飽和

(ずいぶんとながいゆめを)

随分と長い夢を

(ここちいいゆめを)

心地よい夢を

(みていたような)

見ていた様な

(そんなあわいきおくのさいご)

そんな淡い記憶の最後

(はなのたよりがまちにとどくころ)

花の便りが町に届く頃

(こんなひがくるなんてね)

こんな日が来るなんてね

(っておどけたきみは)

っておどけた君は

(しずかにいきをすいこんだあと)

静かに息を吸い込んだ後

(ていねいにことばをつむぐ)

丁寧に言葉を紡ぐ

(そのなかにちりばめられた)

その中に散りばめられた

(ごめんねだけがちゅうにのこった)

ごめんねだけが宙に残った

(しらないうちにぼくらはきっと)

知らないうちに僕らはきっと

(ひとつのいきものになって)

一つの生き物になって

(これいじょうなにもいらなくなった)

これ以上何も要らなくなった

(かんせいをむかえたんだよ)

完成を迎えたんだよ

(だからたりないままのだれかを)

だから足りないままの誰かを

(それぞれあいしてあげてと)

それぞれ愛してあげてと

(かみさまがきめたんだよきっと)

神様が決めたんだよきっと

(だれのせいでもないんだよきっと)

誰のせいでもないんだよきっと

(かなしいことじゃないんだよきっと)

悲しいことじゃないんだよきっと

(きみがえらんだこたえはほら)

君が選んだ答えはほら

(ぼくがえらんできたこたえの)

僕が選んできた答えの

(はてにたどりついたけつまつだ)

果てに辿り着いた結末だ

(だからそんなかおはよしてよ)

だからそんな顔はよしてよ

(あんなにいとしかったひびが)

あんなに愛しかった日々が

(まくをとじるこんなときさえ)

幕を閉じるこんな時さえ

(であえてほんとうによかったな)

出会えて本当に良かったな

(なんておもえるこいをしたんだよ)

なんて思える恋をしたんだよ

(そんなりっぱなこいをしたんだよ)

そんな立派な恋をしたんだよ

(ふたりでながいじかんをかけて)

二人で長い時間をかけて

(つみあげたかいだんをくだっていく)

積み上げた階段を降っていく

(いまにもくずれそうなほどに)

今にも崩れそうなほどに

(もろくてひどいできだった)

脆くて酷い出来だった

(はなれないようにはなさないように)

離れないように離さないように

(つないでいたてのひらを)

繋いでいた掌を

(ころんでしまわないように)

転んでしまわないように

(にぎりしめてくれていたのは)

握りしめてくれていたのは

(きみのほうだったんだね)

君の方だったんだね

(しらないうちにぼくはきっと)

知らないうちに僕はきっと

(かがみのなかのきみをみてた)

鏡の中の君を見てた

(みだりにゆめをかたってばかりで)

みだりに夢を語ってばかりで

(きづくこともできなかった)

気付くことも出来なかった

(これはきみのせいでもなくて)

これは君のせいでもなくて

(かみさまのせいでもないから)

神様のせいでもないから

(ぼくがうばったぶんよりずっと)

僕が奪った分よりずっと

(ながくたくさんあいされていて)

長く沢山愛されていて

(なんておもえるこいだったんだよ)

なんて想える恋だったんだよ

(かけがえないこいだったんだよ)

かけがえない恋だったんだよ

(ありがとねのあとにつづく)

ありがとねの後に続く

(つたえそびれたさよならをきみに)

伝えそびれたさよならを君に