三十六歌仙 和歌
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(ほのぼのとあかしのうらのあさぎりにしまがくれゆくふねをしぞおもふ)
ほのぼのと明石の浦の朝霧に島がくれゆく舟をしぞ思ふ
(わかのうらにしおみちくればかたをなみあしべをさしてたづなきわたる)
和歌の浦に潮満ちくれば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る
(をちこちのたづきもしらぬやまなかにおぼつかなくもよぶこどりかな)
をちこちのたづきもしらぬ山中におぼつかなくも呼小鳥かな
(はるののにあさるきぎすのつまごひにおのがあたりをひとにしれつつ)
春の野にあさる雉子の妻恋ひにおのがあたりを人に知れつつ
(わびぬればみをうきくさのねをたえてさそふみずあらばいなむとぞおもふ)
わびぬれば身をうき草の根を絶えて誘ふ水あらばいなむとぞ思ふ
(たらちねはかかれとしてもぬばたまのわがくろかみはなでずやありけむ)
たらちねはかかれとしてもぬばたまの我が黒髪はなでずやありけむ
(よのなかにたえてさくらのなかりせばはるのこころはのどけからまし)
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
(あききぬとめにはさやかにみえねどもかぜのおとにぞおどろかれぬる)
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
(みわのやまいかにまちみむとしふともたずぬるひともあらじとおもへば)
三輪の山いかに待ち見む年経ともたづぬる人もあらじと思へば
(みわたせばやなぎさくらをこきまぜてみやこぞはるのにしきなりける)
見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける
(みじかよのふけゆくままにたかさごのみねのまつかぜふくかとぞきく)
短か夜の更けゆくままに高砂の峰の松風吹くかとぞ聞く
(ときはなるまつのみどりもはるくればいまひとしほのいろまさりけり)
常磐なる松の緑も春来れば今ひとしほの色まさりけり
(いづくともはるのひかりはわかなくにまだみよしののやまはゆきふる)
いづくとも春の光はわかなくにまだみ吉野の山は雪ふる
(ねのひするのべにこまつのなかりせばちよのためしになにをひかまし)
子の日する野辺に小松のなかりせば千代のためしに何を引かまし
(みよしののやまのしらゆきつもるらしふるさとさむくなりまさるなり)
み吉野の山の白雪つもるらしふるさと寒くなりまさるなり
(ゆうさればさほのかわらのかわぎりにともまどはせるちどりなくなり)
夕されば佐保の川原の川霧に友まどはせる千鳥鳴くなり
(たれをかもしるひとにせむたかさごのまつもむかしのともならなくに)
誰をかも知る人にせむ高砂の松もむかしの友ならなくに
(さくらちるこのしたかぜはさむからでそらにしられぬゆきぞふりける)
桜散る木の下風は寒からで空に知られぬ雪ぞ降りける