解剖傑作

(はいけいざんねんながらごぶさたしています)

拝啓　残念ながらご無沙汰しています。

(おかわりなくおすごしですか)

お変わりなくお過ごしですか？

(そうだなぼくがかわったといえばわたくしごとでもうしわけないけど)

そうだな、僕が変わったといえば私事で申し訳ないけど、

(じさ１２ふんのぼくより)

時差12分の僕より。

(ほらまたじぶんのことばっかっていわれます)

「ほら、また自分の事ばっか」って言われます

(まえにかみをみじかくしたんだってね)

前に、髪を短くしたんだってね。

(それはもうきになってぼくはしりたくもないことばかりかんがえてます)

それはもう気になって、僕は知りたくもない事ばかり考えてます。

(ほらにあってないやめてよ)

ほら、似合ってない。やめてよ。

(どうしてねえあなたみたいじゃないよ)

どうしてねえ《 　　 》みたいじゃないよ？

(だれかのこのみというならぼくはいう)

誰かの好みというなら、僕は言う。

(なにもよまなくていいよこれからはおーだーめいどです)

何も読まなくていいよ。これからはオーダーメイドです。

(そういえばいぜんとしてぼくはきせつのうつりかわりもかんじないびょうかんじゃです)

そういえば、依然として僕は季節の移り変わりも感じない病患者です。

(でもかれはあかくなるかきがきらいびょうなんてみえすいたふくせんで)

でも彼は赤く成る柿が嫌い病なんて見え透いた伏線で、

(ぼくにもうかめんをくださるの)

僕にもう仮面を下さるの？

(でもかれはこうさききにはかけつけてやぶして)

でも彼はこうさ、危機には駆け付けて藪して、

(あわよくばかいぼうできてぼくのしらないぶいをさわってやって)

あわよくば解剖できて僕の知らない部位を触ってヤって、

(やっぱりうらやましいですね)

やっぱり羨ましいですね。

(ってぼくがねいうとおもったの)

って僕がね、言うと思ったの？

(どんないろかしりたいだけだから)

どんな色か知りたいだけだから。

(よわいむしのめがくさらないのはなけるだけないているから)

弱い虫の目が腐らないのは、泣けるだけ泣いているから。

(どうしてねえわたしにはなにもないよっていうんだよ)

どうしてねえ「私には何もないよ」って言うんだよ。

(７３０６にちはあなたさくです)

7306日は《　　 》作です。

(まっしろなえもあるんだってもうにげんじゃねえよ)

真っ白な絵もあるんだって、もう逃げんじゃねえよ。

(どうしてねえあなたみたいじゃないよ)

どうしてねえ、《 　　 》みたいじゃないよ？

(だれかのこのみというならぼくはいう)

誰かの好みというなら、僕は言う。

(なにもよまなくていいよ)

何も読まなくていいよ。

(ながめてるだけでそれはけっさくとなるからけいぐ)

眺めてるだけでそれは傑作となるから。敬具