怪人二十面相 前おき

投稿者なぱみ プレイ回数545
難易度(4.5) 2515打 長文 タグ小説 長文
江戸川乱歩「怪人十二面相」
順位名前スコア称号打鍵/秒正誤率時間(秒)打鍵数ミス問題日付
1 うねりん 4819 B 4.9 97.1% 499.6 2480 72 45 2020/03/14

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問題文

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(そのころ、とうきょうじゅうのまちというまち、いえといういえでは、ふたりいじょうのひとが)

そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が

(かおをあわせさえすれば、まるでおてんきのあいさつでもするように、)

顔を合わせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、

(かいじん「にじゅうめんそう」のうわさをしていました。)

怪人「二十面相」のうわさをしていました。

(「にじゅうめんそう」というのは、まいにちまいにち、しんぶんきじをにぎわしている、)

「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、

(ふしぎなとうぞくのあだなです。)

ふしぎな盗賊のあだ名です。

(そのぞくはにじゅうのまったくちがったかおをもっているといわれていました。)

その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。

(つまり、へんそうがとびきりじょうずなのです。)

つまり、変装がとびきりじょうずなのです。

(どんなにあかるいばしょで、どんなにちかよってながめても、)

どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、

(すこしもへんそうとはわからない、まるでちがったひとにみえるのだそうです。)

少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。

(ろうじんにもわかものにも、ふごうにもこじきにも、がくしゃにもぶらいかんにも、いや、おんなにさえも)

老人にも若者にも、富豪にも乞食にも、学者にも無頼漢にも、いや、女にさえも

(まったくそのひとになりきってしまうことができるといいます。)

全くその人になりきってしまうことができるといいます。

(では、そのぞくのほんとうのとしはいくつで、どんなかおをしているのかというと、)

では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、

(それは、だれひとりみたことがありません。)

それは、だれひとり見たことがありません。

(にじゅしゅものかおをもっているけれど、そのうちの、どれがほんとうのかおなのだか、)

二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、

(だれもしらない。いや、ぞくじしんでも、)

だれも知らない。いや、賊自身でも、

(ほんとうのかおをわすれてしまっているのかもしれません。)

ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。

(それほど、たえずちがったかお、ちがったすがたで、ひとのまえにあらわれるのです。)

それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。

(そういうへんそうのてんさいみたいなぞくだものですから、けいさつでもこまってしまいました。)

そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でも困ってしまいました。

(いったい、どのかおをめあてにそうさくしたらいいのか、)

いったい、どの顔を目あてに創作したらいいのか、

(まるでけんとうがつかないからです。)

まるで見当がつかないからです。

など

(ただ、せめてものしあわせは、このとうぞくは、ほうせきだとか、びじゅつひんだとか、)

ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、

(うつくしくてめずらしくて、ひじょうにこうかなしなものをぬすむばかりで、)

美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、

(げんきんにはあまりきょうみをもたないようですし、それに、ひとをきずつけたり)

現金にはあまり興味を持たないようですし、それに、人を傷つけたり

(ころしたりする、ざんこくなふるまいは、いちどもしたことがありません。)

殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。

(ちがきらいなのです。)

血がきらいなのです。

(しかし、いくらちがきらいだからといって、わるいことをするやつのことですから、)

しかし、いくら血が嫌いだからといって、悪いことをするやつのことですから、

(じぶんのみがあぶないとなれば、それをのがれるためには、なにをするか)

自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするか

(わかったものではありません。とうきょうちゅうのひとが「にじゅうめんそう」の)

わかったものではありません。東京中の人が「二十面相」の

(うわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。)

うわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。

(ことに、にほんにいくつというきちょうなしなものをもっているふごうなどは、)

ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、

(ふるえあがってこわがっていました。)

震えあがってこわがっていました。

(いままでのようすでみますと、いくらけいさつへたのんでも、ふせぎようのない、)

今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、

(おそろしいぞくなのですから。)

おそろしい賊なのですから。

(この「にじゅうめんそう」には、ひとつのみょうなくせがありました。)

この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。

(なにかこれというきちょうなしなものをねらいますと、かならずまえもって、)

何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、

(いついくひにはそれをちょうだいにさんじょうするという、よこくじょうをおくることです。)

いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。

(ぞくながらも、ふこうへいなたたかいはしたくないとこころがけているのかもしれません。)

賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心掛けているのかもしれません。

(それともまた、いくらようじんしても、ちゃんととってみせるぞ、おれのうでまえは、)

それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、

(こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。いずれにしても、)

こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。いずれにしても、

(だいたんふてき、ぼうじゃくぶじんのかいとうといわねばなりません。)

大胆不敵、傍若無人の怪盗といわねばなりません。

(このおはなしは、そういうしゅつぼつじざい、しんぺんふかしぎのかいとうと、)

このお話は、そういう出没自在、神変ふかしぎの怪盗と、

(にほんいちのめいたんていあけちこごろうには、こばやしよしおというしょうねんじょしゅがあります。)

日本一の名探偵明智小五郎には、小林芳雄という少年助手があります。

(このかわいらしいしょうたんていの、りすのようにびんしょうなかつどうも、)

このかわいらしい小探偵の、リスのようにびんしょうな活動も、

(なかなかのみものでありましょう。)

なかなかの見ものでありましょう。

(さて、まえおきはこのくらいにして、いよいよものがたりにうつることにします。)

さて、前おきはこのくらいにして、いよいよ物語にうつることにします。

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