RED

(だんだんめがまわってゆうやけがさんざんそらにちっていった)

だんだん目が回って夕焼けが燦々空に散っていった

(にじみだすくもにことばがでなくなるのはなぜ？)

滲み出す雲に言葉が出なくなるのは何故？

(とおまわりのちかみちとすたりはてたせんろ)

遠回りの近道と廃り果てた線路

(しめったてをつかんだままはやあしですすむ)

湿った手を掴んだまま速足で進む

(たがいちがいのあざみちがみずみたいにゆらいで)

互い違いの畦道が水みたいに遥らいで

(せみのねをぼかしたままたちつくしていた)

蝉の音を暈したまま立ち尽くしていた

(なつがきのうをとおりこしていく)

夏が昨日を通り越していく

(くさのにおいにわかあめのおんどまざりあったら)

草の匂いにわか雨の温度混ざりあったら

(ぼくらがきょうまでしらないひびは)

僕らが今日まで知らない日々は

(かぞえきれないうろこぐものおくでたしかによんでる)

数え切れない鱗雲の奥で確かに呼んでる

(どろにまみれたぼくのてをこばむように)

泥に塗れた僕の手を拒むように

(「むずかしい」ってはにかんだきみとぼくとじゃちがうから)

「難しい」ってはにかんだ君と僕とじゃ違うから

(だんだんめがまわってゆうやけがさんざんそらにちっていった)

だんだん目が回って夕焼けが燦々空に散っていった

(おもいだすほどにことばがでなくなるのはなぜ？)

思い出す程に言葉が出なくなるのは何故？

(みちづれにさんせいならわらって)

道連れに賛成なら笑って

(とっくにとおくにはなれたきみはただみたことのないいろにそまったひとみで)

疾っくに遠くに離れた君はただ見たことの無い色に染まった瞳で

(あぁ、まばたきのひとつもしないまま)

あぁ、瞬きの一つもしないまま

(おとななんかにはわからないいろをみている)

大人なんかには分からない色を見ている

(あぁ、とけおちてゆく)

あぁ、融け落ちて往く

(もゆるひのひみつをあざやかにとじこめて)

燃ゆる日の秘密を鮮やかに綴じ込めて

(わすれよういろあせるようにもどかしさといっしょに)

忘れよう色褪せるようにもどかしさと一緒に

(おもいだしてしまわないように)

思い出してしまわない様に

(とおまわりのかえりみちにとおりかぜがふいて)

遠回りの帰り道に通り風が吹いて

(ひとりぼっちのさいれんがひびいてはきえる)

一人ぼっちのサイレンが響いては消える

(かわりはてたせみたちのかなわなかったおもいを)

変わり果てた蝉達の叶わなかった想いを

(おわったなつのしょうたいをぼくたちはしらない)

終わった夏の正体を僕達は知らない

(にしびのおくからたいようのかげがはっていく)

西日の奥から太陽の影が這っていく

(くれなずんでいたきょうがもうすこしでおわるから)

暮れ泥んでいた今日がもう少しで終わるから

(だんだんめがまわってゆうばえがさんざんめにじんでいった)

だんだん目が回って夕映が燦々目に滲んでいった

(とうぜんだったのになみだがおちていくのはなぜ？)

当然だったのに涙が落ちていくのは何故？

(やくそくはさんざっぱらにまって)

約束はさんざっぱらに舞って

(とっくにとおくにはなれたきみはもう)

とっくに遠くに離れた君はもう

(ぼくもおなじいろにそまってわすれよう)

僕も同じ色に染まって忘れよう

(あぁ、さよならのひとつもしないまま)

あぁ、さよならの一つもしないまま

(おとななんかにはわからないいろをみてた)

大人なんかには解らない色を見てた

(きょうのひのことを)

今日の日のことを