死ぬとき死ねばいい

(いつかひとはしぬ)

いつか人は死ぬ

(それだけがぼくの)

それだけが僕の

(のうずいにはびこって)

脳髄に蔓延って

(かびになっていますが)

カビになっていますが

(このたびとっこうやくが)

この度特効薬が

(えらばれました)

選ばれました

(せいよくとしょくよくと)

せいよくと食欲と

(すいみんとかね)

睡眠と金

(にくしみとかぜんぶわすれました)

憎しみとか全部忘れました

(かなしみとかぜんぶすてました)

悲しみとか全部捨てました

(おもいだすことは)

思い出すことは

(かすかにありますが)

微かにありますが

(ぼくはもうおとなになりました)

僕はもう大人になりました

(いきるいみはそれなりにあるし)

生きる意味はそれなりにあるし

(しんでしまうときに)

死んでしまうときに

(しねばいいはなしだろ)

死ねばいい話だろ

(ひっしにはたらいてかねをかせいで)

必死に働いて金を稼いで

(かこはゆるされたのに)

過去は許されたのに

(じんせいはってんとじょうのぼくらは)

人生発展途上の僕らは

(じょうしきのめばえに)

常識の芽生えに

(とまどってばかり)

戸惑ってばかり

(つゆはあけてひびはかわき)

梅雨は明けて日々は乾き

(そのすべてにきみがいる)

その全てに君がいる

(ほおずきははぜて)

鬼灯は爆ぜて

(けものたちはたびをする)

獣たちは旅をする

(しょかみかんの)

初夏 未完の

(くものいがからまる)

蜘蛛の囲が絡まる

(てでなでた)

手で撫でた

(くさのにおいをおもいだす)

草の匂いを思い出す

(ばんかちりぎわをおもいだす)

晩夏 散り際を思い出す

(きみのはだにくしゃみをした)

君の肌にくしゃみをした

(しごとおわりは)

仕事終わりは

(びーるをのんで)

ビールを飲んで

(だいだんえんのえいがで)

大団円の映画で

(よるにそまる)

夜に染まる

(ともだちとそこそこ)

友達とそこそこ

(なかよくやれてる)

仲良くやれてる

(ひからびるひびの)

干からびる日々の

(うらでなりひびく)

裏で鳴り響く

(なあどうかうらまないでくれ)

なあ どうか恨まないでくれ

(あのにおいがいつまでも)

あの匂いがいつまでも

(はなをくすぐる)

鼻をくすぐる

(ぼくはいまをいきるんだ)

僕は今を生きるんだ

(きみはもうしんでいるんだ)

君はもう 死んでいるんだ

(いきたあかしが)

生きた証が

(しんきろうにおどって)

蜃気楼に踊って

(いみがすぎさるひびが)

意味が過ぎ去る日々が

(じんせいまんりょうみすいのぼくらには)

人生満了未遂の僕らには

(とうていいきじごくにしかおもえない)

到底生き地獄にしか思えない

(せいぎってなんだ)

正義ってなんだ？

(どうとくってなんだ)

道徳ってなんだ？

(ひびがながれいまでは)

日々が流れ今では

(みちびくがわだと)

導く側だと

(けものたちはきづかない)

獣たちは気づかない

(さよならいまはあこがれがある)

さよなら 今は憧れがある

(にんげんらしさが)

人間らしさが

(からだじゅうにしみついた)

体中に染み付いた

(しかしきみのことばはわすれない)

しかし君の言葉は忘れない

(しあわせのよんもじなんてなかった)

「シアワセの4文字なんてなかった

(いまとなっちゃどうでもいいさ)

今となっちゃどうでもいいさ」

(あいがなんだゆめがなんだ)

愛がなんだ 夢がなんだ

(それがかねになるのか)

それが金になるのか？

(じんせいはってんとじょうの)

人生発展途上の

(ぼくらはただしさとせいちょうを)

僕らは正しさと成長を

(てんびんにかける)

天秤にかける

(なんどわすれて)

何度忘れて

(なんどなげけど)

何度嘆けど

(かこはりんねするから)

過去は輪廻するから

(しぬときしねばいい)

死ぬとき死ねばいい

(だがしかしいまはいきたい)

だがしかし 今は生きたい

(にんげんらしく)

人間らしく

(にんげんらしく)

人間らしく

(そうおもわないとまえにすすめない)

そう思わないと前に進めない