鳳仙花

(みにつけたへっどふぉんの)

身につけたヘッドフォンの

(たんしはむきだしのまま)

端子はむき出しのまま

(とにかくいまはただ)

とにかく今はただ

(げかいをしゃだんしたくて)

下界を遮断したくて

(ときどきかぜのおと)

時々風の音

(まぶたをとじてくらやみ)

まぶたを閉じて暗闇

(だれにもじゃまされない)

誰にも邪魔されない

(わたしだけのえりあ)

私だけのエリア

(つよがっているわけないじゃないかと)

強がっているわけないじゃないかと

(いいきかせていいきかせて)

言い聞かせて　言い聞かせて

(どこまであるくの？)

どこまで歩くの？

(さびしいなんてことばくちがさけてもいうものか)

寂しいなんて言葉　口が裂けても言うものか

(だってだって)

だって　だって

(かわいそうだとかおもわれたらはじだわ)

かわいそうだとか思われたら　恥だわ

(きらわれているんでしょう？)

嫌われているんでしょう？

(いいえひとりがすきなだけ)

いいえ一人が好きなだけ

(だってだって)

だって　だって

(そうでもえんじなければわたし)

そうでも演じなければ私

(とっくにこわれてしまってるわああ)

とっくに壊れてしまってるわ　ああ

(わたしにふれないで)

「私に触れないで」

(だまりこんだほうせんか)

黙り込んだ鳳仙花

(からをやぶらないと)

殻を破らないと

(たねものこせないのにね)

種も遺せないのにね

(みんなたのしそうでも)

みんな楽しそうでも

(じぶんだけはかやのそと)

自分だけは蚊帳の外

(さいしょからあのばしょ)

最初からあの場所

(いられたらちがってたかな)

いられたら違ってたかな

(どこにもはいれずうろたえるより)

どこにも入れずうろたえるより

(どうどうとこりつしてたほうがかっこいいでしょう？)

堂々と孤立してた方が格好いいでしょう？

(なかまにいれてなんてくちがさけてもいうものか)

仲間に入れてなんて　口が裂けても言うものか

(だってだって)

だって　だって

(わたしのぷらいどがそれをゆるさないの)

私のプライドがそれを許さないの

(うらやましいだなんて)

うらやましいだなんて

(おもわないおもいたくない)

思わない　思いたくない

(いっそいっそ)

いっそ　いっそ

(ともだちなんかいらないから)

友達なんかいらないから

(おれることないこころくださいああ)

折れることないこころください　ああ

(といれにもひとりでいけないくせに)

トイレにも一人で行けないくせに

(ののしりつつののしりつつ)

罵りつつ　罵りつつ

(よこめでおってた)

横目で追ってた

(さびしいなんてことばくちがさけてもいうものか)

寂しいなんて言葉　口が裂けても言うものか

(だってだって)

だって　だって

(かわいそうだとかおもわれたらまけだわ)

かわいそうだとか思われたら　負けだわ

(きらわれているんでしょう？)

嫌われているんでしょう？

(いいえひとりがすきなだけ)

いいえ一人が好きなだけ

(だってだって)

だって　だって

(そうでもえんじなければわたし)

そうでも演じなければ私

(とっくにこわれてしまってるわ)

とっくに壊れてしまってるわ