明神変化

(このはなをさかせましょう)

この花を咲かせましょう

(ことのはをさかせましょう)

言の葉を咲かせましょう

(やまににしきばえいただきにせきをかまえ)

山に錦栄え 頂に席を構え

(とらぬかわざんようえにかいたもちつき)

取らぬ皮算用 絵に描いた餅つき

(どこかなつかしいそらにめをとられてはいけない)

どこか懐かしい空に 目を取られてはいけない

(うえばかりきにしてたぬきもきからおちるだろう)

上ばかり気にして 狸も木から落ちるだろう

(ちえをくらべたあいだがらじゃないか)

知恵を比べた間柄じゃないか

(かちでもまけでもどちらもどちら)

勝ちでも負けでも どちらもどちら

(やまやまにあけぼののひがでずる)

山々に曙の 日が出ずる

(ひとりきりさがしてふたりごとしましょ)

一人きり探して 二人ごとしましょ

(みようみまねのひといついつでやる？)

見よう見まねの人 いついつ出やる？

(むなさわぎかまけてやくそくをしましょ)

胸騒ぎかまけて 約束をしましょ

(あさもよるもなくおどらにゃそんそん)

朝も夜も無く踊らにゃそんそん

(はなさかせはなさかせやれ)

花咲かせ花咲かせ やれ

(ことのはさかせてみせましょうか)

言の葉咲かせてみせましょうか

(ほとけのうつわもさんどじゃていどがしれる)

仏の器も三度じゃ程度が知れる

(だんじょう（ぶつだん）のまえではひともようもしらんぷり)

壇上(ぶつだん)の前では人も妖も知らんぷり

(たがいたがいにしらぬなかじゃないか)

互い互いに知らぬ仲じゃないか

(つみあげつもられつらつらうつら)

積み上げ積もられ つらつらうつら

(すべりおとつつるべ（つるべ）のおとひもおちる)

滑り落つ釣瓶(つるべ)の音 日も落ちる

(したのねをかわかすじかんなぞありゃせん)

舌の根を乾かす 時間なぞありゃせん

(ばかされてばかしておにさんこちら)

化かされて化かして 鬼さんこちら

(みせかけのねがいはあかごすらみぬく)

見せ掛けの願いは 赤子すら見抜く

(いちごいちえゆえきりすてごめん)

一期一会故 切り捨て御免

(おわれよかおわれよかいざ)

おわれよか おわれよか いざ

(しんたいにこころにおうたろうか)

身体に心に負うたろうか

(だましたはずがあばかれて)

騙したはずが 暴かれて

(にがさぬためにほだされて)

逃がさぬ為に 絆されて

(うそつきたぬきわるびれず)

嘘吐き狸 悪びれず

(ざんねんむねんのれんおし)

残念無念 暖簾押し

(しらぬはほとけもさじをなげる)

知らぬは仏も匙を投げる

(たぬきのよめいりたいかいしらず)

狸の嫁入り 大海知らず

(かぜまかせそらもしののめ)

風任せ 空も東雲

(きたかぜさまにゆらされたまつはがおちる)

北風様に 揺らされた 松葉が落ちる

(かれきのにぎわいをさかせてみせましょう)

枯れ木の賑わいを 咲かせてみせましょう

(よみびとをしらずはこのはなさくや)

詠み人を知らずは この花咲くや

(むすんでひらいてのうあるつめかくせ)

結んで開いて能ある爪隠せ

(ここがしょうぶどころいざすすめ)

ここが勝負どころ いざ進め

(おどれやおどれらまいれや)

踊れや おどれら 参れや

(たいこをなりひびかせて)

太鼓を鳴り響かせて

(にんげんようばかしあい)

人間 妖 化かし合い

(いつかいつかのまたまたあした)

いつか いつかの またまた明日

(ことばじりをにごさず)

言葉尻を濁さず

(まいちることのはふぶき)

舞い散る 言の葉吹雪

(あしたはあしたのかぜがふく)

明日は明日の風が吹く

(しょうぶのいかんすら)

勝負の如何すら

(あそびましょあそびましょさあ)

遊びましょ 遊びましょ さあ

(おどりましょおどりましょいざ)

踊りましょ 踊りましょ いざ

(みなみなさまうたいましょう)

皆々様 唄いましょう

(どこぞしれぬばかされものがたり)

何処ぞ 知れぬ 化かされ物語

(ことのはのはながさく)

言の葉の花が咲く