りょうしんのせんのう

(きみにあうのがどうしようもなくめんどうだというきゅうようがはいった)

君に会うのがどうしようもなく面倒だという急用が入った。

(たのしいなんてわかってるのにってわぁっとないた)

楽しいなんて分かってるのに。って、わぁっと泣いた。

(いままでつみかさねたぜんとあくのひりつをけいさんする)

今まで積み重ねた善と悪の比率を計算する。

(これでいいんだとあきらめるきょういくはうけなかった)

これでいいんだと、諦める教育は受けなかった。

(ああきえそうだきえそうだきえたくなりそうだ)

嗚呼、消えそうだ。消えそうだ。消えたくなりそうだ。

(ただどうでもいいさいしょからそこにきょうみはなかった)

ただ、どうでもいい。最初からそこに興味はなかった。

(おまえはばかだだめだとわかっていてやってる)

お前は馬鹿だ。駄目だと分かっていてやってる。

(これでいいのせけんてきにはまちがってる)

これでいいの？　世間的には間違ってる。

(たのしいのもほんとうでくるしいのもほんとうだ)

楽しいのも本当で、苦しいのも本当だ。

(どちらかいっぽうじゃなきゃだめなんだ)

どちらか一方じゃなきゃ駄目なんだ。

(かんがえるほどつらくなるならばかみたいになってしまえ)

考えるほど辛くなる。なら、バカみたいになってしまえ。

(それがただしいしこうにおぼれていくってことだ)

それが、正しい思考に溺れていく。ってことだ。

(ああしにそうだしにそうだってことばがだいきらいだ)

嗚呼、死にそうだ。死にそうだ。って言葉が大嫌いだ。

(もっとたいへんなひとがいるんだだれかのあたまのなかに)

もっと大変な人がいるんだ、誰かの頭の中に。

(おまえはばかだえがおいがいをしんこうできない)

お前は馬鹿だ。笑顔以外を信仰できない。

(これでよかったのになんでいまさらいうんだ)

これでよかったのに？　なんで、今更言うんだ。

(すきになればすきになるほどいっしょうやさしくできない)

好きになれば好きになるほど一生優しくできない。

(たにんであるほどやさしくできるのは)

他人であるほど優しくできるのは、

(うえからめせんゆがんだむかんしん)

上から目線。歪んだ無関心。

(つまりはそういうことなのか)

つまりは、そういう、ことなのか？

(あいつはばかだ)

あいつはバカだ。

(ふこうをふこうとわめきちらかしくだらねえしあわせをしあわせだとないている)

不幸を不幸と喚き散らかし、くだらねえ幸せを幸せだと泣いている。

(おまえがばかだそれがいちばんしあわせなんだ)

お前がバカだ。それが一番幸せなんだ。

(そんなしあわせものをゆびもささずわらう)

そんな幸せ者を指も差さず笑う

(おまえがほんとうのおおばかでただのふしあわせものなんだ)

お前が本当の大バカで、ただの不幸せ者なんだ。

(きっとそれがいちばんよかったんだ)

きっと、それが一番よかったんだ。