福寿草

(なにもないへやでひとり)

何もない　部屋で一人

(しずかなおとがつきささる)

静かな音が突き刺さる

(あなたにもわかるでしょわたしのこころが)

あなたにも　わかるでしょ 私の心が

(すこしだけゆれているちいさなこえでつぶやいた)

少しだけ　揺れている 小さな声で　呟いた

(あなたにもみえるでしょわたしのこころが)

あなたにも　見えるでしょ 私の心が

(いつのまにとおりすぎていくわかっていたけど)

いつの間に通り過ぎていく わかっていたけど

(くりかえすきせつだけいつもそばにいてほしくて)

繰り返す季節だけ いつも側にいて欲しくて

(むねにさいたふくじゅそう)

胸に咲いた福寿草

(ああかわっていくかなしみを)

ああ　変わっていく悲しみを

(わたしはどうのりこえただろう)

私はどう乗り越えただろう

(さびしくはないといいきかせて)

寂しくはないと言い聞かせて

(とまどってもおいていかれないように)

戸惑っても追いていかれないように

(たいせつながらくたたちにしろいつばさがはえていく)

大切なガラクタ達に 白い翼が生えていく

(なにくわぬかおでほうりなげて)

何食わぬ顔で放り投げて

(あしたはいちどきりじゃないから)

明日は一度きりじゃないから

(なにもないへやでひとり)

何もない　部屋で一人

(よぞらのほしをみあげていた)

夜空の　星を見上げていた

(あなたにもみえるでしょわたしのこころが)

あなたにも　見えるでしょ 私の心が

(じかんはまきもどせないことわかっていたけど)

時間は巻き戻せない事 わかっていたけど

(かわらずにいられるのなら)

変わらずにいられるのなら

(なきむしでそめられたひびも)

泣き虫で染められた日々も

(さきほこったふくじゅそう)

咲き誇った福寿草

(ああほほをつたうこのなみだを)

ああ　頬を伝うこの涙を

(わたしはどううけとめたらいい)

私はどう受け止めたらいい

(ありふれたことばをかさねて)

ありふれた言葉を重ねて

(はなれてもわすれられないように)

離れても忘れられないように

(さびしげなまちのあかりにあまいまほうがかかっていく)

寂しげな街の灯りに 甘い魔法がかかっていく

(おくびょうなこころをひらいて)

臆病な心を開いて

(あしたはいちどきりじゃないから)

明日は一度きりじゃないから

(いつのまにとおりすぎていく)

いつの間に通り過ぎていく

(わかっていたけどもしもねがいかなうのなら)

わかっていたけど もしも願い叶うのなら

(いつもそばにいたいしあわせのひとかけら)

いつも側にいたい 幸せのひと欠片

(もうおそれないよ)

もう恐れないよ

(ああなりひびくしゅくふくをわたしはいつきづけただろう)

ああ　鳴り響く祝福を 私はいつ気づけただろう

(あめあがりのみちてらして)

雨上がりの道照らして

(てさぐりでたちどまらないように)

手探りで　立ち止まらないように

(あたらしいせかいのなかにあわいふあんがとけていく)

新しい世界の中に 淡い不安が溶けて行く

(どろだらけのふくきがえて)

泥だらけの服着替えて

(あしたはひとりきりじゃないから)

明日は一人きりじゃないから