空想カレイドスコープ

(なくしたものなどほんとはないとしても)

失くしたものなどホントは無いとしても

(ものたりなさはたえずぼくをせめたてるだろう)

物足りなさは絶えず僕を責め立てるだろう

(すべてむさぼってみたされたふりしても)

すべて貪って満たされたフリしても

(こどくとうそがきみをてらしらんはんしゃする)

孤独と嘘が君を照らし乱反射する

(たいくつなことばをひびかせて)

退屈な言葉を響かせて

(かわれないぼくはまたくうそうをおよぐ)

変われない僕はまた空想を泳ぐ

(ふれるきょうかいせんぬりつぶすように)

触れる境界線塗り潰すように

(いびつなかんしょうでひていけいのふれーずをかさねてるだけ)

歪な感傷で否定形のフレーズを重ねてるだけ

(きおくあいまいさにぼやけたしきさい)

記憶 曖昧さにぼやけた色彩

(ふまじめなぼくをみていて)

不真面目な僕を見ていて

(くるおしくもにごるよくぼうだけせんれつにのこして)

狂おしくも濁る欲望だけ 鮮烈に残して

(ゆるしたはずでもこころにしずむどろに)

赦したはずでも心に沈む泥に

(あしをすくわれつづけあすをみうしなうだろう)

足を掬われ続け 明日を見失うだろう

(かたをよせあってひがいしゃのつらしても)

肩を寄せ合って被害者のツラしても

(かめんははがれおちてはくじつにさらされる)

仮面は剥がれ落ちて 白日に晒される

(ききあきたせかいのゆくすえに)

聞き飽きた世界の行く末に

(せをむけたぼくはまだついおくをなぞる)

背を向けた僕はまだ追憶をなぞる

(つのるしょうそうかんくりかえすじしょう)

募る焦燥感 繰り返す自傷

(すくんだあんしょうでこわくてきないめーじにおぼれてるだけ)

竦んだ暗礁で 蠱惑的なイメージに溺れてるだけ

(あおいごうまんさとむおんのしょうどう)

蒼い傲慢さと無音の衝動

(かすんでいくきみをおもって)

霞んでいく君を想って

(みみざわりにからむあまいこえがりょうしきをうばった)

耳障りに絡む甘い声が良識を奪った

(いつのまにかいきたあかしをこうことなく)

いつの間にか生きた証を乞うことなく

(すぎていくひをあいしもせずにくみもせずただねむる)

過ぎていく日を愛しもせず憎みもせずただ眠る

(ぼくのそんざいりゆうは)

僕の存在理由は？

(えんせいのほうきとひきかえに)

厭世の放棄と引き換えに

(てにはいれたこうふくがふしょくしてわらう)

手に入れた幸福が腐食して嗤う

(のぞむせいぜんせつもてあそぶようにうかつなげんどうで)

望む性善説弄ぶように 迂闊な言動で

(きえるよるにきえないきずつけたくて)

消える夜に消えない傷 付けたくて

(くやむけいはくさにずれていくたいど)

悔やむ軽薄さにズレていく態度

(たちさったきみをみていたいもうすこしだけ)

立ち去った君を見ていたい もう少しだけ

(うれうきょうかんかくはぐらかしたままねがったしゅうそうで)

憂う共感覚はぐらかしたまま 願った終奏で

(ふていけいのぐるーヴにゆられてるだけ)

不定形のグルーヴに揺られてるだけ

(きみのあいじょうなどしんじられなくて)

君の「愛情」など信じられなくて

(うめいていたぼくがみていたこんとらすと)

呻いていた僕が見ていたコントラスト

(ごくさいしきのしはいちんもくをこわして)

極彩色の支配 沈黙を壊して