プラスチックケージ

(ふうたいだおしのしゅすいとうさきの)

風袋倒しの取水塔先の

(かぜもにおいもおとすらもすたった)

風も匂いも音すらも廃った

(ごうせいじゅしでできたゆうえんちさ)

合成樹脂で出来た遊園地さ

(りんかいてん)

臨界点

(ときおりゆれるはもぞうのからしな)

時折揺れるは模造のカラシナ

(きかいじかいじたいじしょうすたっか)

機械、自壊、事態、事象スタッカ

(すうようきかんまるでばるとぶるくじょう)

枢要機関、まるでヴァルトブルク城

(やけつくのうりに)

焼け付く脳裏に

(ゆれるさかさのとけいとう)

揺れる逆さの時計塔

(きゅうてんちょっかの)

急転直下の

(きょげんはまるでほんねのしんぞう)

虚言はまるで本音の心臓

(ぱっとくらったらのけぞった)

パッと食らったら仰け反った

(ばっどとりっぷがのみこんだ)

バッドトリップが飲み込んだ

(いっそすらっくつかいこんじゃって)

いっそスラック使い込んじゃって

(こんらんとうすいしょう)

混乱陶酔症

(きっとくるったぼくのこえを)

きっと狂った僕の声を

(かっしゃがもっとかきまわして)

滑車がもっとかき回して

(ずっとつづいてゆれるばいきんぐ)

ずっと続いて揺れるバイキング

(ゆうえいどうようびょう)

遊泳動揺病

(むじんでうごくきぐるみかいくぐり)

無人で動く着ぐるみかいくぐり

(かぜもにおいもおともみうしなった)

風も匂いも音も見失った

(ごうせいじゅしでできたゆうえんちさ)

合成樹脂で出来た遊園地さ

(ゆうかいてん)

融解点

(ときおりゆれるはきかいのはぐるま)

時折揺れるは機械の歯車

(うかいるてんかいひとうひまわった)

迂回、流転、回避、逃避回った

(かけだすほうこうみちもわからぬまま)

駆け出す方向道もわからぬまま

(とけだすひょうりに)

溶け出す表裏に

(すすむさかさのとけいとう)

進む逆さの時計塔

(あとふたつすすめば)

あと二つ進めば

(ぼくらもきっとゆうたいのしんぞう)

僕らもきっと幽体の心臓

(ぱっとくらってにげまどった)

パッと食らって逃げ惑った

(はんどくらっぷがなりだした)

ハンドクラップが鳴り出した

(いっそすたっくうちくずしちゃって)

いっそスタック打ち崩しちゃって

(どうてんきょうしんしょう)

動転狭心症

(きっとくるったぼくのこえを)

きっと狂った僕の声を

(ごうせいじゅしにほうりこんで)

合成樹脂に放り込んで

(ずっとつないでかいならすんだ)

ずっと繋いで飼い馴らすんだ

(ゆうへいゆうえんしょう)

幽閉遊園症

(じっとうごかずこえころした)

じっと動かず声殺した

(ぐっとこらえてかみころした)

ぐっと堪えて噛み殺した

(あたまのなかであいずが)

頭の中で合図が

(なりひびく)

鳴り響く

(ぱっとかけだしてにげきった)

ぱっと駆け出して逃げ切った

(はんどくらっぷがなりやんだ)

ハンドクラップが鳴り止んだ

(いっそこのままけしとんじゃって)

いっそこのまま消し飛んじゃって

(ぼうれいゆうえんち)

亡霊遊園地

(きっとくるったぼくのこえは)

きっと狂った僕の声は

(かっしゃがぜんぶたべつくした)

滑車が全部食べ尽くした

(きょげんのじゅしとはいきょに)

虚言の樹脂と廃墟に

(さようなら)

さようなら