夜桜リサーチ

(そのまなこはどこをむくさびしげにほほえんであいあいあい)

その眼は何処を向く寂しげに微笑んで哀哀哀

(おぼろづきにてらされたおもいほおをつたい)

朧月に照らされた想い頬を伝い

(ひとつひとつきおくになるきづいたときにはとおくこうほうに)

一つ一つ記憶になる気付いた時には遠く後方に

(ふたつみっつゆびおりかぞえたらあなたのせたけもこえて)

二つ三つ指折り数えたらあなたの背丈も越えて

(あたらよにみたゆめはるつげてあなたのそばにわたしがいて)

可惜夜に見た夢春告げてあなたの側に私がいて

(さめないでまださめないでいてよあけになく)

覚めないでまだ覚めないでいて夜明けに哭く

(ひらひらりひらひらりよざくらがまいちりちにおちて)

ひらひらりひらひらり夜桜が舞い散り地に落ちて

(いかないでてをふらないでああはなれてゆく)

いかないで手を振らないでああ離れてゆく

(そのまなこになにうつるものうげにささやいてあいあいあい)

その眼に何映る物憂げに囁いて愛愛愛

(おどりおどるはくしのうえおもいふでをつたい)

踊り踊る白紙の上想い筆を伝い

(ひとつひとつきせつめぐるそのたびにそでつかみこまらせて)

一つ一つ季節巡るその度に裾掴み困らせて

(ふたつみっつゆびおりかぞえてもとけないこたえもとめ)

二つ三つ指折り数えても解けない答え求め

(あたらよにみたゆめこころばえあなたとわたしてをからませ)

可惜夜に見た夢心映えあなたと私手を絡ませ

(このままでこのままでいいからはなさないで)

このままでこのままでいいから離さないで

(さくらのはなびらがいろのすきまぬけて)

桜の花びら街路の隙間抜けて

(あなたのふところにしのびさくよ)

あなたの懐に忍び咲くよ

(あさやけにおもかげにわかあめわたしのてのひらすりぬけて)

朝焼けに面影俄雨私の掌すり抜けて

(こぼれおちてどうどうめぐりでまたきょうもうたう)

溢れ落ちて堂々巡りでまた今日も詠う

(ひらひらりひらひらり)

ひらひらりひらひらり

(はるかぜにふかれこちょうのゆめ)

春風に吹かれ胡蝶の夢

(いかないでてをふらないで)

いかないで手を振らないで

(ああこがれている)

ああ焦がれている