現代短歌
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(たわらまちこのあじがいいねときみがいったからしちがつむいかはさらだきねんび)
俵万智 この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日
(ほむらひろしはろーよる。はろーしずかなしもばしら。はろーかっぷぬーどるのえびたち)
穂村弘 ハロー夜。ハロー静かな霜柱。ハローカップヌードルの海老たち
(きのしたたつやかーどきーわすれてみずをかいにでてぼくはせかいにとじこめられる)
木下龍也 カードキー忘れて水を買いに出て僕は世界に閉じ込められる
(きのしたたつやたてるかいきみがせおっているものをきみごとせおうこともできるよ)
木下龍也 立てるかい 君が背負っているものを 君ごと背負うこともできるよ
(おかのたいしはむれたすさんどはゆかにおちぱんとれたすとはむとぱんにわかれた)
岡野大嗣 ハムレタスサンドは床に落ち パンとレタスとハムとパンに分かれた
(おかのたいしもういやだしにたいそしてほとぼりがさめたあたりでいきかえりたい)
岡野大嗣 もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい
(おかもとまほありえないくらいまぶしくわらうからすきのかわりになつだといった)
岡本真帆 ありえないくらい眩しく笑うから好きのかわりに夏だと言った
(ささいひろゆきねむらないただいっぽんのきとなってあなたのわんぴーすにみをおとす)
笹井宏之 ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす
(ますのこういちこんなにもふざけたきょうがあるいじょうどんなあすでもありうるだろう)
桝野浩一こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう
(くどうよしおあおいはるこいがこころにみちみちてすきでたまらぬたまらずすきだ)
工藤吉生 青い春 恋がこころに満ち満ちて 好きでたまらぬ たまらず好きだ
(ほむらひろしとりかえしのつかないことがしたいねとけいとをたまにまきつつわらう)
穂村弘 とりかえしのつかないことがしたいねと毛糸を玉に巻きつつ笑う
(おおもりしずかあおぞらへわたしはろくろっくびのびてくちづけしたしやちょうのきみと)
大森静佳青空へわたしはろくろっくび伸びてくちづけしたし野鳥のきみと
(はつがいむいこんびににうまれかわってしまってもくせけでおれときづいてほしい)
初谷むい コンビニに生まれかわってしまってもクセ毛で俺と気づいてほしい
(あおまつあきらいたるじょでおなじえいがをやっているそのとうきょうでもういちどあう)
青松輝 いたる所で同じ映画をやっているその東京でもういちど会う
(いいだゆうこゆきまみれのあたまをふってきみはもうぜったいなかないきかいとなりぬ)
飯田有子 雪まみれの頭をふってきみはもう絶対泣かない機械となりぬ
(いしゃどじんうみだけのぺーじがそつぎょうあるばむにあってそれからとじていません)
伊舎堂仁 海だけのページが卒業アルバムにあってそれからとじていません
(いまはしあいたくさんのおんなのひとがいるなかでわたしをみつけてくれてありがとう)
今橋愛たくさんのおんなのひとがいるなかでわたしをみつけてくれてありがとう
(いのうえのりこにえたぎるなべをみすえてだいじょうぶこれはえいえんでないほうのひ)
井上法子 煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火
(かとうじろうまがじんをまるめてあるくいいひだぜときおりぽんとももでならして)
加藤治郎 マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股で鳴らして
(おおつじたかひろゆびからめあふときふうのみずはみゆひざのちからをぬいてごらんよ)
大辻隆弘 指からめあふとき風の谿は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ
など
(おかもとゆうやぜんいんがさらだばーにいってるときにぜんぶのかばんみてるやくわり)
岡本雄矢 全員が サラダバーに行ってる時に 全部のカバン 見てる役割
(さいとうさいとうあめのけんどうあるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのりべん)
斉藤斎藤 雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁
(こじまなおきみとのこいおわりぷーるにおよぎおりじゅうめーとるちてんでかなしみがくる)
小島なお きみとの恋終わりプールに泳ぎおり十メートル地点で悲しみがくる
(はぎわらしんいちろうぼくもひせいききみもひせいきあきがきてぎゅうどんやにてぎゅうどんたべる)
萩原慎一郎 ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる
(ゆきふねえまへんじんとおもわれながらいきてゆくじてんしゃぎやはいちばんかるく)
雪舟えま 変人と思われながら生きてゆく自転車ギヤは一番軽く
(ほむらひろしゆるせないじぶんにきづくてにうけたりきっどそーぷのうすみどりみて)
穂村弘 許せない自分に気づく手に受けたリキッドソープのうすみどりみて
(きのしたたつやbがたのふそくをさけぶせいねんがちのいれものとしてぼくをみる)
木下龍也 B型の不足を叫ぶ青年が血のいれものとして僕を見る
(おかのたいしそうだとはしらずにのったちかてつがそとへでてゆくしゅんかんがすき)
岡野大嗣 そうだとは知らずに乗った地下鉄が外へ出てゆく瞬間が好き
(たわらまちきみをまつどようびなりきまつというじかんをたべておんなはいきる)
俵万智 君を待つ土曜日なりき 待つという時間を食べて女は生きる
(ささいひろゆきいっしょうにいちどひらくというまどのむこうあなたはくつをそろえる)
笹井宏之 一生に一度ひらくという窓のむこう あなたは靴をそろえる
(さいとうさいとうぼくはただあなたになりたいだけなのにふたりならんでえいがをみてる)
斉藤斎藤 ぼくはただあなたになりたいだけなのにふたりならんで映画を見てる
(おかもとまほほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、かさもこんなにたくさんあるし)
岡本真帆ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし傘もこんなにたくさんあるし
(きのしたたつやふりむけばきみしかいないよるのばすだからわたしはここでおりるね)
木下龍也 ふりむけば君しかいない夜のバス だから私はここで降りるね
(ほむらひろしそれはそれはあいしあってたのうたちとらべるにかいてかざってほしい)
穂村弘 それはそれは愛しあってた脳たちとラベルに書いて飾って欲しい
(ひがしなおこししゅうからかおをあげればいきつぎのようにぼくらのせいかつがある)
東直子 詩集から顔を上げれば息継ぎのようにぼくらの生活がある
(うえさかあゆみいきるいぬはしんだらいおんにかつらしいわたしながいきのらいおんになる)
上坂あゆ美生きる犬は死んだライオンに勝つらしい私長生きのライオンになる
(うちやましょうたひよこかんていしというせんたくしひらめきてよるのこくどうをかんがえあるく)
内山晶太 ひよこ鑑定士という選択肢ひらめきて夜の国道を考えあるく
(うつのみやあつしだいじょうぶいそぐたびではないのだしいそいでないしたびでもないし)
宇都宮敦 だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし
(いしいりょういちかさをぬすまれてもせいぜんせつしんずちちおやのようなあめにうたれて)
石井僚一 傘を盗まれても性善説信ず父親のような雨に打たれて
(おおぐちりょうこじんせいにふせんをはさむやうにほうひまたつぎにほうふまでのくさのは)
大口玲子 人生に付箋をはさむやうに逢ひまた次に逢ふまでの草の葉
(おぎはらひろゆきたはむれにみかとなづけしがいろじゅはがすこうじゆえころされていた)
荻原裕幸 たはむれに美香と名づけし街路樹はガス工事ゆゑ殺されてゐた
(うめないみかこいきものをかなしといいてこのわれによりかかるなよきみはおとこだ)
梅内美華子 生き物をかなしと言いてこのわれに寄りかかるなよ 君は男だ
(おおまつたちまんいんのすたじあむにてわれはおもふさんまんといふじさつしゃのかず)
大松達知 満員のスタジアムにてわれは思ふ三万といふ自殺者の数
(えどゆきひざくらくたっているいまあとなにをうしなえばいいゆりのきをいだく)
江戸雪 膝くらくたっている今あとなにを失えばいい ゆりの木を抱く
(ほむらひろしきすにめをとじないなんてまさかおまえてんしにたましいをうったのか)
穂村弘 キスに眼を閉じないなんてまさかおまえ天使に魂を売ったのか
(くどうよしおとぶためによんかいにきてはつなつのあかるいべらんだにくつをぬぐ)
工藤吉生 とぶために四階に来て はつなつの明るいベランダに靴を脱ぐ
(にしむらようこんびににうまれかわってしまってもくせけでおれときづいてほしい)
西村曜 コンビニに生まれかわってしまってもクセ毛で俺と気づいてほしい
(きのしたたつやあのにじをむししたらうてあのにじにたちどまったらうつなごじらを)
木下龍也 あの虹を無視したら撃てあの虹に立ち止まったら 撃つなゴジラを
(たわらまちたっぷりときみにいだかれているようなぐりんのせーたーきてふゆになる)
俵万智 たっぷりと君に抱かれているような グリンのセーター着て冬になる
(ほむらひろしはーぶてぃーにはーぶにえつつはるのよるのうそつきはどらえもんのはじまり)
穂村弘ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはドラえもんのはじまり
(きのしたたつやあいされたいぬはらいせでかぜとなりあなたのひびをなんどもなでる)
木下龍也 愛された犬は来世で風となり あなたの日々を何度も撫でる
(おかのたいしたいおんけいくわえてまどにがくつけ「ゆひら」とさわぐゆきのことかよ)
岡野大嗣 体温計くわえて窓に額つけ 「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
(やまだわたるみずにしずむひつじのようなゆめをみてあさのでんしゃにゆられている)
山田航 水に沈む羊のような夢を見て 朝の電車に揺られている
(ささいひろゆきはなびらとてんじをなぞるああこれはさくらのかのうせいがおおきい)
笹井宏之 はなびらと点字をなぞる ああこれは桜の可能性が大きい
(かとうじろうぼくはきみをすきだといったきみはぼくをすきだといった)
加藤治郎 ぼくはきみを好きだと言った きみはぼくを好きだと言った
(ひがしなおこししゅうからかおをあげればいきつぎのようにぼくらのせいかつがある)
東直子 詩集から顔を上げれば 息継ぎのようにぼくらの生活がある
(おおもりしずかごらんよびーるこれがなつだよ)
大森静佳 ごらんよビール これが夏だよ
(いいだゆうこゆきまみれのあたまをふってきみはもうぜったいなかないきかいとなりぬ)
飯田有子 雪まみれの頭をふってきみは もう絶対泣かない機械となりぬ
(いまはしあいたくさんのおんなのひとがいるなかでわたしをみつけてくれてありがとう)
今橋愛 たくさんの女の人がいる中で わたしをみつけてくれてありがとう
(いのうえのりこにえたぎるなべをみすえてだいじょうぶこれはえいえんでないほうのひ)
井上法子 煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火
(こじまなおきみとのこいおわりぷーるにおよぎおりじゅうめーとるちてんでかなしみがくる)
小島なお きみとの恋終わりプールに泳ぎおり 十メートル地点で悲しみがくる
(はぎわらしんいちろうぼくもひせいききみもひせいきあきがきてぎゅうどんやにてぎゅうどんたべる)
萩原慎一郎 ぼくも非正規きみも非正規 秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる
(ゆきふねえまへんじんとおもわれながらいきてゆくじてんしゃぎやはいちばんかるく)
雪舟えま 変人と思われながら生きてゆく 自転車ギヤは一番軽く
(うちやましょうたひよこかんていしというせんたくしひらめきてよるのこくどうをかんがえあるく)
内山晶太 ひよこ鑑定士という選択肢ひらめきて 夜の国道を考えあるく
(うつのみやあつしだいじょうぶいそぐたびではないのだしいそいでないしたびでもないし)
宇都宮敦 だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし
(いしいりょういちかさをぬすまれてもせいぜんせつしんずちちおやのようなあめにうたれて)
石井僚一 傘を盗まれても性善説信ず 父親のような雨に打たれて
(おおぐちりょうこじんせいにふせんをはさむやうにほうひまたつぎにほうふまでのくさのは)
大口玲子 人生に付箋をはさむやうに 逢ひまた次に逢ふまでの草の葉
(うめないみかこいきものをかなしといいてこのわれによりかかるなよきみはおとこだ)
梅内美華子 生き物をかなしと言いてこのわれに 寄りかかるなよ 君は男だ
(おおまつたちまんいんのすたじあむにてわれはおもふさんまんといふじさつしゃのかず)
大松達知 満員のスタジアムにてわれは思ふ 三万といふ自殺者の数
(えどゆきひざくらくたっているいまあとなにをうしなえばいいゆりのきをいだく)
江戸雪 膝くらくたっている今 あとなにを失えばいい ゆりの木を抱く
(すずきはるかじてんしゃのうしろにのってこのまちのみぎがわだけをしっていたなつ)
鈴木晴香 自転車の後ろに乗って この街の右側だけを知っていた夏
(くどうれいねがーべらもだりあもはなとよぶきみがこすもすだけはこすもすとよぶ)
工藤玲音 ガーベラもダリアも花と呼ぶきみが コスモスだけはコスモスと呼ぶ
(じんさきかやこみらいとはれもんこおりのむこうなるおまえのやえばにうつったはなび)
陣崎草子 未来とはレモン氷の向こうなる おまえの八重歯に映った花火
(いしゃどじんうみだけのぺーじがそつぎょうあるばむにあってそれからとじていません)
伊舎堂仁 海だけのページが卒業アルバムにあって それからとじていません
(あおまつあきらすうじしかわからなくなったこいびとにすきだよとささやいたなら4)
青松輝 数字しかわからなくなった恋人に 好きだよと囁いたなら 4
(むしたけいちしゅんいきかたがはなはなかむようにはずかしくはなのかげにもせをむけている)
虫武一俊 生きかたが洟はなかむように恥ずかしく花の影にも背を向けている
(ながたじゅんきみとたべたあいすはとけてゆびのあいだからなつがこぼれた)
永田淳 君と食べたアイスは溶けて 指のあいだから夏がこぼれた
(やすふくのぞみしょっきとしょくぱんとぺんわたしのすきなたんか)
安福望 食器と食パンとペン わたしの好きな短歌
(たわらまちすーぱーのふくろにゆめをつめてきみのかえりをまつよるのだいどころ)
俵万智 スーパーの袋に夢をつめて 君の帰りを待つ夜の台所
(ほむらひろしれいぞうこのあかりだけがぼくらのかんけいをてらしている)
穂村弘 冷蔵庫の明かりだけが ぼくらの関係を照らしている
(きのしたたつやいやほんからこぼれるきみのこえあめのおととまじってすきになる)
木下龍也 イヤホンから零れる君の声 雨の音と混じって好きになる
(おかのたいししにたいよるにこんびにのあかりがやけにあたたかくみえた)
岡野大嗣 死にたい夜にコンビニの明かりが やけにあたたかく見えた
(おおもりしずかあおぞらへわたしはろくろっくびのびてくちづけしたしやちょうのきみと)
大森静佳 青空へわたしはろくろっくび伸びて くちづけしたし野鳥のきみと
(はつがいむいこんびににうまれかわってしまってもくせけでおれときづいてほしい)
初谷むい コンビニに生まれかわってしまっても クセ毛で俺と気づいてほしい
(さいとうさいとうぼくはただあなたになりたいだけなのにふたりならんでえいがをみてる)
斉藤斎藤 僕はただあなたになりたいだけなのに 二人ならんで映画を見てる
(ささいひろゆきいっしょうにいちどひらくというまどのむこうあなたはくつをそろえる)
笹井宏之 一生に一度ひらくという窓のむこう あなたは靴をそろえる
(くどうよしおとぶためによんかいにきてはつなつのあかるいべらんだにくつをぬぐ)
工藤吉生 とぶために四階に来て はつなつの明るいベランダに靴を脱ぐ