小さな出来事 五、幼いEnnui ①

投稿者なぱみ プレイ回数233
難易度(4.5) 5345打 長文 タグ小説 長文
長いです!!!!!
寺田寅彦「小さな出来事」

関連タイピング

タイピングが向上しない人のためのタイピング

タイピングが向上しない人のためのタイピング

タイピングをいくら練習しても上手にならないスランプな人へ

プレイ回数607391
長文826打
米津玄師/Lemon

米津玄師/Lemon

米津玄師のLemonです

プレイ回数741733
歌詞かな1119打
第5回パソコン入力スピード認定試験 試験問題

第5回パソコン入力スピード認定試験 試験問題

約5100文字 ツラいけど頑張って!

プレイ回数40992
長文5256打
112回 ワープロ検定初段(速度)

112回 ワープロ検定初段(速度)

日本語ワープロ検定試験初段の速度問題です

プレイ回数38524
長文2179打
P検タイピング

P検タイピング

わりと長文です。

プレイ回数143729
長文582打
第113回 日本語ワープロ検定試験 4級

第113回 日本語ワープロ検定試験 4級

時間無制限です

プレイ回数72514
長文989打

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(なつやすみちゅうにいちどはこどもらをつれてちかくのかいがんへひがえりのたびをするのが)

夏休み中に一度は子供らを連れて近くの海岸へ日帰りの旅をするのが

(きんねんのじょうれいになっていた。)

近年の常例になっていた。

(そのいぜんにはいっしゅうかんくらいがとまりがけででかけることにしていたが、)

その以前には一週間くらいが泊りがけで出かけることにしていたが、

(そうするときっときまったようにだれかがてんちさきでびょうきをした。)

そうするときっときまったように誰かが転地先で病気をした。

(あるとしはははがひどいちょうかたるにかかってはんとしほどあとまでもたたられた。)

ある年は母がひどい腸カタルに罹って半年ほど後までも祟られた。

(またあるとしはふしさんにんともねつがでたりちょうをがいしたりして、ふあんしんなあやしげな)

またある年は父子三人とも熱が出たり腸を害したりして、不安心な怪しげな

(いしゃのてにかからねばならなかった。)

医者の手にかからねばならなかった。

(そのうちにちじんのあるものはほようちでえきりのためにあいじをなくしたりした。)

そのうちに知人のある者は保養地で疫痢の為に愛児を亡くしたりした。

(それでもうかいすいよくというものがおそろしくなって、)

それでもう海水浴というものが恐ろしくなって、

(とまりがけにいくきににはなれなくなってしまった。)

泊りがけに行く気ににはなれなくなってしまった。

(それでもいちどもいかないのはこどもなどにきのどくなようなきがするので、)

それでも一度も行かないのは子供等に気の毒なような気がするので、

(ひがえりりょこうということをかんがえついてそれにきめていたのである。)

日帰り旅行という事を考え付いてそれに決めていたのである。

(こどもなどはそれでもじゅうぶんにまんぞくしていたようである。)

子供等はそれでも十分に満足していたようである。

(ことしはじぶんがびょうきでいかれないことになった。)

今年は自分が病気で行かれない事になった。

(のみならずふたりのおとこのこもけんこうにこしょうがあって)

のみならず二人の男の子も健康に故障があって

(りょこうはあまりのぞましくなかったので、)

旅行はあまり望ましくなかったので、

(とうとうどこへもいかないことにきめた。)

とうとうどこへも行かないことに決めた。

(そのかわりにめいめいになにかのぞみのほんやがんぐをかってやることにして、)

その代わりに銘々に何か望みの本や玩具を買ってやることにして、

(それでげんだいがうみだしたこのいっしゅのあたらしいちちおやのぎむといったようなものを)

それで現代が生み出したこの一種の新しい父親の義務と云ったようなものを

(ゆるしてもらうことにした。)

免してもらうことにした。

など

(ねんとったほうのこどもなどはしょせきをかった。)

年とった方の子供等は書籍を買った。

(ちかごろえがおもしろくなったすえからにばんめのやえこはすいさいえのぐとふでとをかって)

近頃絵が面白くなった末から二番目の八重子は水彩絵の具と筆とを買って

(きていのきんがくはいちどにつかってしまった。)

既定の金額は一度に使ってしまった。

(まつのふゆこはせんこうはなびやちよがみやこまごましたしなをすこしずつしかかわないので、)

末の冬子は線香花火や千代紙やこまごました品を少しずつしか買わないので、

(はいとうされたわずかなきんがわりあいにながくつかいでがあるようであった。)

配当されたわずかな金が割合に長く使いでがあるようであった。

(そういうじじつはたしょうちいさなあねやあにのちゅういをひいているらしかった。)

そういう事実は多少小さな姉や兄の注意をひいているらしかった。

(がっこうへでているこらはまいあさふくしゅうをしていた。)

学校へ出ている子等は毎朝復習をしていた。

(まだようちえんのふゆこはそのじかんちゅうあいてになってくれるひとがないので、)

まだ幼稚園の冬子はその時間中相手になってくれる人がないので、

(なかまはずれのわびしさといったようなものをかんじているらしかった。)

仲間外れの侘しさといったようなものを感じているらしかった。

(それでじぶんもそぼのひざのまえへえざっしなどを)

それで自分も祖母の膝の前へ絵雑誌などを

(ひろげてやはりいっしゅのふくしゅうをしていることもあった。)

広げてやはり一種の復讐をしていることもあった。

(このし、ごがつごろからちちおやがまいにちえをかいていたのがこどもなどにえいきょうして、)

この四、五月頃から父親が毎日絵をかいていたのが子供等に影響して、

(みんながねっしんなじゆうがかになってしまった。)

みんなが熱心な自由画家になってしまった。

(だれのはつあんだかちいさな「えのざっし」をこしらえた。)

誰の発案だか小さな「絵の雑誌」をこしらえた。

(ごにんのこどもがめいめいにかくしあってかいたのをちょうじょがまとめて)

五人の子供が銘々に隠しあって書いたのを長女が纏めて

(つづったあとにはっぴょうすることにしていた。)

綴った後に発表することにしていた。

(「みそさざい」というなまえをつけていっしゅうかんにいっかいくらいずつはっこうしたのが)

「みそさざい」という名前を付けて一週間に一回くらいずつ発行したのが

(ぞんがいじぞくしてさいきんにはだいきゅうごうがかんこうされたようである。)

存外持続して最近には第九号が刊行されたようである。

(びょうしはじゅんばんでうけもつことになっているらしい。)

表紙は順番で受け持つことになっているらしい。

(しゅっぴんがをかいているうちは、ひどくひとのみるのをいやがって、)

出品画を描いているうちは、ひどく人の見るのを厭がって、

(みんなかたがたのへやのすみへあたまをつっこんでかいていた。)

みんな方々の部屋の隅へ頭を突っ込んで書いていた。

(ときどきにいさんたちがむりにのぞきにきていけないといううったえがちいさいこらから)

時々兄さんたちが無理に覗きに来ていけないという訴えが小さい子等から

(ははやそぼのまえにていしゅつされているようであった。)

母や祖母の前に提出されているようであった。

(がかのなかにはみせいひんをひとにみられることをいやがるひとがずいぶんおおいようであるが、)

画家の中には未成品を人に見られる事を厭がるひとが随分多いようであるが、

(これにはむろんしゅじゅなふくざつなじっさいてきのりゆうもあるにそういない、)

これには無論種々な複雑な実際的の理由もあるに相違ない、

(しかしそのそとにやはりこどものときからすでにもっているいっしゅのみょうな)

しかしその外にやはり子供の時からすでに持っている一種の妙な

(しんりさようもてつだっているばあいがありそうにおもわれた。)

心理作用も手伝っている場合がありそうに思われた。

(ごにんのえがくえがごにんながら、それぞれのちいさなこせいをしゅちょうしているのが)

五人の描く絵が五人ながら、それぞれの小さな個性を主張しているのが

(かなりめだってみえた。のみならずめいめいにもうすでにきまった)

かなり目立って見えた。のみならず銘々にもうすでに決まった

(いっしゅのかたのようなものがめをだしかけているのであった。)

一種の型のようなものが芽を出しかけているのであった。

(なんといってもいちばんおおくのどくそうてきなてんをもっているのは)

何と云っても一番多くの独創的な点を持っているのは

(ちいさいふゆこのじゆうがであったが、そのおもしろいてんがいちどみとめられ、)

小さい冬子の自由画であったが、その面白い点が一度認められ、

(ほめられるとそれがもうおはこになって、)

賞められるとそれがもう十八番になって、

(たとえばふじさんがでだすとそれがいかなるえにでもかならずあらわれるのであった。)

例えば富士山が出だすとそれがいかなる絵にでも必ず現れるのであった。

(こんどはしゅこうをかえておどろかしてやろうというようなきはさすがにまだなかった。)

今度は趣向を変えて驚かしてやろうというような気はさすがにまだなかった。

(そのうちにまた「みそさざい」ぶんしょうごうというのがはっかんされた。)

そのうちにまた「みそさざい」文章号というのが発刊された。

(どくしょしているとなりのむろで、やえことそうじとがひそひそはなしあっては、)

読書している隣りの室で、八重子と宗二とがひそひそ話し合っては、

(そうじがなにかはんしへかいているとおもったら、それははえねさくのおとぎばなしを)

宗二が何か半紙へ書いていると思ったら、それは八重子作の御伽噺を

(あにがひっきしているのであった。)

兄が筆記しているのであった。

(できあがったのをみると、ずいぶんいろいろのぶんしょうやうたがあった。)

出来上がったのを見ると、ずいぶんいろいろの文章や歌があった。

(ちょうなんのかんそうてきのものであねやおとうとのえやぶんしょうのけいこうがろんじてあったりした。)

長男の感想的のもので姉や弟の絵や文章の傾向が論じてあったりした。

(やえこのにっきにはおやつやおかずのことがだいぶくわしくかいてあった。)

八重子の日記にはおやつやおかずの事がだいぶ詳しく書いてあった。

(ふゆこの「ほし」とだいしたうたのようなものがあったが、)

冬子の「ホシ」と題した歌のようなものがあったが、

(いみのどうしてもわからないまったくみらいはのようなものであった。)

意味のどうしても分からない全く未来派のようなものであった。

(こどもなどがこんなことをしてわりあいになかよくおもしろくあそんでいるうちになつやすみは)

子供等がこんなことをして割合に仲良く面白く遊んでいるうちに夏休みは

(ようしゃもなくたっていった。)

容赦もなくたって行った。

(もういくつねるとがっこうやようちえんがはじまるかということがおさないこらによって)

もういくつ寝ると学校や幼稚園が始まるかという事が幼い子らによって

(まいにちくりかえされるようになった。)

毎日繰り返されるようになった。

(そうおもってみるせいか、こどもなどのかおにはどこかにけんたいのかげがうかがわれた。)

そう思って見るせいか、子供等の顔にはどこかに倦怠の影がうかがわれた。

(わたしはしんるいやちじんのだれかれがひしょさきからよこしたえはがきなどをみるたびに、)

私は親類や知人の誰彼が避暑先からよこした絵葉書などを見る度に、

(なんだかこどもなどにまだなんらかのふさいをしているような)

なんだか子供等にまだなんらかの負債をしているような

(こころもちをうちけすことができなかった。)

心持を打ち消すことが出来なかった。

(あるゆうがたいちどうちにまた「みそさざい」ぶんしょうごうというのがはっこうされた。)

ある夕方一同ちにまた「みそさざい」文章号というのが発行された。

(わたしががすずみだいとえんがわにあつまっていろんなはなしをしているあいだに、)

私がが涼み台と縁側に集まっていろんな話をしている間に、

(きょねんみんなであるよるぎんざへいってあいすくりーむをくったときのはなしがでた。)

去年みんなである夜銀座へ行ってアイスクリームを食った時の話が出た。

(それをきくとやえことふゆこがことしもぎんざへつれていってくれといいだした。)

それを聞くと八重子と冬子が今年も銀座へ連れて行ってくれと云いだした。

(じっさいさくねんいったきりでそのあといちどもいかなかったのである。)

実際昨年行ったきりでそのあと一度も行かなかったのである。

(よくじつのゆうがたはそらもよくはれゆうだちのおそれもなさそうであるし、)

翌日の夕方は空もよく晴れ夕立ちの恐れもなさそうであるし、

(ふうもすずしくてそぞろあるきにはてきとうであったから、)

風も涼しくて漫歩には適当であったから、

(づまにごにんのこともをつれさしてぎんざへあそびにやった。)

妻に五人の子供を連れさして銀座へ遊びにやった。

(まつのふたりはどんなよいところへいくかとおもわれるようによろこんで、)

末の二人はどんな好いところへいくかとおもわれるように喜んで、

(そしてじぶんらのこのみでがっこうがよいのようふくをきせてもらって。)

そして自分らの好みで学校通いの洋服を着せてもらって。

(いちじかんもまえからくつをはいていさんでとびまわっていた。)

一時間も前から靴を履いて勇んで飛び廻っていた。

(わたしはこのふたりのむしろみすぼらしいかたちばかりのようふくをみくらべているうちに)

私はこの二人のむしろみすぼらしい形ばかりの洋服を見比べているうちに

(いっしゅのわびしさをかんじた。)

一種の侘しさを感じた。

(そのわびしさはおそらくわれわれかいきゅうのちちおやがこのようなばあいに)

その侘しさはおそらく吾々階級の父親がこのような場合に

(かんずべききょうつうのものだろう。)

感ずべき共通のものだろう。

(こどもなどがでていったあとでわたしはすすみだいでははとただふたりではなしていた。)

子供等が出て行った後で私は進み台で母とただ二人で話していた。

(ざしきのでんきもおおかたけしてしまったのでにわはくらかった。)

座敷の電気も大方消してしまったので庭は暗かった。

(いえじゅうがめずらしくしんとしてひょうにわのほうでむしのおとがたかくきこえていた。)

家じゅうが珍しくしんとして表庭の方で虫の音が高く聞こえていた。

(じゅうじごろにはゆかへはいってほんをよんでいるともんのとがあいて)

十時ごろには床へ入って本を読んでいると門の戸が開いて

(みんながどやどやかえってきた。)

みんながどやどや帰ってきた。

(どうしたのかふゆこがなきながらはいってきて、きものをきかえゆかへはいっても)

どうしたのか冬子が泣きながら入って来て、着物をきかえ床へはいっても

(まだしくしくないていた。)

まだしくしく泣いていた。

(どうしたかときいてみてもなにもいわないし)

どうしたかと聞いてみても何も云わないし

(がいのものにもなぜだかわからなかった)

外のものにも何故だか分からなかった

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

◆コメントを投稿

※公序良俗に反するコメントや、他者を中傷するようなコメントはしないでください。
※ランキング登録した名前で投稿されます。

なぱみのタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表

人気ランキング

注目キーワード