夏目漱石「こころ」3-42
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10:嗣いだ(ついだ)
12:年歯(とし)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は短めです。
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ちゃった | 5818 | A+ | 5.8 | 99.6% | 181.5 | 1060 | 4 | 22 | 2025/10/28 |
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問題文
(にじゅうに)
二十二
(「けいのじけんがひとだんらくついたあとで、)
「Kの事件が一段落ついた後で、
(わたくしはかれのあねのおっとからながいふうしょをうけとりました。)
私は彼の姉の夫から長い封書を受け取りました。
(けいのようしにいったさきは、このひとのしんるいにあたるのですから、)
Kの養子に行った先は、この人の親類に当るのですから、
(かれをしゅうせんしたときにも、かれをふくせきさせたときにも、)
彼を周旋した時にも、彼を復籍させた時にも、
(このひとのいけんがおもきをなしていたのだと、けいはわたくしにはなしてきかせました。)
この人の意見が重きをなしていたのだと、Kは私に話して聞かせました。
(てがみにはそのごけいがどうしているかしらせてくれとかいてありました。)
手紙にはその後Kがどうしているか知らせてくれと書いてありました。
(あねがしんぱいしているから、)
姉が心配しているから、
(なるべくはやくへんじをもらいたいといういらいもつけくわえてありました。)
なるべく早く返事をもらいたいという依頼も付け加えてありました。
(けいはてらをついだあによりも、たけへえんづいたこのあねをすいていました。)
Kは寺を嗣いだ兄よりも、他家へ縁づいたこの姉を好いていました。
(かれらはみんなひとつはらからうまれたきょうだいですけれども、)
彼等はみんな一つ腹から生れた姉弟ですけれども、
(このあねとけいのあいだにはだいぶとしのさがあったのです。)
この姉とKの間には大分年歯の差があったのです。
(それでけいのこどものじぶんには、ままははよりもこのあねのほうが、)
それでKの小供の時分には、継母よりもこの姉の方が、
(かえってほんとうのははらしくみえたのでしょう。)
却って本当の母らしく見えたのでしょう。
(わたくしはけいにてがみをみせました。)
私はKに手紙を見せました。
(けいはなんともいいませんでしたけれども、)
Kは何とも云いませんでしたけれども、
(じぶんのところへこのあねからおなじようないみのしょじょうがにさんどきたということを)
自分の所へこの姉から同じような意味の書状が二三度来たという事を
(うちあけました。)
打ち明けました。
(けいはそのたびにしんぱいするにおよばないとこたえてやったのだそうです。)
Kはその度に心配するに及ばないと答えて遣ったのだそうです。
(うんわるくこのあねはせいかつによゆうのないいえにかたづいたために、)
運悪くこの姉は生活に余裕のない家に片付いたために、
(いくらけいにどうじょうがあっても、)
いくらKに同情があっても、
(ぶっしつてきにおとうとをどうしてやるわけにもいかなかったのです。)
物質的に弟をどうして遣る訳にも行かなかったのです。