくて)

いっそ会いに 行きたくて

(いたいのにどうして)

痛いのにどうして？

(なりたくなかったのにな)

なりたくなかったのにな

(ああ、もうはきそうだ)

ああ、もう吐きそうだ

(しかられてばっかね、あんたって)

「叱られてばっかね、あんたって」

(えきまえたつぽっぽにそっくりな)

駅前立つぽっぽにそっくりな

(いろもこえもみみのかたちも)

色も 声も 耳の形も

(ぜんぶぜんぶかくしておいで)

全部 全部 隠しておいで

(みちにつらなるひとははんとうめい)

道に連なる人は半透明

(すけてみえるこころはさいごに)

透けて見える心は最後に

(やっぱうみましょう)

「やっぱ産みましょう」

(またとつとつと)

また訥々と

(あふれることばはどうせとどかないし)

溢れる言葉は どうせ 届かないし

(いっそなんにもここにはないとさえぎって)

いっそ何にも 此処には無いと 遮って

(ふたりぼっちとちいさなて)

二人ぼっちと 小さな手

(それだけでべつにいいんだけど)

それだけで 別に良いんだけど

(ずっとまえからふれたくて)

ずっと前から触れたくて

(つらいふりしないで)

辛い振りしないで

(ききたくなかったのにな)

聞きたくなかったのにな

(ああ、もうなきそうだな)

ああ、もう泣きそうだな

(ａｐｐｌｅ)

apple

(ｈｕｍａｎ)

human

(ｐｅｏｐｌｅ)

people

(ｌｉｆｅ)

life

(あいまいなびょうしゃできりとるぼせいはいつも)

曖昧な描写で切り取る母性はいつも

(くびをしめてかんじさせるｗｈｉｔｅ)

首を絞めて感じさせる white

(あのほそうで)

あの細腕

(ふこうじまんはききたくないんだ)

不幸自慢は聞きたくないんだ

(はらのなかのおばけがめをさます)

腹の中のおばけが目を覚ます

(こどもじみたたいどなきさけぶ)

子供染みた 態度 泣き叫ぶ

(なんでまたいままさに)

なんでまた？ 今 まさに

(どろのようにくらくひえた)

泥の様に暗く冷えた

(はなをつくｆｌａｖｏｒ)

鼻を突く flavor

(たとえばなしにもならない)

例え話にもならない

(いましめみじめとがめられそうな)

戒め 惨め 咎められそうな

(つみのおもさは)

罪の重さは？

(きっとあいはここにはないとわかってて)

きっと愛は 此処には無いと 解ってて

(ゆめをみせてはうばわれて)

夢を見せては 奪われて

(あまいのはにがてだったのに)

甘いのは苦手だったのに

(いっそあいにいきたくて)

いっそ会いに行きたくて

(いたいのにどうして？)

痛いのにどうして？

(なりたくなかったのにな)

なりたくなかったのにな

(ああ、もう)

ああ、もう

(はきそうだ)

吐きそうだ