無意識レクイエム

(ごぜんにじてんめつすいぎんとう)

午前二時 点滅 水銀燈

(ほのぐらいこうさてん)

仄暗い交差点

(うしろのしょうめんからきこえるこえ)

後ろの正面から 聴こえる声

(だれかがうそぶいていた)

誰かが嘯いていた

(うわさばなしに)

噂話に

(いわくそいつは)

曰く、そいつは

(ひっそりとたっていた)

ひっそりと立っていた

(むきしつぷっしゅおんそっとこだまする)

無機質プッシュ音そっと谺する

(あとにはもどれないよ)

後には戻れないよ

(つなぐさきにまつてんごくかじごく)

繋ぐ先に待つ天国か地獄

(こんばんはねぇしってる)

こんばんは、ねぇ、知ってる？

(みてみてあなたのそばで)

見て見て あなたのそばで

(だれかがのぞいているよ)

誰かが覗いているよ

(とらうまのあめをふらしぽとり)

トラウマの雨を降らし、ポトリ

(きょうもいちわだけにえていくはぁ)

今日も一羽だけ煮えていく はぁ

(はじめましてこんばんは)

はじめまして こんばんは

(あなたはあめですか)

あなたは雨ですか？

(かくれんぼしたのよいたずら)

隠れんぼしたのよ イタズラ

(いまあなたのちかく)

今 あなたの近く

(あいにゆくから)

会いに行くから

(となりのとなり)

隣の隣

(そうだれがつくった)

そう誰が作った

(うわさばなしに)

噂話に

(いわくそいつは)

曰く、そいつは

(うしろのしょうめんにわらうそれは)

後ろの正面に嗤う それは？

(きいてもっとれくいえむたしかなそんざいはじゅわきごしのきょうかい)

(聞いてもっと鎮魂歌 確かな存在は 受話器越しの境界)

(どこにもなくてそこにある)

どこにもなくてそこにある

(げんしするせかい)

幻視(言死)する世界

(わたしのこときづいてくれた)

私のこと、気付いてくれた？

(がちゃがちゃのぶまわすおと)

ガチャガチャ ノブ廻す音

(まよなかにじのひめごと)

真夜中二時のヒメゴト

(かげすらみえないあしおとが)

影すら見えない足音が

(ここにはこれないにわがなく)

ここには来れない二羽がなく

(つぶれてたかおみてたって)

潰れてた 顔見てたって

(だれもかもつらなって)

誰もかも連なって

(あたまからわれわれ)

頭から割れ割れ

(はってつたうのあかしんごう)

這って伝うの赤信号

(ここからここまで)

ここから ここまで

(どこかのまよいみちとおりゃんせ)

どこかの迷い道通りゃんせ

(てんじんさまいいました)

天神さま言いました

(かえりははがれますけれど)

帰りは剥がれます けれど

(へいきへいきへいきへいき)

平気平気平気平気

(ちぎれちぎる)

ちぎれ、ちぎる

(きみときみも)

きみと、きみも

(まじるあかい)

まじる、あかい

(あかいむだぼねよ)

あかい、無駄骨よ

(せかいひとり)

せかい、ひとり

(あなたわたし)

あなた、わたし

(ゆめもついに)

ゆめも、ついに

(おわりいたい)

おわり、いたい

(いたいいたい)

いたい、いたイ

(ただただうまれたときに)

ただただ 生まれた時に

(もったきずついたこころ)

持ったきずついた心

(だれかをきずつけただけなの)

誰かを傷つけただけなの

(いのせんとこんなめにあうのかなんて)

イノセント こんな目に遭うのか？なんて

(わからないのならばふるえてねむりなさい)

わからないのならばふるえて眠りなさい

(ねぇわたしいまあなたの)

ねぇ、私、今、あなたの...

(ああばらばらからだとこころ)

嗚呼 ばらばら 體と魂

(もとにはもどれぬいのち)

元には戻れぬ命

(あなたはいつまでゆめみてるの)

あなたはいつまで夢見てるの？

(ふこうへいめんそうたいせい)

不公平面相対性

(もしもしわたしはめりー)

もしもし 私はメリー

(うそのようなほんとうは)

嘘のような本当は

(ばっどえんどきめつけないでよ)

バッドエンド 決めつけないでよ

(きょうもいちわだけきえていく)

今日も一羽だけ消えていく

(きょうもあまあまににえていく)

今日も甘々に贄ていく