暁を葬れば

(おぼろげなめにうつるのはまぼろし)

朧げな瞳（め）に　映るのは幻

(ひかりともすあさやけのかずだけむしばむ)

希望（ひかり）灯す朝焼けの　数だけ蝕む

(ときのはてでよこたわりひとりそっととなえたの)

時の果てで横たわり　ひとりそっと唱えたの

(はいははいとなりちにかえる)

「灰は灰となり　地に還る」

(ねがいのすなをまくためにほしふるよるもさがしたわ)

願いの砂を撒くために　星降る夜も探したわ

(おとぎばなしをまねたけどかなうことなく)

御伽噺を真似たけど　叶うことなく

(ならくのそこでかなでればのぞむものさえてにはいる)

奈落の底で奏でれば　望むものさえ手に入る

(だれがつむいだものがたり)

誰が紡いだ迷信（ものがたり）

(あてなくよるにおちるなみだ)

宛てなく　夜に堕ちる涙

(あわいおもいのつぶきおくのきみはほほえみつづける)

淡い思いの粒　記憶の君は微笑み続ける

(そらすみのたいようにせつなゆめをみたあかいはな)

空澄の太陽に　刹那夢を見た緋（あか）い花

(やきつくしなさいこのつがいのたましいを)

焼き尽くしなさい　この番（つがい）の魂を

(なくしたはねさがすあわれなとりのようね)

無くした羽根探す　哀れな鳥のようね

(みなもにうつるながれぼし)

水面（みなも）に映る　流れ星

(ほたるびににてうつくしく)

蛍火に似て　美しく

(かわるがわるにまいあがりそらへとかえる)

変わるがわるに舞い上がり　空へと還る

(それなのになぜわたしだけゆくあてのないはいのまま)

それなのになぜ　私だけ　逝（ゆ）く宛のない灰のまま

(ただときだけがすぎてゆく)

ただ時だけが過ぎてゆく

(ほしぞらおちゆくりゅうせいの)

星空　堕ちゆく流星の

(たどりつくはてにはいろどるはながさくことなどなく)

辿り着く果てには　彩る花が咲くことなどなく

(ねつをおびたおもいがわたしのこころをしめつける)

熱を帯びた想いが　わたしの心を締め付ける

(やさしいあまおとこのきおくもかきけして)

優しい雨音　この記憶も掻き消して

(いてつくはこにわでねむりについた)

凍てつく箱庭で　眠りについた

(それでもこころにのこしたひがきみをけせなくて)

それでも　心に残した焔（ひ）が　君を消せなくて

(よいやみにやかれてそらのはてさまよう)

宵闇に焼かれて　空の果て彷徨う

(つながることのないいといまもたぐりつづけるの)

繋がることのない絲（いと）　今も手繰り続けるの

(うたかたよるにおちるなみだあわいおもいのつぶ)

泡沫　夜に堕ちる涙　淡い思いの粒

(あかつきおくるしんえんはふかく)

暁　葬る（おくる）深淵は深く

(ゆめうつさぬひとみのいろどりはやがてあかをなくすわ)

夢映さぬ瞳（ひとみ）の　彩はやがて朱色（あか）を失くすわ

(しらぬいみちびくひかりむつむせかい)

不知火導く　希望（ひかり）睦む世界

(きみがまつはずのむこうがわであいたくて)

君が待つはずの　向こう側で　逢いたくて

(こえられぬあさやけ)

越えられぬ朝焼け

(おぼろげなめにうつるのはまぼろし)

朧げな瞳（め）に　映るのは幻

(ときのはてでみるゆめはいつかはふたりで)

時の果で見る夢は　いつかは二人で